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第八十一話 確執
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部屋の中にいる帝国兵は、中佐を含め5人。こちら側で武器を構えているのはフェオドラさんだけだ。なのに、誰も動けないでいる。
「どうした。掛かって来んのか」
「黙れ! 貴様はいつもいつもそうやって人を見下して……ッ!」
「さて、覚えはないが……」
片手で剣を構えるフェオドラさんの、空いたもう片方の手が、私たちにだけ見えるように出口を指す。
フェオドラさんが引き付けるから、私たちは脱出しろということだろうか。でも、彼女一人で?
「聞いてるのか、フェオドラッ」
啖呵を切りながら、中佐が剣を振りかぶる。しかし「ギャッ」と呻き声を上げて、肩を押さえて彼は崩れ落ちた。
「失礼。ロセリアの紳士たるもの淑女の危機を見過ごせないものでして」
飄々と述べるリエーフさんの手には、いつの間にか投擲用のナイフがある。
「坊ちゃん、今のうちにミオ様を安全な所へ」
「どうでもいいが、お前俺を守るために着いて来たんじゃないのか」
「このような雑魚にやられるようにお育てしておりません」
カン、と音がしてそちらを見れば、中佐が肩がら引き抜いたナイフを床に投げ捨てたところだった。怒声をあげながら、斬り掛かってくる彼を、フェオドラさんが迎え撃つ。同様に彼女に切りかかろうとする他の兵たちを、リエーフさんが足止めしてフォローする。
それをぼうっと見ていると、ミハイルさんに腕を掴まれレナートから引き離された。
「全く、相変わらずお前は勝手ばかりする」
「ごめんなさい……」
「まあいい。行くぞ、退魔士とやら。お前にはまだ聞くことがある」
「命令するな! おれはお前と話すことはない!」
と威勢よく吠えたところで、ここから脱出するという目的は同じなので。私達は同時に出口に向かって駆け出した。リエーフさんの攻撃をすり抜けて向かってくる帝国兵を、レナートが投げ飛ばし、ミハイルさんが蹴り飛ばす。開けた道を走り抜けて部屋を出ると、騒ぎをききつけたのだろう他の兵たちも集まってきていた。思わず身構える私の手をミハイルさんが引き、逆側にレナートが避ける。直後、飛んできた中佐の体が彼らを巻き込んで床に転がった。
「悪い、待たせたな」
「待ってない。それにまだ終わってないようだぞ」
冷めた目を中佐に向けてミハイルさんが呟く。
「待て……貴様だけは……私が倒す……!」
「私を倒しても出世はできんぞ」
「貴様がずっと目障りだった!」
全身から憤怒のオーラを漂わせ、立ち上がった中佐が口から血を飛ばしながら叫ぶ。
「私はずっとエリートだった!」
「ああ。昇進も速かった」
「なのに一度も貴様に追い付けなかった!」
「今抜いたじゃないか」
「皇帝陛下は幽霊伯爵にご執心だ。貴様がそいつを帝都に連れていけば……二階級か? 三階級か? それとも空いた大元帥の座か?!」
「馬鹿なことを。なれるわけもないし、なりたいとも思わん」
「ハハ、狙っているんだろうが!! 届かなければまた色仕掛か? どうせ今までもそうやって昇進してきたんだろ!?」
……酷い。
狂ったように笑いながら剣を構える中佐を見て、フェオドラさんが再び納めていた剣に手を掛ける。
「もう放っておけ」
黙ったままのフェオドラさんに代わって、私が憎まれ口の一つも喉から出掛かったとき。ミハイルさんが短い言葉と共に、剣を抜きかけたフェオドラさんの手を押さえて止めた。彼女は少しだけ意外そうな顔をして、すぐにふっと力なく笑った。
「思いの外恨まれていたようだからな。しつこく追ってきそうで些か邪魔だ」
「……ちっ」
ミハイルさんが舌打ちしてナイフを抜き、右手首にそれを当てがう。彼がためらいなくそれを引くのを見て、レナートが顔をひきつらせた。
「来い、エドアルト!」
血が紋様を描いて紅く光り、その光の中からエドアルトが姿を現わす。
「悪いが、俺達がこの場を離れるまで時間を稼いでくれ」
「わかった。あっ、エフィルは元気だよ」
エドアルトが剣を抜きながら、短い返事に付け加える。それを聞いて、険しかったミハイルさんの表情に一瞬、安堵が滲む。
「礼を言う、エドアルト。行くぞ、リエーフ、フェオドラ!」
私を抱え上げてミハイルさんが叫ぶ。
エドアルトはやっぱり凄い。たった一人で十数人を相手に、瞬く間に退路を確保する。それを眺めている間もなく、リエーフさんの先導で私たちは出口へと駆けた。……と言って、私は運ばれているだけなんだけど。
「ごめんなさい、足遅くて……」
「坊ちゃんはミオ様を抱っこしたいだけなのでお気になさらず!」
「黙って前見て走れ」
満面の笑みで振り返ったリエーフさんに、ミハイルさんが冷たい声を投げつける。それを割って、フェオドラさんが珍しく興奮気味に声をあげた。
「さっきエドアルトと言ったな。もしかしてロセリアのエドアルト・アドロフか!? 驚いたぞ、君は本当に死霊を使うのか!!」
いつも死霊関係の話になると嫌そうな顔をするのに。いつもの豪快な笑顔ではなく、まるで、少女のような華やいだ笑顔を見せる。
「あとで会わせてくれないか!!」
「なぜだ? 帝国にとっては怨敵だろう。そもそもお前幽霊嫌いじゃなかったか」
「それはそうだが、世界最強の騎士だぞ! 剣を志して憧れぬ者はない! 初恋だ!!」
「なら会わんことを勧めるがな……」
ミハイルさんの呟きに私も同意だ。多分、イメージ崩れると思う。まぁでも……落ち込んでいなくてよかった。さっき中佐に詰られたときの笑い顔は、少し力なく見えたから。
とにかくそんなこんなで宿を飛び出すと、丁度宿の前を一台の馬車が通り掛かった。その荷台にフェオドラさんがためらいなく飛び乗る。
「乗れ!」
彼女がそう叫び終わる頃には、リエーフさんもレナートも私達も荷台の上にいた。結構な速度が出ているというのに、フェオドラさんは物が積まれた荷台の上をひょいひょいと歩き、仰天した顔でこちらを振りむく御者の傍まで近寄っていく。
「帝国軍少佐フェオドラ・レノヴァだ。悪いが駅まで行ってくれ」
「は、はい!」
軍の命令は絶対なのだろうか。文句も言わずに御者が従順に返事をする。
……駅、って今聞こえたけど。電車でもあるのだろうか。いや、雪車なのかな? 道路を行き交うのは馬車ばかりだけど……いや、今はそれよりも。
「ミハイルさん、右手。手当しないと」
「いい。さほど切ってない」
「駄目!」
声を荒げると、何か言いたげな目をしながらも、大人しくミハイルさんが右手を出してくる。たいして切ってないとは言うが、血が流れるほどの傷はそんなに浅いとは言えない。いくら治りが早くても、さっきの今じゃ……やっぱり血も止まっていない。
包帯を巻く前にガーゼを当てて圧迫していると、レナートが気味悪そうに唸る。
「……その印」
ミハイルさんが気にするから。あんまり呪印のことには触れて欲しくなくて、思わずレナートを睨んでしまった。彼は口を噤んだが、こちらに背を向けて荷台に座り、向こうを向いたままで声を上げる。
「お前は平気なのか」
「何が?」
「その印は……いや、そいつは言わば『死』そのものだ。例え死を恐れないにしても、生きる者はみな本能的に死を忌避する」
ミハイルさんが手を引こうとするのを、掴んで止める。
……みんなが呪印を気にするのは、本能的な死への恐怖、ということなのか。でも、私は。
「私は平気です」
「それならお前は、元々死にたがっているということになるぞ」
「死にたくなんてありません」
「それなら多少何かあっておかしくないと思うが。何か体の不調があるはずだ。自覚しておかないと寿命を縮めることになる」
もしかして、レナートは心配してくれてるのかもしれない。だけど……
今直接呪印のある右手に触れて、包帯を巻いていても、不調なんて。いや、待って。
「あの……その不調って、顔が熱くなったり、胸が苦しくなったりとか?」
「ほら、あるじゃ――」
こちらを振り向いて、肯定しかけて、彼はふと途中で口を噤んだ。その顔が、みるみるうちに赤くなる。
「そ、それは多分違うぞ! お前は馬鹿か!!」
「あぁ!?」
隣から凄い形相で身を乗り出してくるミハイルさんを無言で押し止める。自分だって馬鹿馬鹿言うくせに。でも……
「い、今のは……私が馬鹿でした……」
「……ッ」
ミハイルさんの右手を掴んだまま、蚊の鳴くような声で呟く。……恥ずかしくて死ぬ。穴があったら入りたくなっていると、荷台に戻ってきたらしいフェオドラさんの声が頭上から降ってくる。
「ふっ、君もこちら側で観賞するといい」
「レナート様と仰いましたか。是非是非ご一緒に如何ですか」
「そ、そんなことして何が楽しいんだ……意味がわからないぞ」
あ、初めて常識人に出会えた気がする。顔を上げると、レナートが解せないという顔をしていたが、同じくリエーフさんも解せない顔をしていた。
「楽しいですよね、フェオドラ様」
「ああ。楽しい」
「わたくし、貴女様とはなんだかいい関係を築けそうな気がします」
「そうかもしれんが、惜しいところだ。私は年上の男がタイプでな」
「それはようございました。わたくしこう見えて貴女様より数十倍は歳上でございます」
「風紀というものを知らんのか、この集団は……」
うんざりしたようなレナートの呟きが、荷台の上から風にのって流れていった。
「どうした。掛かって来んのか」
「黙れ! 貴様はいつもいつもそうやって人を見下して……ッ!」
「さて、覚えはないが……」
片手で剣を構えるフェオドラさんの、空いたもう片方の手が、私たちにだけ見えるように出口を指す。
フェオドラさんが引き付けるから、私たちは脱出しろということだろうか。でも、彼女一人で?
「聞いてるのか、フェオドラッ」
啖呵を切りながら、中佐が剣を振りかぶる。しかし「ギャッ」と呻き声を上げて、肩を押さえて彼は崩れ落ちた。
「失礼。ロセリアの紳士たるもの淑女の危機を見過ごせないものでして」
飄々と述べるリエーフさんの手には、いつの間にか投擲用のナイフがある。
「坊ちゃん、今のうちにミオ様を安全な所へ」
「どうでもいいが、お前俺を守るために着いて来たんじゃないのか」
「このような雑魚にやられるようにお育てしておりません」
カン、と音がしてそちらを見れば、中佐が肩がら引き抜いたナイフを床に投げ捨てたところだった。怒声をあげながら、斬り掛かってくる彼を、フェオドラさんが迎え撃つ。同様に彼女に切りかかろうとする他の兵たちを、リエーフさんが足止めしてフォローする。
それをぼうっと見ていると、ミハイルさんに腕を掴まれレナートから引き離された。
「全く、相変わらずお前は勝手ばかりする」
「ごめんなさい……」
「まあいい。行くぞ、退魔士とやら。お前にはまだ聞くことがある」
「命令するな! おれはお前と話すことはない!」
と威勢よく吠えたところで、ここから脱出するという目的は同じなので。私達は同時に出口に向かって駆け出した。リエーフさんの攻撃をすり抜けて向かってくる帝国兵を、レナートが投げ飛ばし、ミハイルさんが蹴り飛ばす。開けた道を走り抜けて部屋を出ると、騒ぎをききつけたのだろう他の兵たちも集まってきていた。思わず身構える私の手をミハイルさんが引き、逆側にレナートが避ける。直後、飛んできた中佐の体が彼らを巻き込んで床に転がった。
「悪い、待たせたな」
「待ってない。それにまだ終わってないようだぞ」
冷めた目を中佐に向けてミハイルさんが呟く。
「待て……貴様だけは……私が倒す……!」
「私を倒しても出世はできんぞ」
「貴様がずっと目障りだった!」
全身から憤怒のオーラを漂わせ、立ち上がった中佐が口から血を飛ばしながら叫ぶ。
「私はずっとエリートだった!」
「ああ。昇進も速かった」
「なのに一度も貴様に追い付けなかった!」
「今抜いたじゃないか」
「皇帝陛下は幽霊伯爵にご執心だ。貴様がそいつを帝都に連れていけば……二階級か? 三階級か? それとも空いた大元帥の座か?!」
「馬鹿なことを。なれるわけもないし、なりたいとも思わん」
「ハハ、狙っているんだろうが!! 届かなければまた色仕掛か? どうせ今までもそうやって昇進してきたんだろ!?」
……酷い。
狂ったように笑いながら剣を構える中佐を見て、フェオドラさんが再び納めていた剣に手を掛ける。
「もう放っておけ」
黙ったままのフェオドラさんに代わって、私が憎まれ口の一つも喉から出掛かったとき。ミハイルさんが短い言葉と共に、剣を抜きかけたフェオドラさんの手を押さえて止めた。彼女は少しだけ意外そうな顔をして、すぐにふっと力なく笑った。
「思いの外恨まれていたようだからな。しつこく追ってきそうで些か邪魔だ」
「……ちっ」
ミハイルさんが舌打ちしてナイフを抜き、右手首にそれを当てがう。彼がためらいなくそれを引くのを見て、レナートが顔をひきつらせた。
「来い、エドアルト!」
血が紋様を描いて紅く光り、その光の中からエドアルトが姿を現わす。
「悪いが、俺達がこの場を離れるまで時間を稼いでくれ」
「わかった。あっ、エフィルは元気だよ」
エドアルトが剣を抜きながら、短い返事に付け加える。それを聞いて、険しかったミハイルさんの表情に一瞬、安堵が滲む。
「礼を言う、エドアルト。行くぞ、リエーフ、フェオドラ!」
私を抱え上げてミハイルさんが叫ぶ。
エドアルトはやっぱり凄い。たった一人で十数人を相手に、瞬く間に退路を確保する。それを眺めている間もなく、リエーフさんの先導で私たちは出口へと駆けた。……と言って、私は運ばれているだけなんだけど。
「ごめんなさい、足遅くて……」
「坊ちゃんはミオ様を抱っこしたいだけなのでお気になさらず!」
「黙って前見て走れ」
満面の笑みで振り返ったリエーフさんに、ミハイルさんが冷たい声を投げつける。それを割って、フェオドラさんが珍しく興奮気味に声をあげた。
「さっきエドアルトと言ったな。もしかしてロセリアのエドアルト・アドロフか!? 驚いたぞ、君は本当に死霊を使うのか!!」
いつも死霊関係の話になると嫌そうな顔をするのに。いつもの豪快な笑顔ではなく、まるで、少女のような華やいだ笑顔を見せる。
「あとで会わせてくれないか!!」
「なぜだ? 帝国にとっては怨敵だろう。そもそもお前幽霊嫌いじゃなかったか」
「それはそうだが、世界最強の騎士だぞ! 剣を志して憧れぬ者はない! 初恋だ!!」
「なら会わんことを勧めるがな……」
ミハイルさんの呟きに私も同意だ。多分、イメージ崩れると思う。まぁでも……落ち込んでいなくてよかった。さっき中佐に詰られたときの笑い顔は、少し力なく見えたから。
とにかくそんなこんなで宿を飛び出すと、丁度宿の前を一台の馬車が通り掛かった。その荷台にフェオドラさんがためらいなく飛び乗る。
「乗れ!」
彼女がそう叫び終わる頃には、リエーフさんもレナートも私達も荷台の上にいた。結構な速度が出ているというのに、フェオドラさんは物が積まれた荷台の上をひょいひょいと歩き、仰天した顔でこちらを振りむく御者の傍まで近寄っていく。
「帝国軍少佐フェオドラ・レノヴァだ。悪いが駅まで行ってくれ」
「は、はい!」
軍の命令は絶対なのだろうか。文句も言わずに御者が従順に返事をする。
……駅、って今聞こえたけど。電車でもあるのだろうか。いや、雪車なのかな? 道路を行き交うのは馬車ばかりだけど……いや、今はそれよりも。
「ミハイルさん、右手。手当しないと」
「いい。さほど切ってない」
「駄目!」
声を荒げると、何か言いたげな目をしながらも、大人しくミハイルさんが右手を出してくる。たいして切ってないとは言うが、血が流れるほどの傷はそんなに浅いとは言えない。いくら治りが早くても、さっきの今じゃ……やっぱり血も止まっていない。
包帯を巻く前にガーゼを当てて圧迫していると、レナートが気味悪そうに唸る。
「……その印」
ミハイルさんが気にするから。あんまり呪印のことには触れて欲しくなくて、思わずレナートを睨んでしまった。彼は口を噤んだが、こちらに背を向けて荷台に座り、向こうを向いたままで声を上げる。
「お前は平気なのか」
「何が?」
「その印は……いや、そいつは言わば『死』そのものだ。例え死を恐れないにしても、生きる者はみな本能的に死を忌避する」
ミハイルさんが手を引こうとするのを、掴んで止める。
……みんなが呪印を気にするのは、本能的な死への恐怖、ということなのか。でも、私は。
「私は平気です」
「それならお前は、元々死にたがっているということになるぞ」
「死にたくなんてありません」
「それなら多少何かあっておかしくないと思うが。何か体の不調があるはずだ。自覚しておかないと寿命を縮めることになる」
もしかして、レナートは心配してくれてるのかもしれない。だけど……
今直接呪印のある右手に触れて、包帯を巻いていても、不調なんて。いや、待って。
「あの……その不調って、顔が熱くなったり、胸が苦しくなったりとか?」
「ほら、あるじゃ――」
こちらを振り向いて、肯定しかけて、彼はふと途中で口を噤んだ。その顔が、みるみるうちに赤くなる。
「そ、それは多分違うぞ! お前は馬鹿か!!」
「あぁ!?」
隣から凄い形相で身を乗り出してくるミハイルさんを無言で押し止める。自分だって馬鹿馬鹿言うくせに。でも……
「い、今のは……私が馬鹿でした……」
「……ッ」
ミハイルさんの右手を掴んだまま、蚊の鳴くような声で呟く。……恥ずかしくて死ぬ。穴があったら入りたくなっていると、荷台に戻ってきたらしいフェオドラさんの声が頭上から降ってくる。
「ふっ、君もこちら側で観賞するといい」
「レナート様と仰いましたか。是非是非ご一緒に如何ですか」
「そ、そんなことして何が楽しいんだ……意味がわからないぞ」
あ、初めて常識人に出会えた気がする。顔を上げると、レナートが解せないという顔をしていたが、同じくリエーフさんも解せない顔をしていた。
「楽しいですよね、フェオドラ様」
「ああ。楽しい」
「わたくし、貴女様とはなんだかいい関係を築けそうな気がします」
「そうかもしれんが、惜しいところだ。私は年上の男がタイプでな」
「それはようございました。わたくしこう見えて貴女様より数十倍は歳上でございます」
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