はじまり

天鳥そら

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【番外編】はじまり:はじまりのひと

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はじまりのひと


 ~朝~


ある島の崖の上に、鮮やかに緑香る森林がありました。
その森林にそっと見守られるかのように、小さなお屋敷がたっていました。

そのお屋敷には、屋敷の主人と一組の夫婦が住んでいます。屋敷の主人を助けてくれるものが数人おりましたが、屋敷の主人がほとんどひとりで切り盛りしていました。

毎朝屋敷の隅々までチェックして、家が傷んでいないか確かめます。
屋敷の修理や補強は手伝いを頼みますが、采配をふるうのは屋敷の主人でした。

「僕の大切なパートナーさ」

若くして最愛の妻を亡くした主人は笑います。

それから外にでて、庭をまわり、作物や木戸や玄関のまわりも自分の目で確かめます。
家の見回りが終わったところで、その日咲いた庭の花をつみとります。
朝露にぬれて、咲いたばかりの花びらが優しく微笑みます。

「ありがとう」

咲いたばかりの花をつみとることに、目を細めて微笑みながらお礼を言います。
朝露に陽の光がはじいて、きらりと光ります。
海から吹く潮風に、花びらが揺れて、いいのよと屋敷の主人にこたえてくれているようでした。

つんだ花を大切そうに、腕に抱いて庭の片隅へと向かいます。
穏やかなひだまりのなかで、墓石がひとつひっそりとたっていました。



つづく

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