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仇を
しおりを挟む空に浮かんでいた静は地面に降りると少年悪魔貴族へ見せる様に手を伸ばした。
「《至高・神威赫雷》」
呟くと空から雷が静手の中へと落ちる。
落ちた雷は1つに留まらずまだ生きていたモンスターさえも焼き殺した。
そして静の手の中には槍が収まり異様な雰囲気を放つ。
「貴様その武器は……神器の気配。この世界には本来魔法や神器といった物がない。だがダンジョンがある。更には人間側に加担する悪魔貴族もいるという事。ここから導かれる答えは1つだ」
険しい顔で静を睨む
「魔界でどこかの悪魔貴族と出会い譲り受けた、若しくは強奪。後者はハッキリ言って考えられない。全くお前の情報は入って来ていないからだ。別の存在が大きかったとはいえ、だ」
「考察が好きみたいだな正解だ」
軽く手を叩く。
「だが俺はそろそろ限界なんだ。秦を……返してもらおうか」
体に雷属性の身体強化を施し地面を蹴る。
雷属性の身体強化が極限にまで高まったせいか体から稲妻が迸り瞬きのうちに背後に回りこみ《至高・神威神雷》を振り下ろす。
パキッ!パキパキパキパキィィ!!!
幾重にも重なった魔力の膜が何枚も割れる音が鳴る。
「なっ?!《神杖の王鎧》の魔力防御を破っただと?!貼り直すタイプで強度は多少落ちるとはいえ上級貴族の全力の魔法を耐えるんだぞ?!」
だった数枚の魔力防御の膜を破っただけで少年悪魔貴族は面白い様に動揺しながら距離を取り人工魔祖悪魔も追う。
「もう一度言おう、秦を返せ。今返すなら命は見逃してやる」
静はまだ槍を持ちながら立ったままで構えない。
少年悪魔貴族は理解出来ないといった表情で静を見る。
「貴様は今、何を言ったんだ?もう一度、もう一度言ってみろ……!」
「死にたくないなら秦を返せと言ったんだこのクソガキ」
「この!僕に向かって見逃すだと?!見下しているつもりかぁ!【ストライクバンカー】!!」
手を伸ばし静に対して空気を圧縮し弾丸の様に回転させながら飛ばす魔法【ストライクバンカー】を放つ。
「【赫威】」
バゥン
《至高・神威赫雷》に直接宿る魔法を発動させると空気を圧縮して放たれた【ストライクバンカー】が霧散し軽く髪を揺らす程度になる。
「【神威】【赫雷】」
立て続けに魔法を発動させると少年悪魔貴族は吹き飛び人工魔祖悪魔は胸に極大の穴が空き今度こそ絶命する。
そして人工魔祖悪魔が死んだ事により投げ出された秦をすぐさま抱き抱えるとSランクハンター達の元へ向かう。
「お前ら秦を頼む」
「静さん生きて……」
「私達は貴方が死んだとばかり……!!」
「おいおい泣くなよ。俺はこうして生きてるんだ話は後にしようぜ。俺は今から秦をこんな目に合わせたクソガキを殺してくるからよ」
パキッ
握った拳を鳴らし吹っ飛ばした少年悪魔貴族の元へと向かった。
(なんだ何が起こった衝撃波のような……魔法と言うよりスキルを魔法の枠に無理矢理押し込めた感じだ。【神威】だったか。かつての魔王達が持ったとされるスキルを2つも……お陰で体が痛い!)
「僕の体にここまでの傷を!」
「【神威】【赫雷】」
「ぐぁあぁぁぁあぁあ!!!」
突如少年悪魔貴族の背後から声が聞こえ先程と同じ【神威】と【赫雷】の魔法が放たれた。
魔力防御を貫通する【神威】、そして魔力防御膜を数十枚単位で割る【赫雷】によって《神杖の王鎧》に溜め込まれた魔力が一気に消費される。
【神威】によってよろめいた少年悪魔貴族は静を睨む。
「貴様ぁ!この僕を怒らせたな!生きて帰れると思うなよ!」
「生きて、帰れると思ってるのはどちらだ」
「当然!この僕ーーーーー」
「【赫雷】」
バキバキバキバキィ
更に数十枚の魔力防御膜が破れる。
その衝撃によって2歩ほど後退する。
「【赫雷】」
魔力防御膜数十枚破れ、また2歩後退する
「この!」
「【赫雷】」
更に魔力防御膜が破れ衝撃により後退する。
ここから静は1歩も歩ませる事なく【神雷】を撃ち込み続けていく。
そして遂に
「【赫雷】!」
バキバキバキッッ
「なっ?!?!《神杖》の魔力防御膜が!!」
少年悪魔貴族の手に持つ《神杖の王鎧》の中にストックされていた魔力が全て無くなり《神杖の王鎧》はただのもの凄く魔力伝導倍率の良い杖となった。
若さ故か経験を積んだデルガやアグリードだったならばこの場で即座に杖を介して魔法を使っただろうが静の目の前にいる少年悪魔貴族は動揺してそれどころではなくなっていた。
「どうした!何故魔力防御膜が出てこない!こんな数回の【赫雷】で全部剥げたっていうのかよ!!クソッ!クソッ!クソォオ!」
動揺しながらもなんとか直接魔力を送り込み魔力防御膜を張る事に成功した。
「守るより、攻めた方が勝機はあったろうに」
「ば、馬鹿にするな!!これでも僕は最年少で上級貴族の称号を貰ったんだ!!お前みたいな人間如きに負けていい存在じゃないんだ!」
叫びながら杖に魔力を送る。
「【ファイアランス】!!!」
「【神威】」
パァアン
【ファイアランス】の魔力が霧散する音が響く。
「くっ!このぉ……魔王のスキルに選ばれたからと言ってぇえぇぇえぇえ!!!【ストライクバンカー】!」
「【神威】」
「【サンダーランス】!!」
「【神威】」
「【ウォーターランス】!!!」
「【神威】」
「【アイアンランス】!!!!!」
「【赫雷】!!!」
少年悪魔貴族の【アイアンランス】ごと【神雷】が体を貫く。
全身が痺れ動けなくなった事でその場に倒れる。
「なんで…僕は、選ばれたはずだろぅ……期待されて必死に人間を殺して、他の高位の貴族を頑張って殺したのぃ!」
ボロボロと涙を流す。
静に手も足も出ずやられた事をもう忘れてしまったのか下に見る発言が出る。
「救えないクソガキが……秦の両腕の仇くらいはとって死んで欲しかったが。仕方がない」
「待て!待て待て待て!!僕をここで殺すのか?!良く考えろよ!今ここで殺したら他の上級貴族に目をつけられるぞ!そうしたら僕より強いあのお方も出て来たお前は殺される!」
「お前を生かしたら、秦の腕が戻るのか」
「…………は?」
動くようになった体を起こし静を見上げる。
「秦って……誰だよ」
「ふざけろぉぉぉおおぉお!【赫雷】!!!!!!」
視界を覆い尽くす程の極雷が少年悪魔貴族へと降り注ぐ。
「まだ……嫁入り前だったんだぞっ」
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