はじまり

天鳥そら

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はじまり40

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~お忍び~

年に一度の大祭がまた、今年も巡ってきました。 
クローディアは、侍女のマリーと共に、お忍びで参加しています。 

キール王子に、自分の本音を話した後、クローディアは、 
自分の想い人に会いたいことを告げました。 

『向こうは、忘れてしまってるかもしれないけれど』 

去年、一緒に踊りを踊ろうという約束が、
ずっとクローディアの胸の中を占めていました。 
気弱な表情を見せるクローディアに、キール王子が力強く 
うなづきました。 

『なんとかしよう』 

驚いて、キール王子と背後にいる付き人二人を眺めます。 
ヨウメイとソウは、とっくに次の行動を相談しているところでした。 
キール王子と二人の当然のような振る舞いに、クローディアは、 
ぽかんとするばかりでした。 




「クローディア様、仮面などかぶっては、お互いがわからなくなります」 

祭りに参加するには、仮面をかぶるのがこの国でのしきたりです。 
不安そうな顔をするマリーに、笑います。 

「あら、それがおもしろいんじゃない」 

いたずらっぽく仮面をかぶって、クローディアはさっさと 
祭りで盛り上がっている群衆の中に歩いていってしまいました。 
不安そうな表情のまま、仮面をかぶって自分の後をついてくる 
マリーに、心の中で謝ります。 

クローディアは、歩くスピードを早めて、人々の中へと入っていってしまいました。 



『今年の祭りで、侍女と共にお忍びで行くのです』 

『そして、群集の中で侍女をまいてください』 

この大祭までに、何度も何度もヨウメイとキール王子に確認された 
手順を思い浮かべます。 
クローディアは緊張で顔をこわばらせながら、 
肩にかけていた派手な赤いマントをはずしました。 



つづく 
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