ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成

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「え?アメリカと中国からSランクハンターが来るんですか?」

「なんでまた……」

「荒鐘君が全世界に非公式とはいえ爆弾を投げたじゃないですか?アレについて詳しく話を聞きたいからだそうです」

「「アレか~」」

ハンター協会にある古豪会長の私室で真と獅堂は空をを仰いだ。
よくよく考えれば爆弾を落としてから数ヶ月間何も反応が無い方がおかしいのだ。
今回ようやくと言っていい感じで人が日本に派遣されたのだ。

「いつ日本に来るんですか?」

「明日には日本に到着するそうだ。協会に来たら話を聞いた後模擬戦闘してダンジョンに一緒に潜りたいそうだ」

「デルガ達については何か?」

「会わせろと言っていたな……」

「絶対面倒事になるやつ~!」

座っているソファーにもたれかかり愚痴を溢す。
そんな真を見て古豪会長は苦笑すると表情を切り替えて再度目の前にいる2人を見つめる。

「新人Sランクハンターとはいえ既に今までのハンターより数段実力も戦績も上位の2人に模擬戦闘の相手をしてもらいたい」

古豪会長が真剣な目で2人を見る。

「それは私達2人でアメリカ中国のSランクハンター全員を相手しろという事ですか?」

少し警戒して古豪会長に質問するが即座に否定される。

「まさか!デルガ君の部下と契約したSランクハンター達とその他のSランクハンターにも声を掛けているからそこは安心して欲しい」

その言葉に真は納得した。
獅堂はまだハンター同士の戦闘をランクアップ試験でしか経験していないためかなりホッとしていた。
ある程度明日の予定を話している時に古豪はふと2人に何気ない質問をする。

「そう言えばレベルはどこまで上がったのかね?」

「レベル……ですか?」

「俺は82です」

「レベル結構上がったな獅堂」

「真はどこまで上がったんだ?そこそこ上がってるでしょ?」

少し勿体ぶった様子でニヤニヤしながら答える。

「この前猫耳中華娘とダンジョン内で会う前は113だったが今は!!120ある!!目標まではまだまだだが今度1週間魔界に合宿しに行くからペース的には割と理想的だ!」

悪魔族の一部が地球に侵攻する予定の月まであと3ヶ月もない。
しかし実際に真の言葉通りペース的には少し間に合い余裕が出来るくらいには理想的だった。

「今までの人類最高が分かる限りで110辺りだったはずが簡単に更新されているだと……これが若さか」

「スパルタのお陰っす」

「そうか。まぁ言う事はもう尽きた。すまないな急に呼び出して。今度何か奢ろう」

「「なら叙◯苑でお願いします!!」」

「遠慮ないな?経費で落とせるから問題ないが」

この会話を最後にして真と獅堂は古豪会長の私室から退室する。



「今日は貴重な休養日だから適当に飯食いに行かね?」

獅堂が提案すると真は笑顔で賛同する。
そのまま元気よくハンター協会を出ると少し離れた位置にある秋葉原に足を運んだ。

「やっぱアニメとかが盛んだから海外からの観光客も多いな、ほらあそこにでけぇ図体の人が」

真が指差した先には190cmほどの高身長にボディービルダーレベルでガタイの良い外国人がいた。

「NOooooooo!!!なんで取れないんだ!!」

クレーンゲームをしていて狼のぬいぐるみを取ろうとして何度も失敗しているようだった。
しまいには筐体を叩く始末
あまりにも不憫な為真と獅堂は声を掛けた。

「あのーーーどうしましたか?」

するとSランクハンターである2人が驚くほど速く振り返った。

「どうしたもこうしたもないよぉ!!このぬいぐるみが取れないんだ!!せっかく娘へのプレゼントとして取ろうとしてるのに!このクレーンゲーム本当に取れるのか?!」

「もし良ければ……代わりに取りましょうか?」

小さく呟くとガタイの手を「ガシッ!!」と掴み上げた。
そして感激したように言葉を放つ。

「是非お願いする!!!」



場所を代わり500円を投入する。

一回目で目標物である狼のぬいぐるみを出口に向けてずらす。
二回目も同様にずらす
三回目は頭を出口に引っ掛けるように持ち上げる。
四回目で決めようと下半身を掴み持ち上げた。
しかし後少しという所で足が引っ掛かりギリギリで落ちない。
既に落ちているような状況だった。
ガタイの良い外国人のお兄さんがあからさまに落ち込む。
しかしまだ2回プレイ回数が残っている。

五回目でクレーンの掴む部分で狼のお尻を押すと引っ掛かりも取れて落ちた。

「おぉぉぉおぉぉ?!?!凄いなぁ君!!いや~!!娘にいい土産が出来たぁあ!!」

バシっ!バシっ!ともの凄い力で狼のぬいぐるみを取った真の背中を叩く。

(痛えぇ!力強いって!………え、?)

ありえなかったのだ。
まだ非公式ではあるが真のレベルは現時点で知る限り人類最高だった。
その真に対して痛みを感じさせるのは明らかに普通ではなかった。
背中を叩いた本人も真の背中の手応えに表情を変えた。

「お前……日本のハンターなのか?」

「だとしたらなんです?」

2人はただポケットに手を突っ込んでいるだけの体勢だが警戒心はマックスで目の前の男と対峙する。
真達が自分を警戒している事が嬉しいのかその口角を曲げる。

「一般人に悟られない緻密な殺気と警戒心……極上だな。数年前までこんな良いハンターは日本に居なかったはずだが?」

「俺達は恵まれたとはいえ自ら進んでダンジョンに潜り漁る力があるんです。当たり前ですよ」

「お兄さんもかなり強いみたいだけど俺と真を相手取って勝てるなんて思わない事だな?」

空気がピリつく周りの人達も様子がおかしい3人から少しずつ遠ざかっていく。

「おいおいおい!待て待て待て!喧嘩する為に日本に来たんじゃねぇ!事情があって来たんだ!早く来すぎたから今日は観光してるだけだ!」

焦ったように目の前の男が訳を話す。
敵意がない事を感じた2人は意識を普段に切り替える。

「言動が誤解を招いたのなら謝ろう。だから場所を教えて欲しいんだがーーーー」

「見つけた!!何してるんですか!!」

声が聞こえる。
中々グラマラスな体形の女性が目の前の男に声を掛けた。

「誰ですかこの人達は?」

明らかに真達を警戒していた。

「日本のハンターだそうだ」

「日本の?この様に強いハンターいましたか?」

悪気がない一言だったが真と獅堂は反応した。

「は?」

「あ?」






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