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182.闇の魔法陣
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風と同時に、王都の街のあちこちから、赤黒い光の柱が幾本も空を貫くのが見えた。
その光は、紅く染まる月を彷彿とさせるもので、底知れぬ不気味さと、異常なまでの禍々しさを放っていた。
「あれは、何…………?闇の、魔力………?」
アンネリーゼは不安げに、辺りを見回す。まるで、その光に共鳴するかのように、自分の中の闇属性の魔力がざわつくのを感じて、アンネリーゼは無意識に胸元をぎゅっと抑えた。
「ああ………ようやく、始まったな」
ヴァルツァー王国随一と言われるジークヴァルトに剣を突きつけられているというのに、ギュンターは狼狽えるどころか、この状況を愉しんでいるようにすら見えた。
その赤い瞳が爛々とした光を宿す様は、狂気を纏っているようにも見えた。
「フローラを使って、あの方が王都全体に魔法陣を敷いたのさ。間もなく、王都は闇の魔力に包まれる」
「何だと………!」
「そんな………っ」
ギュンターが口にしたのは、衝撃的な程に信じ難い言葉だった。
王都全体に描かれた闇魔法の魔法陣。
ジークヴァルトは嫌な予感が的中したことを悟り、肩に佇むダミアンに視線を走らせた。
「ダミアン、急いでこの事をゲルハルトに伝えろ!民を王都の外へと避難させるんだ!何なら民ごと俺の領地に飛ばしても構わないと言っておけ!」
「しかし、主………」
珍しくダミアンがジークヴァルトの命令に従うことに躊躇いを見せた。
「主の元を離れて、大丈夫でしょうか。………あの女が待ち受けているというのに」
ダミアンの言葉に、アンネリーゼははっとした。ダミアンはジークヴァルトが心配なのだ。いくら不老不死の呪いがあるとはいえ、これから対峙するのはその呪いを掛けた張本人なのだから。
「用が済んだら、すぐに戻ってこい!お前は俺の、大切な相棒だからな」
「………御意」
緊迫した状況なのに、ダミアンを見てジークヴァルトが笑ったように見えた。
「アンネリーゼ」
「はい」
ダミアンが赤黒い空へと消えるのを見届けるとすぐに、ジークヴァルトがアンネリーゼの名を呼んだ。
「とにかく、この魔法陣の中心に向かい、何が起きているのかを確かめないと………」
「その必要はない。言っただろう、アンネリーゼ?俺はお前を連れに来たと」
すぐ背後でギュンターの声がして、アンネリーゼが振り返ろうとしたその瞬間、体が強く引っ張られた。
「きゃ………っ!」
「アンネリーゼ!!」
次の瞬間、アンネリーゼは目の前の景色がぐにゃりと歪んだ気がした。
それと同時に、視界がとてつもなく濃い闇に覆われ、アンネリーゼは声にならない悲鳴を上げたのだった。
その光は、紅く染まる月を彷彿とさせるもので、底知れぬ不気味さと、異常なまでの禍々しさを放っていた。
「あれは、何…………?闇の、魔力………?」
アンネリーゼは不安げに、辺りを見回す。まるで、その光に共鳴するかのように、自分の中の闇属性の魔力がざわつくのを感じて、アンネリーゼは無意識に胸元をぎゅっと抑えた。
「ああ………ようやく、始まったな」
ヴァルツァー王国随一と言われるジークヴァルトに剣を突きつけられているというのに、ギュンターは狼狽えるどころか、この状況を愉しんでいるようにすら見えた。
その赤い瞳が爛々とした光を宿す様は、狂気を纏っているようにも見えた。
「フローラを使って、あの方が王都全体に魔法陣を敷いたのさ。間もなく、王都は闇の魔力に包まれる」
「何だと………!」
「そんな………っ」
ギュンターが口にしたのは、衝撃的な程に信じ難い言葉だった。
王都全体に描かれた闇魔法の魔法陣。
ジークヴァルトは嫌な予感が的中したことを悟り、肩に佇むダミアンに視線を走らせた。
「ダミアン、急いでこの事をゲルハルトに伝えろ!民を王都の外へと避難させるんだ!何なら民ごと俺の領地に飛ばしても構わないと言っておけ!」
「しかし、主………」
珍しくダミアンがジークヴァルトの命令に従うことに躊躇いを見せた。
「主の元を離れて、大丈夫でしょうか。………あの女が待ち受けているというのに」
ダミアンの言葉に、アンネリーゼははっとした。ダミアンはジークヴァルトが心配なのだ。いくら不老不死の呪いがあるとはいえ、これから対峙するのはその呪いを掛けた張本人なのだから。
「用が済んだら、すぐに戻ってこい!お前は俺の、大切な相棒だからな」
「………御意」
緊迫した状況なのに、ダミアンを見てジークヴァルトが笑ったように見えた。
「アンネリーゼ」
「はい」
ダミアンが赤黒い空へと消えるのを見届けるとすぐに、ジークヴァルトがアンネリーゼの名を呼んだ。
「とにかく、この魔法陣の中心に向かい、何が起きているのかを確かめないと………」
「その必要はない。言っただろう、アンネリーゼ?俺はお前を連れに来たと」
すぐ背後でギュンターの声がして、アンネリーゼが振り返ろうとしたその瞬間、体が強く引っ張られた。
「きゃ………っ!」
「アンネリーゼ!!」
次の瞬間、アンネリーゼは目の前の景色がぐにゃりと歪んだ気がした。
それと同時に、視界がとてつもなく濃い闇に覆われ、アンネリーゼは声にならない悲鳴を上げたのだった。
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