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200.魔女とダミアン(1)
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「その通り。ヴェルナー侯爵家のダミアンと申します。……お久しぶりです、と声を声を掛けるほど親しい間柄ではありませんので、これ以上の挨拶は必要ありませんね」
アンネリーゼはダミアンに対して、いつも冷静で穏やかな印象を持っていたが、今の彼の表情はその印象からは遠くかけ離れていた。
軽蔑、嫌悪、厭忌。そんな感情を宿したような、冷たい表情を見るだけで、背中に冷たいものが伝っていく気がした。
「何故お前が………。まさか………」
魔女の表情が歪む。
ジークヴァルトとダミアンの間に結ばれた『血の契約』に気が付いたのだろう。信じられないというように紫の瞳を見開いた。
アンネリーゼとジークヴァルトは、黙ったまま事の成り行きを見守っていた。
「あなたには到底理解できないでしょうね。私は、目的のためには手段を選ばないのです。そのために、犠牲を払うことになろうとも……」
「………は!崇高なる魔族の、しかも七侯爵に名を連ねる者が、人間ごときに己を差し出すなんて……!」
禍月の魔女は、声を上げて笑い出した。
だが、ダミアンも、そしてジークヴァルトもただじっと、そんな魔女の様子を傍観しているだけだった。
禍月の魔女は、元は人間だったはずなのに、今では誰よりも人間を見下し、侮り、蔑んでいる。
そんな魔女の姿が二人の目には、滑稽で愚かに見えるのだろう。
「か弱い人間どもと手を組んだところで、お前に私が倒せるとでも?私は既に七侯爵のうち五人を取り込んでいるというのに、敵うわけがないでしょう?」
ようやく落ち着きを取り戻したらしい魔女が、幼子をあやすような、それでいてどこか相手を甚振るような口調で問い掛けた。
先程から魔女が口にする「七侯爵」とは、魔族を取りまとめ、共同統治を敷いている魔族の七大侯爵家のことだろうとアンネリーゼは考えていた。
魔族は、特定の王を置かず、この七大侯爵家がそれぞれの眷属を統べることで均衡を保っていた。
ダミアンがその七大侯爵家の一員だったということには驚いたが、同時に納得する。いくら力のある魔族とはいえ、彼の力が尋常ではないということに、アンネリーゼも気が付いていたからだ。
記憶が確かであれば、ヴェルナー侯爵家は魔鳥を統べる一族だったはずだ。考えてみると、魔獣の襲撃はあっても、魔鳥の襲撃は聞いたことがなかった。それは偏に、ダミアンが人間側に就いているからなのだろう。
「そんなもの、やってみなければわからないだろう?」
低い声でそう唸ったのは、ジークヴァルトだった。
アンネリーゼはダミアンに対して、いつも冷静で穏やかな印象を持っていたが、今の彼の表情はその印象からは遠くかけ離れていた。
軽蔑、嫌悪、厭忌。そんな感情を宿したような、冷たい表情を見るだけで、背中に冷たいものが伝っていく気がした。
「何故お前が………。まさか………」
魔女の表情が歪む。
ジークヴァルトとダミアンの間に結ばれた『血の契約』に気が付いたのだろう。信じられないというように紫の瞳を見開いた。
アンネリーゼとジークヴァルトは、黙ったまま事の成り行きを見守っていた。
「あなたには到底理解できないでしょうね。私は、目的のためには手段を選ばないのです。そのために、犠牲を払うことになろうとも……」
「………は!崇高なる魔族の、しかも七侯爵に名を連ねる者が、人間ごときに己を差し出すなんて……!」
禍月の魔女は、声を上げて笑い出した。
だが、ダミアンも、そしてジークヴァルトもただじっと、そんな魔女の様子を傍観しているだけだった。
禍月の魔女は、元は人間だったはずなのに、今では誰よりも人間を見下し、侮り、蔑んでいる。
そんな魔女の姿が二人の目には、滑稽で愚かに見えるのだろう。
「か弱い人間どもと手を組んだところで、お前に私が倒せるとでも?私は既に七侯爵のうち五人を取り込んでいるというのに、敵うわけがないでしょう?」
ようやく落ち着きを取り戻したらしい魔女が、幼子をあやすような、それでいてどこか相手を甚振るような口調で問い掛けた。
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魔族は、特定の王を置かず、この七大侯爵家がそれぞれの眷属を統べることで均衡を保っていた。
ダミアンがその七大侯爵家の一員だったということには驚いたが、同時に納得する。いくら力のある魔族とはいえ、彼の力が尋常ではないということに、アンネリーゼも気が付いていたからだ。
記憶が確かであれば、ヴェルナー侯爵家は魔鳥を統べる一族だったはずだ。考えてみると、魔獣の襲撃はあっても、魔鳥の襲撃は聞いたことがなかった。それは偏に、ダミアンが人間側に就いているからなのだろう。
「そんなもの、やってみなければわからないだろう?」
低い声でそう唸ったのは、ジークヴァルトだった。
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