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私の名前は分かるけど、ここはどこかな?

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『後悔』も『絶望』もしてはいけない。
これは運命だった。
私は、それを受け入れただけの事。


真っ直ぐと続く道の真ん中にいた巫女装束の少女はゆっくりと目を開けると赤い瞳を左右に動かした後に自分の体を見ると、縛られて居らず動く体、呼吸がしやすくて「あ~~」と声も出せる、焼け爛れて居ない全身に痛みは無いし、熱くも無い。逆に足元の地面が冷たいのが原因で体は真冬の中のように冷えきっているから、風邪ひきそうだなと少しズレた事を考える。

「……私は死んだのでは無いの?」

自分の手をにぎにぎしながらちゃんと感覚がある事に「そうか」と笑う。

「ここは、黄泉の国ね。私はこれから閻魔様の所に行くのよ。だからこんなに真っ暗で何も無いのね。なるほどなるほど。黄泉はこうなっているのね。」

何やら1人で納得しながらくすくすと笑うと背筋を伸ばして奥へ奥へと進んでいく。
次第に遠くから見える光にあそこが閻魔様のいる場所か等と考えていると「バキッバキバキッ」とまるで氷が砕ける音が鳴り響き、ピタリと止まり下を向く。

足元がどんどんひび割れていき「大変だわ」と言った瞬間。
とうとう足元が崩れ落ちて、その体は奈落の底へと落ちていった。
ビュウビュウと耳元で聞こえる下からの風に目を閉じて、閻魔様に会う事も叶わぬまま地獄行きかと自嘲気味に笑いながら目を閉じる。
バサバサと聞こえてくる衣の音を最後に視界は完全に暗転し意識を手放した。

ー望む事はただ1つ。誰でもいいから私を罰して…私は『      』なのだから。




徐々に覚醒して行く意識に「んン」と言いながら目を見開いた。
ぼやけて見える視界に自分は芝生の上で寝ているのだと分かるが鉛のように体は重く手足は動かせない。
うつ伏せのまま倒れているから芝生以外視界に入らないけど、春のような心地いい風に「もしかしてこれが天国」と少しだけ悲しんでいると、倒れている場所から少し後ろの方から女性の悲鳴が聞こえた。
「何かあったのかな」と言いながらもその悲鳴を聞いて駆けつけて来たのか慌てた様子で初老の男が「大丈夫か!?」と体を仰向けに向けてくれたので、他人事の様に「私の事か」と考える。
驚いたのは見た事も無い装束を着ているから「ここは異国の地?」と考えるけど、途端に痛み出した頭に耐えられずそのまま意識を手放した。
その前に体の浮遊感があるから抱えられた事が分かる。

ー出来るのならばこのまま目覚めませんように…



チュンチュンと聞こえて来た鳥の鳴き声にそっと目を開けると、木の天井が目に入りそっと起き上がった。

芝生の上で感じた鉛のような重さは今感じられないけれど、まるで熱が出た後のような倦怠感に首を振った。

その時視界の端に写った人影にハッと顔を上げると、気の造りの扉を開けた先に10歳前後の女の子が居て、目を見開きながら大声で「起きた!お父さんお母さん女の人起きたよ!」と走りながら出ていってしまった。
暫くしてからドタバタと慌ただしい音を聞きながら開けられたままの扉から入って来たあの時見た初老の男と見た目はとても若い女性がそこに居た。
多分幼子が先程お父さんとお母さんと呼んでいたからこの3人は親子だろう。

「起き上がって大丈夫かい?」
「倒れていた理由は分かるの?どうしてあそこに?名前は分かる??」

いくつか同時に説明されたので、ゆっくりと足を動かして正座した。
ギシッと聞こえる音を無視してから背筋を伸ばすと、その場にいた3人はその姿に目を見開きながら真っ黒い髪と赤い目の少女を凝視した。

「助けて頂き感謝致します。
私の名は環。あの場で倒れていた理由は分かりませんが、とりあえずは体の方は問題はありません。」

凛としたその声に親子はしどろもどろになりながらも自分達も背筋を伸ばして頭を下げた。
少女……改めて環はその様子にクスリと笑うが、心の中で少し、生きながらえてしまった事を悲しむ。
それを表に出さぬまま口を開き「ここが何処か」を聞くが自分の頭の中の許容範囲を超えて爆発しかけた。
それを見た親子はゆっくり頭の中を整理してから明日また話そうと約束し、夕飯には呼びに来ると言い残して部屋を出ていった。


「……え、私が知る世界と何もかもが違うのは何故かしら?もしかしてここが死後の世界だからなの?」

先程助けてくれた恩人の男改めレオンハルトの言葉を思い出しながら環は頑張って頭の中を整理しながら考える。


まずこの国の名前は「レヴン王国」と言い、美しい自然に囲まれた豊かな国で1番小さな国だけどそれなりに発展はしていて今は若き王様が病気の父に変わり国を収めているらしい。
この国と言うか世界には「魔獣」なる獣が人を襲い欲望のままに食らうと言う悲しい事件が年々多発していて、それを倒す「ギルド」が幾つも各国には存在していた。
ギルドに所属する「異能力」を使う人間の総称を「討伐者」と呼んでいて、中でも力がありギルド長に選ばれた人間だけが「勇者」と呼ばれている。この「勇者」とは「光」の魔術ともう1つの生まれ持った属性の力2つを使える特殊な人間の事。
この勇者達はとある日にこの世界一の大国である「イリージア王国」に集められた後に「世界樹」を護る「聖女」と共に「魔王」の討伐に当たる為に「聖女の祈り」と呼ばれる儀式をする…のはとりあえず割愛しよう。
もう1つの国「アルビノール王国」には「魔術師」と呼ばれる全属性を使える人間が居るらしく、近い内に「勇者一行」はイリージア王国に集められるとレオンハルトは言っていた。
そして、勇者は各王国に1人ずつ居るがこの3つの王国にしかおらず他の国にはギルドは存在しても勇者は居なかった。
勇者を支える「神官」と呼ばれる者は光の力を使う事が出来るが防御に特化していて主にサポートに回っていた。
世界樹とは、世界を護る大樹の事で聖女にのみ触れる事が許されていて聖女以外が触れるとその者はたちまち大火傷をするらしい。下手をすると即死。
世界樹は魔を祓う事が出来て、魔王討伐後に世界を浄化するのが聖女の仕事なのだが……ここ数百年。
その浄化の効き目が弱まっているのか魔王を討伐しても直ぐに魔獣は現れてしまうし、何より噂では聖女何か居ないとまで言われていて一部の人間の中では「偽りの聖女を排除する」等と言った団体もいる……らしい。


「要するに、どこの世界でも何にも変わってないって事ね。」
環はそっと自分の左手首にはめていた真っ黒の数珠に触れると目線を落とし、自分の過去を思い出していた。
過ぎるのは……血飛沫と花弁のような炎の動きとそれから……。





夕飯の時間になりレオンハルトの妻であるケイトと娘のリナが環を呼びに来た。
スカーフを肩から掛けさせて体を冷やさないように支えながら階段をおりて木でできた椅子とテーブルに招く。
環が見たのは見た事も無い料理でケイトは優しく2つの手作りの柔らかいパンとスープを教えてくれた。野菜とベーコンと卵の炒め物やスプーンとフォークの使い方に…それだけでは無い。
下着の付け方やお風呂にトイレの使い方と着物では無い洋服の着方……とまで行って流石に驚かれたので環はリナが眠った後先程のテーブルにて2人に話した。
「姫神子」と「妖を倒していた」と言うのは伏せながら死んだ事や初めて見る世界の事……

「……貴方、エマに相談してみてはどうかしら。きっとあの子ならタマキちゃんの役に立ってくれるわ。」
「ああ、そうだな。俺達には分からない事だらけだ。」

ケイトやレオンハルトがそう言うと環は首を傾げたが間違いなく迷惑をかけているので頭を下げた。
慌てた2人は頭を下げるのを辞めさせると、環を寝室まで連れていき「明日エマの元に行こう」という話になり「おやすみ」をして部屋を出て行く。
環は教えてもらったベッドに寝転がりながら夜の空を見る。
ここの星はどうやら自分が居た所と同じらしく、よく星が見えるから少しだけホッとする。
らしくもなく緊張していたのが原因か直ぐに寝落ちた環だが、その日は滅多に見ない夢を見た。

この夢は自分の中の1番古い物だ。

幼い自分を抱きしめながら『ごめんなさい』と泣いた母の着物から覗くやせ細った腕は震えていて今にも折れそうだったのを覚えている。
厳格な父とはあの別れる日の5日前から話しておらず、見送りにも来なかった。

その数日後には父からの手紙で母の死亡を知ったけど、特に何も思わず手紙を運んでくれた侍女には『分かりました』とだけ伝えた……と思う。

今思えば少し位悲しむ素振りがあれば気味悪がられずに居たのかも知れないけど、今更そんなこと言っても仕方が無いから考えなくていい。
と、夢の中の自分に突っ込みながら目を覚ました環は昨日教えてもらった通り洋服に袖を通した。ボタンをつけるのが1番大変だったけどとりあえず何とか成功し、髪の毛も櫛で溶かしながら鏡に映る自分の顔色が相変わらず悪い事に何ら違和感もなく部屋を出た。

ケイトの朝ご飯の支度を手伝おうとするが、その前に庭からレオンハルトに呼ばれてそちらに向かう。
彼は手作りの椅子に座っていて環を手招きしながら横に座らせた。

「よく眠れたかな、タマキさん?」
「ええ、何もかもありがとうございました。」
そっと横を見ながら何を考えているのか分からないレオンハルトを見つめてお礼を告げると、彼は楽しそうに笑いながら「それは良かった」と言った後に真面目な顔をして環を見た。

「君の事情をエマ以外に教えない事を約束して欲しいんだ。」
「……それは、どういう事ですか?」

レオンハルトは1度俯いた後にそっと顔を上げてから周りに誰も居ない事を確認すると小声で「君を守る為だ」と告げた。小首を傾げた環にレオンハルトが説明する。

この世界には確かに異能力を持った者がギルドに所属し魔獣を倒しているが、力の無い一般人には異能力が無いから魔獣を倒す事が出来ずにいた。
討伐者が間に合わずに家族を殺された人何て現に沢山いるし魔獣の出現は年々増加している。
夜にしか行動しなかったのに昼間にも現れるようになったのは、人々の暮らしを大いに脅かす。その家族を殺された者達が立ち上がり「魔獣が減らないのはギルドが役に立たないからだ!」と「ギルドに所属するのは敵だ!」等と叫ぶ過激派も存在していてかつてその争いで何人かの死傷者さえ出ていた。

「…だから、タマキさん。エマ以外には言ってはいけないよ。長の部屋には入れないから一人で行く事になると思うが、どうか人払いをしてもらいなさい。」

レオンハルトの言葉に静かに頷くと環はそっと数珠を撫でてから「行こうか」の声に立ち上がった。
生暖かい風が環の黒い髪の毛を揺らす。

ーなんだか嫌な風ね。


レオンハルトが街へ行く為に馬車を用意してくれて、環はケイトとリナとそれに乗り込んだ。
ガタガタと揺れる道を進みながらこの世界の事を聞いた環はリナには暇を潰せる遊び方を教わったりするが何もかもが初めてだし、子供との接し方がわからずケイトに助けを求めた。

そんなこんなでガタガタ揺れる道から舗装された道へと変わり門番の許可が降りて街に入っていった。
大きな城が遠くから見えるし家の形も見た事ないものだらけで若干興奮してる環だが、それを顔には出さずにジッと窓から眺めていた。疲れて眠ってしまったリナはケイトの膝の上。

「……リナにはね、本当はお兄ちゃんが居たのよ。数年前に魔獣に殺されてしまったけど……」
「……。」
ケイトがリナの頭を撫でながら独り言のように呟く。この話は先程レオンハルトが環にしていた話題で、環は慰める言葉など思い浮かばずに黙ってしまった。
それでも構わないとケイトは優しく微笑んだ後に「実は私達も元々討伐者だったのよ」と話す。

先代ギルド長の娘であったケイトは今のギルド長エマの姉。
結婚して長男を妊娠した事でギルドを去ったが、レオンハルトも元々ギルド所属でその時はまだ討伐者だったけど、息子の死で塞ぎ込んでしまいギルドを辞めた。そんな矢先にリナが産まれて絶対に守り抜く事を誓ったのが5年前の話。

環は愛しそうに頭を撫でてもらえるリナを少しだけ羨ましくなる。

ー最期に母様から頭を撫でて貰ったのはいつだったかしら……もう、250年以上前かな……?




街のギルドに着くと、話は通っているのかすんなり通された環は背筋を伸ばしたままギルド長の元へと向かった。
レオンハルトが言ったように人払いをしてもらい別の世界から来た事を告げると少し考え込んだエマが「転生者」と新たに告げて来たのは、ごく稀にこの世界にやってくる別の世界で死んだ人間がやってくる話だった。

今から150年近く前にこの世界にやって来た転生者がアルビノーリ王国で目を覚ました。
彼は当時病で死んでこの世界にやってきたがこの世界でも病は消える事無く少し進んだ医療で何とか30を超える事が出来たけど、それ以上は生きられなかった。だけど彼は薬の被検体として後世に残していったと、言われているが詳しい事は何も分からなかった。
転生者と言えどそんなに頻繁に来る訳でも無いし、国の歴史にだって残っちゃいない。
それでも転生者と名付けたのだってその病弱の男が「貢献」したから1部のギルドで転生者と名をよばれているだけ。

環はその話を聞きながらも対して興味も無く、ある程度話した後にお礼を言ってエマの所から外で待っているケイトの元へ進んで行った。

エマとの話をケイトにしている間際、これからどうするかの話に環はエマが用意してくれると言う小さな家に住む事を言った。
悲しむリナの頭を撫でてから1人になる時間や生活があまりにも違くて慣れるために……等と説明しながらも何かあったら必ず頼る事を約束して、その日から1週間以内にレオンハルト達の元からエマの迎えでその家を出ていった。

本心は1人になりたかった。それに、恩人達に自分の事を知られるのが怖かったし、慣れた軽蔑の視線や畏れを向けられたくは無かったし戦いたくは無かった。


エマとの2人きりの馬車の中で環は用意してもらった小屋に案内されて、ある程度は綺麗にしてあるし食料も揃えてもらった事にお礼をすると、エマは笑顔のまま去っていった。

心機一転と取り敢えず夕食を作ってみるが、産まれてから1度も食事を作った事が無い環は四苦八苦しながらも何とか食べれる物を用意したが、余りにもお肉が硬くて小さく小さく切った後に時間をかけてゆっくり食べて行った。
夜の静かな部屋には慣れているしどうってこと無かったが、ここ数日の間賑やかだったから少しだけ違和感を感じていると、ビリビリと感じた「嫌な予感」に立ち上がった。
これは、妖退治をしている時に感じる独特な空気だ。

環は心を鎮めるために目を閉じた後に気配を探る。
深く、遠く、すると聞こえた悲鳴に目を開けて駆け出した。

夜の森を掛けながら凡そ人とは思えない速さでぐんぐん先へ進んでいく。その風を受けた草木が遅れて左右に揺れると、環は鼻につく「慣れた血の香り」に怪我人が居る事を悟り足を早めた。
争う音や聞きなれた獣の声に崖の下だと悟り木の間から下を見ると、どうやら一人の男が何かの術を使いながら「魔獣」に囲まれているのがわかる。数で言えば10はいくだろうか。血走った赤い目と狼や熊の他に化け猫の如く大きな物見た目は様々なだが、全て生やした牙は血にまみれて涎をダラダラと垂れ流していた。
環はそれを見て「まるで餓鬼ね」と思いながらそっと左手首の数珠に触れる。

この世界では平凡に、普通に暮らそうと考えていた矢先のこれ。
自分は戦いの運命から逃げられないのかもしれない。

数珠を撫でた後そっと「桜華丸(オウカマル)」と呼ぶと、まるでそこに刀がある様に握り右手を抜刀する形をしてからゆっくりと抜いていくと、何も見えないそこからスラリと濃紺色のクラりとした刀身が現れて、環はそれを払う様にするとスパッと草がハラハラと切れて行った。

現れた刀身と同時に環の髪の毛が黒から真っ白い髪に変化し毛先が青白な炎のように燃えた。
1番初めに着ていた巫女装束へと変わり短いヒールの靴から素足へ。
足首にはシャラシャラと鳴る銀色の飾り物が付き動く度に美しい音を鳴らした。
刀の鍔には硝子玉と勾玉が付いていて、まるで手放す事を許さないと言うように環の右手首に細い鎖と共に巻きついていた。

「……久しぶりの獲物だ、桜華丸。」

少しだけ口調が変わった環はニヤリと崖下を見た瞬間、飛んだ。
正確には飛び降りた、だけど。


ズダーン!と音がしてこの中で1番大きかった化け猫のような魔獣が真っ二つに斬られていて断末魔を上げた後死んだ。

何が起こったのか分からない追い詰められた男は、目の前の魔獣達が自分から見て右側を警戒するのに気が付きそちらを見ると、目を見開く事になった。

月に照らされて青白く輝く肌と炎のように揺れる髪、見た事ない服装だけど、全身に血を浴びている姿はとても恐ろしい筈なのに美しくて、まるで言い伝えにある女神だと思うけど、きっと女神はこんなに血にまみれていないからそれをそっと否定した。

環はこてんと首を傾げた後に今立っている岩場から飛び上がり袴が翻り足が見える事を構う事無く次の獲物を切りつけた。
動く度に鳴るシャランシャランと言う音が鳴る事と相まって踊っている様に次々と魔獣を倒していくその姿はまるで高貴な踊り子。

真っ白な髪の毛の先から上がる青白い炎は楽しそうに爆ぜながらふわりと動いては死んだ魔獣に燃え移りその体を炭にしていく。

10体全ての敵を倒し終えた環は刀身に着いた血を払うと血まみれの巫女装束を見て「ふふ」と笑った。
それを皮切りに自分の顔を覆い「流石「血染めの姫神子」こう言う場所がお似合いだ!」とまるで泣いてる様に笑いだした。
それを見た怪我をした男は少しだけその後ろ姿が切なくなりながらも緊張から解かれて気を失った。

環はそっと笑うのを辞めると「祓え、清めろ」と言い、その場を浄化した。
青白い炎が魔獣以外を浄化していて木々には燃え移る事無くそのまま環に着いた血も燃やして消していく。

血が全て清められ汚れひとつない巫女装束を見下ろした後に気を失った男を見てからするりと桜華丸を数珠に戻していくと、髪の毛も黒に戻り服装も変化した。

「……逃げる事は許されない。」

そっと目を閉じてから下弦の月を見て、はるか昔に言われた『血染めの姫神子にお似合いよ!罪人め!!』と言われた言葉を思い出す。
あの時の少女の顔は覚えてないけれど、あの言葉だけはずっと環の脳裏にこびりついて消えない。

多分、あの時から環は泣くのを辞めた。きっと……200年以上泣いていない。泣き方を、忘れたと言えば良いだろうか。

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