【本編完結】農民と浄化の神子を並べてはいけない

ナナメ

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第二章 浄化の旅

怖い夢再び

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あの後パーピュアからもう黙って寝てろ!と布団をかけられて、薬を作り終えたパーピュアの代わりにローゼンが来て。そのままいつの間にか寝てしまってたようで…また俺は夢を見ていた。いつか見た、あの怖い夢だ。

酷い雷雨。
折れた第一騎士団旗。
欠損の多い仲間達の遺体の側に一人立つ俺。
からり、と音がしてハッと振り返ると遺体の山の上に人影があった。

ーーーお前も、早く堕ちておいで…?

「ーーーーーーッ!!!?」

「スナオ様…!?」

はっ、はっ、と荒い息をつく俺に戸惑いながら頭を撫でてくれるローゼンを見上げる。ちゃんと腕はついてるし、何一つ欠けてない。
あれは夢。夢だ。なのに外は夢と同じような荒天。稲光の後、数秒の間を開け雷の凄まじい音が響き渡る。

「ローゼン…!」

怖くて怖くて、腕を伸ばすとローゼンがしっかり抱き締めてくれた。

あぁ、いつものペパーミント臭がしてる。血の臭いはしてないし、体も暖かい。
だけど震えが止まらない。だってあの夢で立ってたのは俺一人。みんな血まみれで、息してなくて。

「…俺を置いていなくならないで…!」

「大丈夫。ここにちゃんといますよ。この地域は天候が荒れやすいんです。すぐに近くのワリムネル領に着きますから」

大丈夫です、と背中を優しく撫でてくれるその手の平と、俺が雷を怖がってると思ったのか少しずれてるけど優しい言葉。大丈夫、大丈夫、と囁きながら何度も額や頬に落ちてくる唇。
それだけじゃ足りなくて自分から唇にキスするとちゃんと応えてくれる。

「ん…」

ちゅ、と音を立てて唇が離れると同時に、何だかちょっと正気に戻って恥ずかしくなってきた。

うぉぉぉ…俺は一体何をやってるんだ…!!

「えっと…ご、ごめん…。何か変な夢見て…」

そっ、と離れると

「もう終わりですか?俺としてはもう少し甘えていて欲しいですが」

何てローゼンにしては珍しくからかうような事を言ってくるからより恥ずかしくなってモソモソと布団に戻る。

「うぅ…もう大丈夫です…」

似たような夢を2回も見るなんてちょっと怖いけど、あの時もすごい怖かったから印象に残ってるのかもな、と無理矢理自分を納得させて窓から見える外を見た。外はまだ大粒の雨が降ってて雷が鳴り響いてる。
…鎧とか…雷落ちてきたりしないのかな?

「ローゼン、雷が人に当たったりしない?」

「魔術師が雷避けの魔法をかけているので大丈夫ですよ」

そうなんだ。便利だな~!でも雨を避ける事は出来ないからみんなずぶ濡れだ。馬も訓練されてるとは言え可哀想だから早くワリムネル領とやらに着かないかな。
先に行った仲間がその地の第4騎士団に野営地の確保をお願いしてるらしい。だから着いたらすぐ野営できるし、一部は宿屋に泊まれるように手配してもらってる。だからその日は雷雨で真っ暗闇の中、バタバタと宿屋に駆け込んだのだった。





翌朝、昨日の雨が嘘のように空は快晴。ここのところ戦い続きだったから少し休憩しよう、っていうディアの一言で騎士団員達は、わー!!と街中に散っていった。本当にノリが男子高生なんだよな、と思わず笑ってしまう。

だけど俺もちょっとソワソワしています。
窓から覗くと王都よりこじんまりした街は賑やかで、宿屋近くの広場には屋台が沢山ならんでる。食べ物の屋台が多くて今はまだ朝が早いから準備中みたいで、あれは足りてるかだとか、火が強くないかとか賑やかな声がここまで響いてくる。
チラッ、と他の通りを見るとここにも防具屋、武器屋、アイテム屋がポツポツと。
離宮から戻ったメイディが預かってきた、ってお金を渡してくれたんだ。だからみんなに何か買ってあげたいな、って、俺もソワソワウキウキしちゃう。

前はみんなに別々の物あげようと思ってたけど、今は逆にみんなとお揃いのやつにしようかなー、とか色々考えてしまう。お揃いはこの外れない指輪もあるけど、これはアクセサリーというよりGPSみたいなもんだしな…。左手薬指に指輪、っていう意味はこの世界の人にはわからないみたいだし。
何かこう…俺のもんだー!って主張できるようなアクセサリーが欲しいなぁ。

(…俺って独占欲強すぎ…!?)

ギャーッとベッドにダイブして悶えてしまう。

だけど最近ディアも雰囲気柔らかいし、ローゼンは変わらず優しいし、ティエは声が18禁なのにたまにポロッと地声に戻るし!
何かちょっとモヤモヤしちゃうんだよな…。

この世界に指輪みたいな意味のある物って何かあるのか誰かに聞いてみよ。
あー…朝陽に聞いておけば良かった。俺が気絶してる間に王都に戻っていったらしいし。もう少し色々話したかったのに。浄化の旅が終わって戻ったらまた会ってくれるかな。

なんてベッドの上をゴロゴロしてるそこへ食堂に朝食取りに行ってたティエが戻ってくる。

「ゴロゴロしてどうしたの?」

「んー、パーピュアが上手くいって良かったな、と思って」

ティエは、テーブルにご飯を並べながらふ、と優しく笑った。

「ホントにね。昔から大好きだったくせに素直じゃないんだから」

「一安心だな。お兄ちゃん」

「……スナオ、もう一回お兄ちゃんって呼んで」

真顔で手を握られたから、とりあえず枕でぶっ叩いておいた。

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