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161.ヴァルツァー聖殿
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人々の歓声を受けながら馬車は進み、いよいよ聖殿へと到着した。
「………巫女姫様、お手をどうぞ」
先に馬車から降りたジークヴァルトが護衛騎士らしく恭しく手を差し出すのを見ると、アンネリーゼは何だか不思議な気持ちになった。
ジークヴァルトがアンネリーゼの護衛騎士になってすぐに向かったクルツへの巡礼は、馬車ではなく愛馬エイデルを駆っていたジークヴァルトが、こうしてアンネリーゼにひたむきな愛を向けてくれているのが今でも信じられなかった。
「………ありがとう、ございます」
はにかんだ様な笑みを浮かべると、ジークヴァルトの手に己の手を重ね、ゆっくりと用意されたステップを軽やかに降りると、巫女姫の正装である純白のドレスの裾がふわりと揺れた。
「お待ちしてもりました。ようこそ、巫女姫様」
聖殿のエントランスには、イェルクをはじめとした神官たちがずらりと並んでいた。
仰々しい程の出迎えに、アンネリーゼはほんの少し気後れしてしまった。
ヴァルツァー聖殿は、女神を信仰する三国の中で最も規模が大きく、女神信仰の中心地となっている。
必然的に、寄進が多くなり聖殿の造りも立派に、そして神官の数も多くなっていったと言われている。
幾度となく通った高い天井の廊下が、妙に長く感じ、アンネリーゼは吐息を一つ零した。
「………緊張しておられますか?」
その気配に気がついたのか、先導するイェルクが声を掛けてきた。
「ええ、そうかもしれません」
「いつもどおりで、大丈夫ですよ」
アンネリーゼの方からはイェルクの表情は確認できないが、彼がアンネリーゼの緊張を解きほぐそうとしてくれていることは伝わってきた。
「………ジーク殿より、魔女の件は伺っております。聖殿側も、警戒を強め、起こってはならないような万が一の事態にも対応できるような体制を取っておりますので、心配は無用ですよ」
「………イェルク様は全て、お見通しなのですね」
するとイェルクは立ち止まり、慈愛の表情を浮かべた顔でアンネリーゼの方を振り返った。
「私は長い間女神に仕えて参りました故、あの御方の御心は理解しているつもりです。………あの御方はあなた様の事を、我が子の様に思われていらっしゃるのですよ」
イェルクの言葉に、クルツ聖殿の潔斎の間で、記憶が戻った時に聞こえた嫋やかな女性の声が脳裏に蘇り、アンネリーゼははっとした。
あの時は色々な事があり過ぎてすっかり忘れてしまっていたが、あの声の主は………いや、アンネリーゼの失われた記憶を蘇らせてくれたのは、女神だったのだという確信が、アンネリーゼの中に生まれた。
「………巫女姫様、お手をどうぞ」
先に馬車から降りたジークヴァルトが護衛騎士らしく恭しく手を差し出すのを見ると、アンネリーゼは何だか不思議な気持ちになった。
ジークヴァルトがアンネリーゼの護衛騎士になってすぐに向かったクルツへの巡礼は、馬車ではなく愛馬エイデルを駆っていたジークヴァルトが、こうしてアンネリーゼにひたむきな愛を向けてくれているのが今でも信じられなかった。
「………ありがとう、ございます」
はにかんだ様な笑みを浮かべると、ジークヴァルトの手に己の手を重ね、ゆっくりと用意されたステップを軽やかに降りると、巫女姫の正装である純白のドレスの裾がふわりと揺れた。
「お待ちしてもりました。ようこそ、巫女姫様」
聖殿のエントランスには、イェルクをはじめとした神官たちがずらりと並んでいた。
仰々しい程の出迎えに、アンネリーゼはほんの少し気後れしてしまった。
ヴァルツァー聖殿は、女神を信仰する三国の中で最も規模が大きく、女神信仰の中心地となっている。
必然的に、寄進が多くなり聖殿の造りも立派に、そして神官の数も多くなっていったと言われている。
幾度となく通った高い天井の廊下が、妙に長く感じ、アンネリーゼは吐息を一つ零した。
「………緊張しておられますか?」
その気配に気がついたのか、先導するイェルクが声を掛けてきた。
「ええ、そうかもしれません」
「いつもどおりで、大丈夫ですよ」
アンネリーゼの方からはイェルクの表情は確認できないが、彼がアンネリーゼの緊張を解きほぐそうとしてくれていることは伝わってきた。
「………ジーク殿より、魔女の件は伺っております。聖殿側も、警戒を強め、起こってはならないような万が一の事態にも対応できるような体制を取っておりますので、心配は無用ですよ」
「………イェルク様は全て、お見通しなのですね」
するとイェルクは立ち止まり、慈愛の表情を浮かべた顔でアンネリーゼの方を振り返った。
「私は長い間女神に仕えて参りました故、あの御方の御心は理解しているつもりです。………あの御方はあなた様の事を、我が子の様に思われていらっしゃるのですよ」
イェルクの言葉に、クルツ聖殿の潔斎の間で、記憶が戻った時に聞こえた嫋やかな女性の声が脳裏に蘇り、アンネリーゼははっとした。
あの時は色々な事があり過ぎてすっかり忘れてしまっていたが、あの声の主は………いや、アンネリーゼの失われた記憶を蘇らせてくれたのは、女神だったのだという確信が、アンネリーゼの中に生まれた。
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