ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成

文字の大きさ
64 / 100

提案

しおりを挟む


いつもの如く奥の部屋に案内される。
そこでジェイソンは古豪会長にここまでの経緯を説明する。
驚いたり真と獅堂をチラリと見て頭を抱えたりする。
その度に2人は申し訳ないという気持ちが出てくる。

全てを聞き終えると若干諦めた表情で部屋にいる全員を見渡す。

「観光するから早く着くという連絡くらい今度かはして下さい……歳を取ると胃も弱くなるんです」

「すまねぇ古豪」

「他の皆さんも出来れば今度から暴走するリーダーを止めて下さいよ?大変ですから」

「「「「Yes Yes」」」」

ジェイソンの座っている椅子の後ろで立っていた他のアメリカンなSランクハンター達は通訳を介して返事をする。

「中国のSランクハンター達は明日到着する。泊まる場は既に?」

「いえまだ決まっていません。何せこの馬鹿が考え無しに観光したいという理由で1日早く来たので」

ジェイネーがジェイソンの後頭部を思い切り叩きながら古豪に愚痴る。
「すまねぇ、すまねぇ!」とジェイソンが必死に自分の妻であるジェイネーに謝る。
考えなしに行動するから力関係が明白なのだろうか……。

「ならばこのハンター協会の最上階に泊まりますか?一時的に客室と貸し出せますので」

古豪が何度も叩かれているジェイソンを見かねて提案を出す。
提案を聞いたジェイネーは叩く事をやめ古豪を見る。

「申し訳ありません。お言葉に甘えさせても?」

「分かりました」

古豪は一礼して立ち上がると受付嬢を呼びに行く。
そして受付嬢にアメリカのSランクハンター12人にハンター協会の最上階の部屋を客室として貸し出すように伝える。
Sランクという言葉に反応するとガッチガチになり職場に手続きしに戻っていった。

(Sランクハンターだった事は伏せておくべきだったか……)

ほんの少しだけ古豪は後悔した。

「ところでだ古豪」

「なんでしょうか?」

「そこの少年2人は誰なのだ?一般人であろう?」

ジェイソン自身は真と獅堂がSランクハンターである事は背中を叩いた時にほぼ確信している。
半笑いで古豪を見ると古豪と少し笑いながらこたえる。

「新人のSランクハンターであり片方の荒鐘真は現日本のSランクハンターの中ではトップの力を持っている」

その言葉にジェイソン以外のメンバーの顔が驚愕に彩られる。
ジェイネーは「さては知ってな?」という顔でジェイソンを睨む。
それに気付かないようにジェイソンは顔を背ける。

「貴方達そんなに強かったの?だって魔力が……」

真と獅堂から魔力が溢れていない事を指摘する。
一般的なハンターはレベルが上がると魔力も個人差はあれど確かに上がっていくと同時に体から漏れ出る魔力も増える。
しかし魔力が体から知らず知らずのうちに漏れ出ているという事はダンジョンでモンスターに見つかる可能性が高いという事。

高ランクになるほどそれを回避するため魔力を抑える傾向にある。
貴重な高ランクハンターは国の貴重な財産であるため上から連絡が来るのだ。
魔力を抑える技術とそのハンターの力を示す指針になる。

魔力を抑えるのが上手い真と獅堂はジェイネーと後ろにジェイソンの後ろに立っている仲間達に低ランクのハンターだと誤認されてしまったのだ。
ジェイソンとジェイネー以外のアメリカメンバーは少し疑わしい目を2人に向ける。

今にも実力を試しに斬りかかりそうな雰囲気を出す。
それを牽制する意味も込めて明日の予定をジェイソンに話す。
そして通訳を介して後ろのメンバーにも伝える。

「明日中国のSランクハンターの方々も来ます。その時友好を深めるために模擬戦でお互いの実力を確かめては?」

「古豪……」

ジェイソンは真面目な顔で古豪を見つめるとその唇と曲げる。

「本気でやって良いのか?」

空気がビリビリと張り詰めるのが瞬時に分かるほど目の前のジェイソンからやばいプレッシャーが溢れ出る。
思わず真と獅堂はその場から離れて1番信用出来る武器を取り出し構えた。
ジェイソンの仲間のハンターは焦った表情でその体に抑えていた。

「ジェイ……!公共の場ではその殺気を出すなと言っただろう!抑えろ!」

ジェイネーはジェイソンの首に短剣を添えて必死にその殺気を沈めようとする。
次の瞬間殺気が嘘だったかのように霧散する。

「ん?……あぁ、またか?」

「ジェイさん、気を付けて下さい。またあの時みたいな事は勘弁なんですから」

「ジェイいい加減それを制御しないと取り返しのつかない事になるわよ」

尋常ではない目でジェイソンを睨む。
自身が愛する妻からその様な目で見られた事で目に見えてテンションが下がり落ち着く。
ジェイネーが真達と向かい合うと深く頭を下げる。

「申し訳ございません。今の一連の事はジェイソンが抱える問題でも有ります。決して煽る気持ちがあったとかではありません」

「んんん!!」

古豪は強めの咳をして注目を集める。

「取り敢えず中国の方々や日本のSランクハンターからアドバイスなどを貰って見てはどうでしょうか?明日の模擬戦の前、もしくは後に時間を幾らでも設けますよ」

「すまん古豪」

この会話を最後にして用件は終わる。
そして立ち上がろうとした時目の前にゲートが開くとその中から焦った様子のデルガが現れた。

「主様!一際強い魔力を感じましたがお怪我は!」

すぐ様真に駆け寄ると体をペタペタを触ってくる。
沢山の視線がある中でこれ苦行だと感じた真はなんとかデルガを体から引き剥がす。

「デルガ安心してくれ。お客の発作みたいなものだから!」

ここでジェイソンに対して文句を言えば間違いなく襲いかかる。
ギリギリで庇う発言をした事で1人の命が救われた。

「発作で魔力が暴走ですか……」

「取り敢えずジェイソンさん達は協会で休んで行って下さい。荒鐘君はなし崩しにまた来てしまったね。良かったら遊んで行くかい?」

「遊び?」

1人のハンターが反応する。
それに答えるように古豪は続けた。

「地下にちょっとしたミニゲーム感覚で訓練出来る場所がある。もし食事の後にやりますか?」

「「「「「やりましょう」」」」」

活気盛んな男性ハンター達は元気よく返事をする。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

ギャルといちゃこらしていたらダンジョン探索がはかどった件。うちのお菊がもふもふで可愛すぎる♡

マネキネコ
ファンタジー
日本国内に3つのダンジョンが出現して早10年。日本国政府は各方面と協議を重ねた結果、ダンジョンを国民に開放すると宣言した。つまり現在では探索者ライセンスさえあれば誰でも気軽にダンジョン探索ができる時代になっているのだ。高校生になった僕は夏休みに入るとすぐに探索者講習を受けライセンスを取得した。そして残りの夏休みすべてをダンジョン探索へと費やし、通常は半年以上は掛かると言われていた最初のレベルアップを、僕はわずか3週間あまりで達成した。これはとんでもない快挙といってもいいだろう。しかも他の人に比べると、身体能力がはるかに劣っているチビデブの僕がである。こんな結果をもたらした背景には、なんといっても僕のパートナーであるお菊の存在が大きいだろう。そしてもうひとつ、なぜだかわからないが、ステータスの中に『聖獣の加護』が表示されているのだ。おそらく、この効果が表れているのではないだろうか。そうして2学期が始まり僕が教室に顔を出すと、最近やたらと絡んでくるギャル友から「あんたなんか変わった!? なんていうか雰囲気とか? 背もだいぶ伸びてるみたいだし」と、なんでどうしての質問攻め。今まで異性には見向きもされなかった僕だけど、これってもしかして、『モテ期』というやつが来てるの?

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...