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はじまり31
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~偶然~
「ソウ?」
とたんに心細くなって、兄の名を呼びます。
胸をときめかせるほどのにぎやかな踊りや音楽が、ただの
音の洪水にとって変わります。
ひとまず踊りの輪の中からでて、ソウを探そうとした時、
腕をつかまれました。
黒髪に、仮面をかぶった男性でした。
二つの隙間から、黒い瞳がきらめいています。
知らない人だと思ったので、謝ってその場を去ろうとしましたが、
そのまま引き寄せられました。
「あの」
「僕だよ」
仮面を少しずらして、顔をみせます。
男性は、以前に訪れた靴屋の主人でした。
「君も来ていたんだね」
クローディアも仮面をずらして、顔をみせます。
知った顔にであってほっとしました。
「お兄さんと一緒じゃないの?」
「はぐれてしまったの」
困ったように言うと、靴屋の主人はあたりを見渡します。
あまりの人の多さにすぐには、見つけ出せそうにありませんでした。
「せっかくだから、一曲いかが?」
クローディアから、一歩離れて丁寧にお辞儀します。
クローディアは微笑んで、喜んでと同じようにお辞儀をしました。
ソウに後で怒られるわね、と心の中でちらりと思いましたが、
目の前の青年と音楽にあわせて踊ります。
手を取り合って、踊っていて、ふと昨日のキールとの会話
を思い出していました。
『私だったら…』
どんな国のどんな王子かと、考えた時、靴屋で会った
黒髪黒目の青年の顔が思い浮かびました。
意外な人物に驚いて、クローディアは首を振り、キールに笑います。
『わからないわ。まだまだ先のことに思えるもの』
キールは、微笑んでそうですかと答えました。
お茶の席での他愛ない話でしたので、気にもとめませんでした。
偶然祭で出会った青年と踊りながら、
胸の奥で何かがぱちんと弾けるような音が聴こえます。
心なしかどきどきと騒ぐ心臓も、クローディアはこの祭りの雰囲気のせいだと思いました。
つづく
「ソウ?」
とたんに心細くなって、兄の名を呼びます。
胸をときめかせるほどのにぎやかな踊りや音楽が、ただの
音の洪水にとって変わります。
ひとまず踊りの輪の中からでて、ソウを探そうとした時、
腕をつかまれました。
黒髪に、仮面をかぶった男性でした。
二つの隙間から、黒い瞳がきらめいています。
知らない人だと思ったので、謝ってその場を去ろうとしましたが、
そのまま引き寄せられました。
「あの」
「僕だよ」
仮面を少しずらして、顔をみせます。
男性は、以前に訪れた靴屋の主人でした。
「君も来ていたんだね」
クローディアも仮面をずらして、顔をみせます。
知った顔にであってほっとしました。
「お兄さんと一緒じゃないの?」
「はぐれてしまったの」
困ったように言うと、靴屋の主人はあたりを見渡します。
あまりの人の多さにすぐには、見つけ出せそうにありませんでした。
「せっかくだから、一曲いかが?」
クローディアから、一歩離れて丁寧にお辞儀します。
クローディアは微笑んで、喜んでと同じようにお辞儀をしました。
ソウに後で怒られるわね、と心の中でちらりと思いましたが、
目の前の青年と音楽にあわせて踊ります。
手を取り合って、踊っていて、ふと昨日のキールとの会話
を思い出していました。
『私だったら…』
どんな国のどんな王子かと、考えた時、靴屋で会った
黒髪黒目の青年の顔が思い浮かびました。
意外な人物に驚いて、クローディアは首を振り、キールに笑います。
『わからないわ。まだまだ先のことに思えるもの』
キールは、微笑んでそうですかと答えました。
お茶の席での他愛ない話でしたので、気にもとめませんでした。
偶然祭で出会った青年と踊りながら、
胸の奥で何かがぱちんと弾けるような音が聴こえます。
心なしかどきどきと騒ぐ心臓も、クローディアはこの祭りの雰囲気のせいだと思いました。
つづく
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