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提案
しおりを挟むいつもの如く奥の部屋に案内される。
そこでジェイソンは古豪会長にここまでの経緯を説明する。
驚いたり真と獅堂をチラリと見て頭を抱えたりする。
その度に2人は申し訳ないという気持ちが出てくる。
全てを聞き終えると若干諦めた表情で部屋にいる全員を見渡す。
「観光するから早く着くという連絡くらい今度かはして下さい……歳を取ると胃も弱くなるんです」
「すまねぇ古豪」
「他の皆さんも出来れば今度から暴走するリーダーを止めて下さいよ?大変ですから」
「「「「Yes Yes」」」」
ジェイソンの座っている椅子の後ろで立っていた他のアメリカンなSランクハンター達は通訳を介して返事をする。
「中国のSランクハンター達は明日到着する。泊まる場は既に?」
「いえまだ決まっていません。何せこの馬鹿が考え無しに観光したいという理由で1日早く来たので」
ジェイネーがジェイソンの後頭部を思い切り叩きながら古豪に愚痴る。
「すまねぇ、すまねぇ!」とジェイソンが必死に自分の妻であるジェイネーに謝る。
考えなしに行動するから力関係が明白なのだろうか……。
「ならばこのハンター協会の最上階に泊まりますか?一時的に客室と貸し出せますので」
古豪が何度も叩かれているジェイソンを見かねて提案を出す。
提案を聞いたジェイネーは叩く事をやめ古豪を見る。
「申し訳ありません。お言葉に甘えさせても?」
「分かりました」
古豪は一礼して立ち上がると受付嬢を呼びに行く。
そして受付嬢にアメリカのSランクハンター12人にハンター協会の最上階の部屋を客室として貸し出すように伝える。
Sランクという言葉に反応するとガッチガチになり職場に手続きしに戻っていった。
(Sランクハンターだった事は伏せておくべきだったか……)
ほんの少しだけ古豪は後悔した。
「ところでだ古豪」
「なんでしょうか?」
「そこの少年2人は誰なのだ?一般人であろう?」
ジェイソン自身は真と獅堂がSランクハンターである事は背中を叩いた時にほぼ確信している。
半笑いで古豪を見ると古豪と少し笑いながらこたえる。
「新人のSランクハンターであり片方の荒鐘真は現日本のSランクハンターの中ではトップの力を持っている」
その言葉にジェイソン以外のメンバーの顔が驚愕に彩られる。
ジェイネーは「さては知ってな?」という顔でジェイソンを睨む。
それに気付かないようにジェイソンは顔を背ける。
「貴方達そんなに強かったの?だって魔力が……」
真と獅堂から魔力が溢れていない事を指摘する。
一般的なハンターはレベルが上がると魔力も個人差はあれど確かに上がっていくと同時に体から漏れ出る魔力も増える。
しかし魔力が体から知らず知らずのうちに漏れ出ているという事はダンジョンでモンスターに見つかる可能性が高いという事。
高ランクになるほどそれを回避するため魔力を抑える傾向にある。
貴重な高ランクハンターは国の貴重な財産であるため上から連絡が来るのだ。
魔力を抑える技術とそのハンターの力を示す指針になる。
魔力を抑えるのが上手い真と獅堂はジェイネーと後ろにジェイソンの後ろに立っている仲間達に低ランクのハンターだと誤認されてしまったのだ。
ジェイソンとジェイネー以外のアメリカメンバーは少し疑わしい目を2人に向ける。
今にも実力を試しに斬りかかりそうな雰囲気を出す。
それを牽制する意味も込めて明日の予定をジェイソンに話す。
そして通訳を介して後ろのメンバーにも伝える。
「明日中国のSランクハンターの方々も来ます。その時友好を深めるために模擬戦でお互いの実力を確かめては?」
「古豪……」
ジェイソンは真面目な顔で古豪を見つめるとその唇と曲げる。
「本気でやって良いのか?」
空気がビリビリと張り詰めるのが瞬時に分かるほど目の前のジェイソンからやばいプレッシャーが溢れ出る。
思わず真と獅堂はその場から離れて1番信用出来る武器を取り出し構えた。
ジェイソンの仲間のハンターは焦った表情でその体に抑えていた。
「ジェイ……!公共の場ではその殺気を出すなと言っただろう!抑えろ!」
ジェイネーはジェイソンの首に短剣を添えて必死にその殺気を沈めようとする。
次の瞬間殺気が嘘だったかのように霧散する。
「ん?……あぁ、またか?」
「ジェイさん、気を付けて下さい。またあの時みたいな事は勘弁なんですから」
「ジェイいい加減それを制御しないと取り返しのつかない事になるわよ」
尋常ではない目でジェイソンを睨む。
自身が愛する妻からその様な目で見られた事で目に見えてテンションが下がり落ち着く。
ジェイネーが真達と向かい合うと深く頭を下げる。
「申し訳ございません。今の一連の事はジェイソンが抱える問題でも有ります。決して煽る気持ちがあったとかではありません」
「んんん!!」
古豪は強めの咳をして注目を集める。
「取り敢えず中国の方々や日本のSランクハンターからアドバイスなどを貰って見てはどうでしょうか?明日の模擬戦の前、もしくは後に時間を幾らでも設けますよ」
「すまん古豪」
この会話を最後にして用件は終わる。
そして立ち上がろうとした時目の前にゲートが開くとその中から焦った様子のデルガが現れた。
「主様!一際強い魔力を感じましたがお怪我は!」
すぐ様真に駆け寄ると体をペタペタを触ってくる。
沢山の視線がある中でこれ苦行だと感じた真はなんとかデルガを体から引き剥がす。
「デルガ安心してくれ。お客の発作みたいなものだから!」
ここでジェイソンに対して文句を言えば間違いなく襲いかかる。
ギリギリで庇う発言をした事で1人の命が救われた。
「発作で魔力が暴走ですか……」
「取り敢えずジェイソンさん達は協会で休んで行って下さい。荒鐘君はなし崩しにまた来てしまったね。良かったら遊んで行くかい?」
「遊び?」
1人のハンターが反応する。
それに答えるように古豪は続けた。
「地下にちょっとしたミニゲーム感覚で訓練出来る場所がある。もし食事の後にやりますか?」
「「「「「やりましょう」」」」」
活気盛んな男性ハンター達は元気よく返事をする。
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