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167.女神の心
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眩い光は、みるみるうちにアンネリーゼの躰を飲み込んでいく。
アンネリーゼは思わずぎゅっと目を瞑った。
『何を迷っているのですか?』
頭の中に直接響くような、優しい声が聞こえて、アンネリーゼははっと目を開く。
だが視界は光に覆われていて、何も見えない。
だが、その声の主が誰なのかをアンネリーゼは知っていた。
「女神様、なのですね…………?」
『………こうして話をするのは、二度目ですね』
確かめるような問い掛けに、否定も肯定もせずに声の主………女神はアンネリーゼに語り掛けてきた。
『恐れることなど、何もありませんよ』
全てを見透かしているかのように、女神は告げた。
「………わたくしは…………己の心の醜さが恐ろしいのです」
以前と同じように、水の中だというのに呼吸も会話も、普通に出来た。
むしろこの浮遊感さえなければ、水の中だということすらも忘れてしまいそうだった。
「嫉妬して、それなのに自分だけが彼の愛を得たという事実に、優越感に浸って………。こんなにも醜い心を持ったわたくしには巫女姫を務める資格などないのではないでしょうか………?」
吐き出された本心は、小さな泡になって水面の方へと昇っていく。
『憎しみや悲しみ、嫉妬に怒りといった負の感情を持たない者などいないのですよ』
女神の声は、どこまでも優しい。
『あなたはそれを自覚し、恥じているのではないですか。………それは、誰にでも出来る事ではありません。それは誰に対しても思いやりを持てる、優しさがあるからです』
「でも………っ」
『アンネリーゼ』
女神は初めて、アンネリーゼの名を口にした。
『あなたのその優しさを、私は好ましく思っています。だからこそ、あなたを我が巫女姫に選びました』
ジークヴァルトやイェルクにも、同じような事を言われたのを思い出しながらも、アンネリーゼは俯いた。
「身に余るお言葉………ありがとうございます。ですが、わたくしは………自分が自分で許せないのだと思います。巫女姫になった事も、過去の婚約者の事もジーク様との事も………わたくしのせいで不幸になった人がいるのに、わたくしは………っ」
『アンネリーゼ』
先程よりもやや強い声で、女神が再びアンネリーゼを呼んだ。
『それは、罪ではありませんよ。………それでもあなたが罪悪感を感じるというのであれば………巫女姫としての務めをきちんと果たし、闇の力に打ち勝ちなさい。大丈夫………私はあなたを………あなたたちを信じています』
段々と女神の声が遠ざかる気がした。
それと共に光が少しずつ弱まっていき、アンネリーゼの躰も、ゆっくりと浮上していくのを感じて、アンネリーゼは水面を見上げた。
アンネリーゼは思わずぎゅっと目を瞑った。
『何を迷っているのですか?』
頭の中に直接響くような、優しい声が聞こえて、アンネリーゼははっと目を開く。
だが視界は光に覆われていて、何も見えない。
だが、その声の主が誰なのかをアンネリーゼは知っていた。
「女神様、なのですね…………?」
『………こうして話をするのは、二度目ですね』
確かめるような問い掛けに、否定も肯定もせずに声の主………女神はアンネリーゼに語り掛けてきた。
『恐れることなど、何もありませんよ』
全てを見透かしているかのように、女神は告げた。
「………わたくしは…………己の心の醜さが恐ろしいのです」
以前と同じように、水の中だというのに呼吸も会話も、普通に出来た。
むしろこの浮遊感さえなければ、水の中だということすらも忘れてしまいそうだった。
「嫉妬して、それなのに自分だけが彼の愛を得たという事実に、優越感に浸って………。こんなにも醜い心を持ったわたくしには巫女姫を務める資格などないのではないでしょうか………?」
吐き出された本心は、小さな泡になって水面の方へと昇っていく。
『憎しみや悲しみ、嫉妬に怒りといった負の感情を持たない者などいないのですよ』
女神の声は、どこまでも優しい。
『あなたはそれを自覚し、恥じているのではないですか。………それは、誰にでも出来る事ではありません。それは誰に対しても思いやりを持てる、優しさがあるからです』
「でも………っ」
『アンネリーゼ』
女神は初めて、アンネリーゼの名を口にした。
『あなたのその優しさを、私は好ましく思っています。だからこそ、あなたを我が巫女姫に選びました』
ジークヴァルトやイェルクにも、同じような事を言われたのを思い出しながらも、アンネリーゼは俯いた。
「身に余るお言葉………ありがとうございます。ですが、わたくしは………自分が自分で許せないのだと思います。巫女姫になった事も、過去の婚約者の事もジーク様との事も………わたくしのせいで不幸になった人がいるのに、わたくしは………っ」
『アンネリーゼ』
先程よりもやや強い声で、女神が再びアンネリーゼを呼んだ。
『それは、罪ではありませんよ。………それでもあなたが罪悪感を感じるというのであれば………巫女姫としての務めをきちんと果たし、闇の力に打ち勝ちなさい。大丈夫………私はあなたを………あなたたちを信じています』
段々と女神の声が遠ざかる気がした。
それと共に光が少しずつ弱まっていき、アンネリーゼの躰も、ゆっくりと浮上していくのを感じて、アンネリーゼは水面を見上げた。
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