ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成

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ゴレマス

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「くっ!!」

握力も無くなり握っていた武器が側に転がる。
武器を拾いに行こうと必死に立ち上がろうとするが力が入らず膝をついてしまう。

「無様だな」

「黙れ……!浅はかな考えで悪魔族の王になろうとするとは幼稚が過ぎるのではないか?」

腹に衝撃が走る。
胃の中に入っていた物全てが逆流してしまう。
自分を見下ろす男を殺意の篭った目で睨みつける。

「まるで猫が怖がっているようだな?」

「ちっ」

再度脚に力を込める。
今度は膝をつく事なく立ち上がる事に成功する。
自分の行動を邪魔する様子が一切ないのは何をしても対処が出来るという意思の現れだろう。

手から離れた武器を掴み支えにする。
なんとか武器を構える。
今の状況になるまでに普段愛用している短剣や鍛錬用の大剣、長剣、太刀、短刀のみならず斧、槍といった多種多様な武器全てが破壊されていた。

「こんな万策尽きた中お前のやる事はただ一つだけだ。この俺に跪き命乞いをした後靴を舐める事だ。服従の印としてな」

「ハァ……お前の靴を……舐めるくらいなら!お前が見下している人間と交わった方が遥かにマシだ!!」

目の前の男に煽るようにして全力で拒否の意図を伝える。
理解をすると徐々にその顔は憤怒に染まっていく。

「貴様……!!この私が下等な人間以下だと?!この私を侮辱した罪!!万死に値する!!」

剣を取り出し「今からお前を殺す」とでも言わんばかりに構えると即座に地面を踏み込み突きを放つ。
ギリギリで交わすが頬が少しだけ斬られた事に気付く。

「瀕死の状態とはいえ良く動いたな。楽しみにしていろよ。今から嬲ってくれる」

目の前の男は態とギリギリを狙い態と避ける選択肢を選ばせ避けた所を思い切り腹目掛けて蹴る。
流石に避けられず吹き飛ばされ壁にぶつかりずり落ちる。

そこからおおよそ戦いと呼べるものではなくなり一方的な蹂躙劇に変わる。
剣すら持たせてもらえずに蹴られ殴られた時に剣で体を斬られる。

「ぐ、あぁぁあぁぁあぁ!!!」

腱を斬られ立っている事すら出来なくなる。
自分より力のない者を痛ぶる目の前の男からは騎士道などといった物が何一つ感じられない。
ただひたすら視線が粘ついている

(小僧の魔力は……多少奪っていたのがあったな)

今から目の前の男から逃げる算段をつける。
力を振り絞り立ち上がる。

「おいおいおいおい!!頑張って立ち上がってどうしたよぉ!健気にこの場で起きた事を伝えにいくのか?んんん?」

「お前のその……油断するクセ。直した方がいいな」

「あん?何を言ってーーーー」

自分の手の中にある短剣を出現させる。
突如現れた短剣に目の前の男は驚きを隠さず慌ててその場から離れる。

「だから言ったろ。油断するなって!!!」

短剣を地面に思い切り突き刺すと魔法陣が自分が座っている範囲に広がる。

「なっ?!待てゴレマス!!」

「じゃあなカラバレル」

カラバレルの急いで伸ばした手は空を切りゴレマスの姿は跡形もなく消え去った。
突然の事に呆然とするがすぐさま冷静になる。

「よくも逃げたな……よくもこの私に恥をかかせてくれたなゴレマスゥゥゥゥウ!!」

地下であるこの空間に転移を封じる細工をした筈が消えたゴレマスの名前をただただ叫んだ。







荒鐘宅

もうすっかり家族の一員となったデルガとアグリードと一緒に話題に話題のVictory guysという家庭用ゲームをしていた。

可愛いキャラを操作してひたすら上を目指して走るという単純極まりないゲームだが障害物やキャラの特殊能力が上手く噛み合わさり爆発的な人気を世間の子供だけではなく大人からも勝ち取った。

最初は操作にもたついたデルガとアグリードだが慣れて来ると真や響と対等に渡り合えるほどめきめきと実力を上げていく。

今日も食事も終わり暇が出来たためリビングで遊んでいると真の部屋から

ドスンッ

と何かが落ちる音がリビングまで聞こえる。
ゲーム中で音楽が鳴っているとはいえ聞こえてきた音に訝しみ一時中断して立ち上がる。

真は趣味の開封していないフィギュアが入った段ボール箱でも落ちたのかと考えながら自室の部屋を開ける。

「ハァ…………ハァ……ハァ……」

息も絶え絶えなゴレマスが床に倒れていた。
いきなり目の前に瀕死の体格的に男が倒れていて頭が真っ白になる真だがなんとか体を動かしうつ伏せになっていた男を仰向けにする。

仰向けにするとダンジョン決壊の時に一度だけ会ったゴレマスだった。
瞬間的にデルガとアグリードの2人を呼んだ方がいいと判断しすぐさま2人を真の部屋に呼び寄せる。

「「主様何事ですか?!」」

「厄介ごとだ」

体を少しずらすとゴレマスの顔が2人の視界に入る。

「ゴレマス?!何故ここに!!」

「誰だコイツ」

アグリードは過敏に反応するがデルガは微妙な反応を返すとゴレマスに駆け寄ったアグリードが補足する。

「去年の春終盤にダンジョン決壊がありましたよね姉上」

「あぁ確かにあったな、それがどうした?」

記憶にないのか首を傾げる。

「言っていませんでしたっけ?ダンジョンの中でヴォルフレーと戦闘になった時共闘した同じ悪魔族ですよ。しかし妙です」

「何がだアグリード」

「主様。我々悪魔族は人間とは違い寿命が遥かに長いためレベルに上げに余裕を持ておおよそ上がるとそれ以上上げない傾向にあります。しかしこのゴレマスはダンジョン決壊の時よりレベルが20以上上がり140に到達しています!」

「何だと?この短期間で140まで上げたというのか?!」

流石のデルガもレベルが20以上上がり上級悪魔とほぼ変わらない数値になっている事に驚きを隠さていない。
それもそうだレベルは1上げる毎に次のレベルアップに要求される経験値が増加する。
いくつかある壁の1つである100を超えると一気に要求経験値が激増する。
それが140にもなれば相当だった。

「レベルがここまで上がるとは……魔界でどれだけ過酷な環境にいたのだ。もしくはそうせざるを得ない状況か?」

「取り敢えずベットに寝かすか」

真はゴレマスをお姫様抱っこ余っている部屋のベットに寝かせた。








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