俺とクロのカタストロフィー

munetaka

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17.お寿司は純和食のイメージだが「イクラ」はロシア語

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「…風先輩!」
「颯! 起きて!」
リンと湊に体を揺すられて、やっと目を覚ますと外はまだ薄暗かった。ソファの傍らで眠っていたクロは、すくっと立ち上がり、湊が用意してくれた水が入ったカップへと向かう。
「ごめん、寝過ぎたか?」
「違うんです! まだ6時なんですけど、テレビ見てください!」
慌てた声にテレビへ視線を移すと、ちょうどロシア大統領の記者会見が始まるところだった。



『この放送は、親愛なるロシア国民ならびに全人類に向けて行うものである。今から約8時間前、アメリカが単独で小惑星に対して弾道ミサイルを発射したことを、ロシア空軍が確認した。小惑星を観測中のロシア連邦宇宙局からは、小惑星に数十発のミサイルが着弾したという報告を受けている。しかし、小惑星は破壊されず、わずかに表面が削られただけで、依然として地球に接近を続けている。そこでロシアと中国の共同対策チームが軌道を再計算した結果、当初南極大陸北部に衝突するはずだった隕石は、97%の確率で中央アジアに衝突するという結論に至った。スーパーコンピューターによる被害シミュレーションでは、隕石衝突後のロシア連邦および近隣諸国の生存率は、たとえ冷戦時代のシェルターをすべて活用した場合でも1%~3%にすぎない。シェルターに入れない場合は生存率が0.001%以下と見積もっている。われわれは再度の軌道修正を試みるべく核攻撃も検討したが、時速数万キロの小惑星に核弾頭を着弾させる技術は、現状のロシア軍には存在しない。アメリカの技術がロシアより優れているとは思わないが、結果としてこの状況を招いたのは彼らアメリカ人である。よって私は、ロシア国民を代表し、直接の極限的な原因を作ったアメリカ合衆国に対し報復を措置を行わざるを得ない。そうしなければ、多くの同胞に顔向けできない。人類が存亡の危機に直面する今こそ、本来なら全人類が一丸となるべきだ。しかし、わがロシアは不屈の精神を守るため、最後の戦いを開始する。ロシア連邦およびその同盟国は、20秒後にアメリカ合衆国全土ならびにアラスカ、ハワイ、グアムに対して報復攻撃を開始する。アメリカ国民諸君、地獄で待っていろ。我々もロシア国民もすぐに諸君らのあと追うであろう。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……発射(стрельба)! 地球上のすべての人類よ! これから起こる惨劇を目に焼き付け、ユーラシア大陸に偉大なロシア連邦が存在したことを心に刻んでほしい。以上。』
大統領は画面に向かって不敵に笑い、会見を終える。スタジオに戻ると、アナウンサーも専門家たちも言葉を失い、数秒の沈黙が流れた。やがてスタジオに「伊藤!! ニューヨークに繋げ!!」というプロデューサーの怒鳴り声が響き渡り、停まっていた時間が一気に動き出す。怒号が飛び交い、20秒ほどで定点カメラのニューヨーク映像に切り替わった。
高層ビルの入口から人々が溢れ出し、渋滞で身動きできない車から飛び出した人々が地下鉄の入り口を目指して殺到している。予告もなく、ニューヨーク支局の女性キャスターとテレビ電話がつながった。彼女は「私もこれから地下鉄に避難します」と言いながらスマートフォンを握り締め、走り出す。その顔がアップで映し出され、足音や息遣い、周囲の避難者たちの叫び声やすすり泣く声までがスピーカーを通して流れてきた。スタジオの怒号は一瞬で消え去り、アナウンサーも出演者たちも固唾を呑んでモニターに見入っている。
約10分後、女性キャスターはようやく地下鉄駅にたどり着くことができた。スマホのカメラで駅構内の混乱を撮影しながら、息を切らしつつ避難民の様子を伝えている。スタジオのアナウンサーが「まずはご自身の安全を確保してください」と何度も繰り返しているが、キャスターは「大丈夫です。私は大丈夫です」と答え、人々の恐怖に怯えた表情を映し続けた。俺は画面越しに彼女の姿を見て、安全な東京のスタジオと生放送で繋がっていることで、自分の精神の安定をなんとか保っているのだろうと冷静に考えていた。目の前の光景が昨夜以上に現実感がなさすぎて、まるで映画の一場面のように思えてくる。
ロシア大統領の「発射!」からすでに20分が経過しているが、まだニューヨークとの中継は続いている。核ミサイルがすぐに爆発すると思ったが、冷静に考えれば、発射地点(ロシア本土やロシア海軍の原子力潜水艦)からアメリカに到達するには30分ほどはかかるだろう。すると――
『【ニュース速報】在日米軍は極東ロシアから多数の飛翔体が発射されたことを確認しました。日本に向かう飛翔体はありません』
テレビ画面のテロップを見て、リンが首をかしげる。
「ねぇ、颯。どういうこと? ちょっと難しくてよく分からなかった」
夢うつつの寝癖ボサボサ姿のリンに訊かれ、俺は言葉を選ぶ。
「アメリカが隕石にミサイルを撃ったんだ。ミサイルって分かる?」
「わからない……ちょっと待って」
リンはスマホの翻訳アプリで「ミサイル」を調べ、『おお“导弹”か』とつぶやき、やっと理解したように頷いた。俺は続ける。
「で、小惑星の衝突地点がアメリカの近くから中央アジアに変わった。ロシアが怒ってアメリカに復讐するために核ミサイルを発射した。今のニュース速報は、『ロシアがミサイルを発射』けど『日本には落ちないよ』ってことなんだ」
小惑星だけでも非現実的なのに、そこに核戦争まで加わると、救いようがない。深刻さは分かるが、個人が考えてもどうしようもできないほど、状況は変わってしまった。
「これから隕石が落ちるのに、なんで戦争してるの!?」
「ロシア大統領が言うには、復讐のためだけらしい」
リンは首を傾げながらも、テレビ画面へ視線を戻す。理屈としては理解できるが、あの会見を受けて報復としてアメリかに核ミサイルを撃つことが正しいとは到底思えない。
「涼風先輩、衝突地点が中央アジアなら超巨大津波の心配はなくなったんじゃないですか? 日本にとっては、結果的に不幸中の幸いだったんじゃないですか?」
湊は早起きしていたらしく、すでに普段着に着替え、化粧も終えている。
「確かに超巨大津波の心配はなくなったのかもね」
「でも、アメリカもロシアも誰も得しない結果になってしまいましたね…。あっ、官房長官が出てきましたよ」
テレビ映像は日本政府の記者会見に切り替わり、内閣官房長官がいつものスーツ姿で登場した。
『日本国民のならびに日本にお住まいの在留外国人の皆様には、現時点で政府が把握している事実をお伝えします。まず、ロシア大統領の会見の真偽について、東アジアおよびEU各国首脳に確認したところ、アメリカ軍による小惑星への核攻撃は事実であり、隕石の軌道が変わった可能性が非常に高いことが判明しました。日本を含む太平洋沿岸地域への超巨大津波の可能性は減少しましたが、内陸部への衝突によって地殻に大きな衝撃が加わることで、地震が連鎖的に発生し、マグニチュード8以上の大規模地震が起きる可能性があります。したがって、連鎖的に発生する南海トラフなどの地震による津波発生のリスクは、依然として残っています。引き続き、自治体や警察、自衛隊の避難指示に従い、速やかに避難をお願いします。また、ロシア大使館に確認したところ、日本および在日米軍に対する核攻撃は行わないという回答を得ていますので、核攻撃については心配する必要ありませんので、当初の予定どおり落ち着いて避難を続けてください。なお、現時点でアメリカ合衆国本土、ハワイ島、グアム島に対する大陸間弾道ミサイルの着弾情報はありません。次回の記者会見は午前10時を予定しています。以上です』
記者席からは質問が飛び交うが、官房長官は「申し訳ありませんが現時点では、本当にこれ以上の情報はありません」とだけ言い立ち去った。
映像はスタジオに戻り、アナウンサーが「どうか落ち着いて行動してください」と何度も繰り返す。
俺たちは改めて頭の中で情報を整理し、これからの行動方針を確認しなければならない。
まず、官房長官が言ったように、超巨大津波が発生しなくて、地震の連鎖による津波や、大気を覆う粉塵に伴う甚大な被害の可能性が確実に残っている。つまり、状況はよくなっていない。
前にアメリカのサイエンス番組で見た映像では、隕石衝突後少なくとも半年以上は粉塵で大気が覆われ、日光がほとんど届かず、内部に熱がこもって気温が上昇する。外を長時間歩けない環境になり、やがて塵が晴れても異常気象が続き、農業・畜産業は壊滅的打撃を受ける。
これを踏まえ、今後の世界と日本がどうなるかを想像してみる。映画やアニメでは、こういう状況になると「普段は温厚な人でも暴徒化して略奪し合い、社会秩序は完全に崩壊する」と描かれるが、実際の社会はどうなのだろうか。東日本大震災や阪神淡路大震災では、日本人は多くが助け合い、略奪や大規模な犯罪は比較的少なかったらしい。窃盗や性犯罪の加害者も、被災者よりは被災地外から来た人やボランティアのほうが目立ったという話がある。日本人の災害時の冷静さは世界に誇れるものだが、今回は誰も経験したことのない世界規模の災害だ。救助も復興支援も期待できない。果たして日本人は、お互いのモラルと助け合いの精神を保てるのか。
現在の内閣総理大臣は就任から10年以上になる歴代最長政権で、権力基盤が安定している。そのため、かつてない大規模な避難も、政権以前では考えにくいほどスムーズに行われていると評価できる。しかし、隕石衝突の軌道変更によって状況は悪化した。もし軌道変更が起こらなかったとしたら、一時的に避難しつつ被害の少ない国から食料を輸入して復興を進める道筋もあったかもしれない。だが今後は、国外からの食料輸入はほとんど望めず、政府は飢える者と助かる者を取捨選択せざるを得ないだろう。歴代最長最強の政権といえど、法治国家の限界は厳然としてある。たとえヨシフ・スターリンのような一党独裁国家の絶対権力者であれば強行できるかもしれないが、先進国を中心とした多くの民主主義国家では、国民を選別するような強権的な政策は到底成立しえない。
結局、日本政府はドイツの社会主義批評家ラッサールが指摘した「夜警国家」のように、最低限の治安維持やインフラ維持、重要資産保護を優先し、食糧や医療支援は各自治体に丸投げせざるを得なくなるのではないか。
仮に行政機能を自治体に委ねた場合、地域によって対応は大きく異なるだろう。東京都などの人口密集地では備蓄があっという間に底をつき、物資を求める人々が地方へ大移動を始めるかもしれない。地方の自治体には、他県民や他市区町村から避難してきた人を受け入れるところもあろうが、大半は自分の住民を優先し、他地域から来た人には食糧を分配しないはずだ。地元住民が飢える可能性がある以上、他所から来た避難者に物資を回す余裕があるとは思えない。避難者は山や水場を求めて自然発生的に難民キャンプを形成し、飢えた避難者と地元住民の間に軋轢や衝突が生じるだろう。最悪の場合は、日本人同士で食料を奪い合い、殺し合う──そんな恐ろしい未来すら想像できてしまう。
とはいえ、本当に隕石が衝突してみないと被害の全貌はわからない。被害が想定より軽ければ、極端な飢饉には至らないかもしれない。しかし、前例のない異常事態に直面している今こそ、最悪のケースを想定し、それに備える必要がある。
最悪のケースとは──日本全国が食料不足に陥り、日本人同士が残った食糧を求めて殺し合うような世界だ。その場合に備え、俺たちは今後どのように行動すべきかを三人でしっかり共有しなければならない。選択肢は多くないし、どれを選んでも“正解”があるとは限らない。
三人で行動している以上、本来なら二人の意見を聞いてから判断すべきなのかもしれない。だが、すでに俺がリーダー的立場でこの二人を導いてきたから、ここで意見を丸投げするのは自分の責任から逃げることになる。クロを含めた三つの命を預かっている以上、もっとも生存可能性の高い選択肢を速やかに示さなければならない。
――そう考え、俺はバッグからA4サイズのレポート用紙とボールペンを取り出した。電気もインターネットもいつ失われるかわからない今、紙に書き残すことが何より重要だと判断した。頭の中だけで考えても堂々巡りするばかりなので、ひとまず思いつく選択肢をひたすら書き出していく。

・このまま湊の別荘に食料と水が続く限り籠城する  
・東京に戻って各自、自宅待機する  
・東京に戻って自宅近くの避難所に行く  
・北海道へ向かう  
・村の避難所へ行く  
・自警団を作り、治安悪化に備える  
とにかく思いつくまま挙げてみたが、まずは「このまま三人でここに籠城する」を最後に考えることにして、消去法で他を潰していく。
「東京に戻って各自自宅待機する」
被害が想定より軽微だった場合、もっとも現実的な選択肢だ。すぐに日常に戻れる。ただし、現時点では衝突被害の全容は不明で、今すぐ戻るのは危険すぎる。
「東京に戻って自宅近くの避難所に行く」
現状、都内に避難所が整備されているかもわからない。仮に開設されたとしても、備蓄食糧はすぐに底を突き、結局徒歩で地方へ向かわなければならないだろう。
「北海道へ向かう」
東京からの移動手段はすでに断たれている。飛行機も新幹線もフェリーも使えず、北海道へ渡る方法は皆目見当がつかない。
「村の避難所へ行く」
避難所が設置されていれば情報収集や野菜などの物資確保を目指せるが、ここに相当量の備蓄があるうえ、若い女性ふたりの存在はできるだけ秘匿したい。もし避難所へ行くなら、俺ひとりで状況を伺ってからだ。
「村の青年会に合流して治安悪化に備える」
ここが自分の地元の札幌なら可能かもしれないが、この村には知人が一人もいない。余所者の俺たちを受け入れてはくれないだろう。仮に地域コミュニティに外部の俺たちが入れてもらったとしても結局はコミュニティ内で「よそ者扱い」されてしまう。とはいえ、いずれ食糧不足や治安悪化に直面する以上、他県や他の避難者同士で自警団を結成する可能性はある。映画やドラマのように暴徒化した者たちと戦う覚悟が必要だ。
結局のところ、今選べる現実的な選択肢は──このまま3人でここに籠城することだけだ。まずは二人にも俺の考えを示し、同意を得よう。
「――二人に相談です。隕石衝突まではこの別荘で籠城しようと思う。衝突後の対応は情報収集してから考えたいんだけど、それでいいか?」
リンはうなずきながらすぐに答える。
「私もそれでいい。ここならシェルターもあるし、一番安全です」
「私も賛成です。少なくとも、ここにいれば食料と津波の心配はなさそうですから」
クロは俺の足の間で丸くなったまま、瞼を閉じている。俺が視線を向けると、一瞬だけこちらを見てからすぐ眠りに戻った。
女性二人の命を預かっている以上、最善の判断だと信じたい。
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