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185.数百年ぶりの再会

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「貴様っ…………!」

ギュンターが、ジークヴァルトを睨み付けた。

「アンネリーゼは、お前のような低俗な輩が触れていい存在ではない。立場を弁えるんだな」

ジークヴァルトはギュンターを一瞥し、何かを唱えた。
するとギュンターの体が拘束魔法で縛り上げられていく。

「くそっ!何をする!離せ!!」

喚き散らすギュンターを、完全に無視したジークヴァルトはアンネリーゼの額に口付けを落とし、ゆっくりと彼女を下ろした。

「あなたが連れ去られて、心臓が止まるかと思った。相手がギュンターソレだったから、少し油断していたようだ。………背後にその女がいるのを忘れていたんだからな………。あなたの魔力の気配を追って、辿り着くことができたのは幸いだったが、まるであなたが俺を誘き寄せる餌にされたみたいで気分が悪い」

ジークヴァルトの声音が、後半の方にいくにつれて低く、冷たくなっていくのをアンネリーゼは感じた。
アンネリーゼは不安げにジークヴァルトを見上げると、彼の金色の双眸が禍月の魔女を捉えているのに気がついた。

「あらぁ………数百年ぶりの再会だというのに、随分冷たいじゃない?」

ねっとりと絡みつくような魔女の声が響く。
ジークヴァルトは答える代わりに視線だけで射殺せそうな程に鋭く、憎しみの籠もった視線を魔女へと向ける。

「相変わらず美しくて強い、イイ男ね。あの頃よりも随分と逞しくなったかしら?………良いことだわ。あなたが更に強くなるのをずうっと待っていたのよ?」

ゾクリとするような妖艶な笑みを浮かべながら、魔女が嬉しそうにアンネリーゼ達の方へと近づいてきた。

「俺は、お前を殺したくて仕方がなかった。お前を殺すためだけに魔法と剣の腕を磨いてきたと言っても過言ではない」

ぎり、と歯ぎしりの音が聞こえてきて、アンネリーゼは心配そうにジークヴァルトの純白の騎士服を掴んだ。

このままジークヴァルトが怒りに身を任せて、心のままに剣を振るうと、ジークヴァルトがジークヴァルトでなくなってしまうような気がしたのだ。

「そんなにも強く憎まれているだなんて、嬉しいわ。憎しみと怒りは、他の感情の何よりも強い。数百年の間、私はそうやってあなたの心を占領してこれたのね?」

ジークヴァルトに強い憎悪を向けられた魔女は嬉しそうに、そして愉しそうに嗤った。
強がりなどではなく、心から喜んているようで、アンネリーゼはそんな彼女に言い知れない不安を覚えたのだった。
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