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デルガ 小話
しおりを挟む「ふぁぁぁ…………」
やる気が出ない
いや、出ないというよりは出てもアレを思い出して気が削がれるといった所だろうか。
「体が交換状態とは無断で主様の体をベタベタと……しかも」
そう一次侵攻と言ってよいあの日から2週間が過ぎ、主様もすっかりダンジョンに潜るくらいには元気になった。
しかし
「しばらくデルガに頼らなくても済むように修行してくるわ」と言い私がダンジョンや魔界に同行する事を拒否されてしまってからは基本的に1人で行動していた。
だがこの1人の時間が私をある意味苦しめた。
「お父様の裸すら見た事ない……なのに主様の裸を見てしまったあぁぁあぁ………」
顔中が真っ赤になるのが自覚出来る。
多分人生、もとい悪魔生の中で1番顔が熱いという自信が持てるほどに熱くなっている。
頬をモニモニするが一向に冷めない。
裸、下を見てしまった経緯は生物である限り仕方のないもの。
故に呪う対象は自分以外いない!
「体交換した事を覚えて、花摘みを我慢さえしていればぁぁぁあ………!」
生物の生理現象なぞどうしようもないでしょっほぉぉお!!
こっそり主様のご自宅に厠目的で帰ったのがマズかったぁぁぁぁあ!クソッたれぇぇえぇぇえ!!!
バンバンバンバン!!!!
女の恥も外聞も全部捨てたような強烈な台パンの音がデルガの部屋から聞こえて来て真、響、猫娘、アグリード、アスマディア全員の肩が跳ねる。
デルガは防音(防声)の結界を四重、五重に張っているため声自体は漏れない。
だからこそ台パンの音はよく響いた。
「アグリード、デルガになんかあった?」
ビクッッ
台パンの音の時以上に肩が跳ね上がり次第に汗が流れていく。
アグリードは一度だけデルガの思念を受け取っていた。
言えない、言えるわけがなかった。
もしデルガの今の惨状を伝えたらアグリードは翌日にこの世から消えてしまうだろう。
「あ、主様が暇つぶし用に下さったゲームでボスに勝てないと最近愚痴を言っていました」
「じゃあ攻略法を教えてあげてーーーーー」
「1人で勝ちたいとも言っていましたのでそっとしておきましょーーーー!!!!」
アグリードが慌てて真に手を伸ばし牽制する。
「でも勝てないんなら攻略本でも持っていった方が……」
「主様も最近は1人で修行をしている様子!姉上もそれです!それ!」
汗が滝のように流れたアグリードを見て流石に部屋に突撃は控える。
「じゃあ俺は仕事でダンジョンに潜るからアグリードとアスマディアは引き続き黒幕を調べておいてね」
「承りました」
「了解した小僧」
「猫娘もしっかり仕事はしろよ?穀潰しにならねぇようにな?」
「しっかり仕事はしてるし、今日は休みね!!!!」
猫娘を揶揄いながら家を出ると響も学校の支度をする。アグリードとアスマディアの2人は真に頼まれた瞬間にゲートを開き何処かへと消えていった。
9時頃には家にいるのが猫娘とデルガだけとなる。
「主様の御神体も中々……いずれ、いずれ……うぅぇへへへへへ」
真達が出て行った時を見計らい防音結果を解除する。
デルガの変な、ヘラヘラした笑いも同時に猫娘の耳に入るが聞かなかった事にする。
猫娘はこれでも真に惹かれて居候している身でデルガとは喧嘩含めてよく話している。
その過程で昨日知ったのだ
「デルガも押していけばいいのにね。触れたんならもう既成事実って事でいいじゃん、どんだけ純情なのね?人のこと言えないけど拗らせてんなぁ」
えへへへへへぇ、主さまぁうぇへへへへへへ
「最早振り切って気持ち悪い次元に来てる………」
普段人に対してドン引くような事はそうそうない猫娘はデルガのだらしのない。締りの悪い笑い声に呆れと恐怖さえ抱いた。
「最低限も最低限の貴族知識、教育しか受けてこなかった反動がここに来るとは……つっかえてしまったし。体交換したという事は主様も私の体を見ているわけで………………」
ここまで適当に呟いて気付いた。
主様が目覚めて動揺して、今の今までその事実に気が付かなかった。
そしてようやく今気付いてしまった。
主様も胸とか触っている可能性………を
「いやいやいや!!荷が重かった主様に戦闘の最中に見る余裕は……」
正直時間はあった。
ない可能性も高いが、ない可能性が無い可能性もあった。
その可能性の考えに至ってからもう止まらなかった。
無心になるために隠れて魔界でモンスターを狩ろうとしてもあの時の自分とあったかも知れない主様の姿が頭の中に浮かんだ。
「あぁぁあぁ!!!もうぉぉぉおぉぉ!!!」
ぽわんぽわんと浮かぶ考えを斬り払うように槍剣を振るう。
浮かぶ
袈裟斬りで殺す
浮かぶ
斬り上げで殺す
浮かぶ
無性に恥ずかしくなり、柄で殴り上げ10に斬り刻む。
1時間ほどただひたすらにモンスターを刻んでようやく頭の中が落ち着いて来た。
「はぁ……はぁ……こんな集中が乱れた状態でやるモンスターの討伐は精神的に疲れるな」
恥ずかしさで火照った顔を手で仰いで涼む。
私は……私は、
「メヴァイス」
その名前を呼んだ。
侵攻の次の日から私が直接契約して部下にした。
敵だったが仲間にしてみれば意外と身の回りの世話や相談が出来るメイドになり正直驚いている。
「メヴァイスは、恋はした事あるのか?」
パチクリ
私の言葉が予想外なのか数瞬の間放心状態となる。
「ありますが参考になりません」
「む?何故だ?」
仲間にしてから日が浅いとはいえ初めて拒否の答えが返ってきた。
参加にならないとはどういう意味だろうか
「私はある貴族と婚姻を結んでいましたが結婚2日前に破綻となりました。その貴族は当時好きでしたのでアレはかなり堪えました。それ意外は特にないので参考になりません」
「本当に参考にならない」
思わず頭を抱えてしまった。
しかも結婚を破棄されるという内容
私が想像したくない類いの内容だなんて聞いてない!!
「真様を慕っているのなら突撃するのが吉かと。結婚を破棄されたとはいえ私が積極的に攻めて勝ち取った結果ですので。出来るアドバイスは「取り敢えず攻めろ」しか出来ません」
お父様!デルガは最大のピンチになっています。
どうすればいいんでしょうか?!
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