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【番外編】はじまり:はじまりのひと 3
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はじまりのひと 3
~はじまりのひと~
清々しい朝日と共に、祈りの時を過ごします。
この屋敷に住むようになってから、ずっと彼の日課となっていました。
顔をあげ、墓石に向かって微笑むと後ろで声がしました。
「なんだか、とっても複雑だわ」
くすりと笑って後ろを振り向きます。
薄い金髪に薄い瞳を持ち、少女のように瞳を輝かせた女性が
笑っています。
「僕は、一応妻を亡くした、かわいそうな一人やもめってことになっているんだよ」
おかえりとと言って、女性に向かって両腕を広げます。
女性はただいまと叫んで、屋敷の主人の腕に飛び込みました。
背後では、黒髪に翠の瞳をもった女性が微笑んでいます。
「お久しぶりです」
「ずいぶん、彼女を借りてしまったわ」
楚々と笑う女性に、にっこり微笑みます。
「今回は、どれぐらいこちらに?」
「それは、クローディア次第ですわ」
シキは、不思議そうな顔をして腕の中に飛び込んできた
妻に顔を向けます。クローディアはにっこり笑って頬を染めました。
「赤ちゃんができたの」
え、という顔をするシキに、ルナがころころと笑います。
「しばらく、一緒に過ごすといいですわ」
それだけ言うと、空中に溶けてしまうように、
するりと光の帯のよなものにくぐってしまいました。
クローディアはシキから体を離して、手をつなぎます。
国をでてからずいぶんの月日が経ちましたが、
クローディアもシキも若い頃のまま衰えていませんでした。
シキがクローディアのおなかに手をあてて、嬉しそうに
微笑みます。
「今度は女の子かな?」
「楽しみね」
ふふと二人で笑い合って、屋敷の中に入っていきました。
中には、年を重ねて老齢の姿になったリンとソウが微笑んでいます。
おそらくルナから聞いていたのでしょう。
クローディアが姿を現しても驚いた様子はありませんでした。
「今、どうなってるの?」
「ノエルとルエラは、別の場所からそちらに」
会いませんでしたか?という言葉に、クローディアは
顔をしかめます。
「まあ、ロイとルナったら、ちっとも教えてくれなかったわ」
ふふと笑うリンの姿が、次第に若い姿へと変化していきます。
リンに合わせるかのように、ソウも若い頃の姿へと変えていきました。
「老齢の姿をとるということはまだなのね?」
「ええ、もうじきではありますが」
リンとソウは顔を曇らせます。
シキ、クローディア、ソウの三人は、不思議な縁に導かれて
この島へとやってきました。
同じように、嵐とともにこの島へとやってきたルナとロイ、リン
と仲良くなりました。
三人は、とても不思議な人たちでした。
その昔、月からやってきた異星人だと聞いた時、信じる気持ちが
なかなかおきませんでした。
しかし、当時のクローディアは国から逃げながら、国に
情報を届けなければならないという困った立場に置かれていました。
その状況を解決しつつ、自分たちと協力してほしいという
ロイとルナの誘いを受け、『コンタクティ』という妙な役目を
引き受けました。
彼女たちが来た星の、またそのほかの星の友好的な種族の
智慧をこの世界に広めて欲しいというのです。
この星ではまだ見たこともないような宇宙の科学技術なのだと
彼らは答えました。
純粋に任務を遂行してくれそうな人物を探していたのだと
いいます。
少なくとも保身や、得た情報を個人の欲のために使うような
人物にわたすことはできません。
「私たちでいいの?」
当時のクローディアは不安になりながら、問いました。
未知なるものに興味はあるものの、ロイたちの言うように、
自分にできるとは思えません。
「必要なことは教える、素質はあると思うよ?」
不安に思いながら、シキとソウと三人で顔を見合わせたのが、
つい昨日のことのように思い出されます。
当時のことの話しながら、4人のお茶会が始まりました
つづく
~はじまりのひと~
清々しい朝日と共に、祈りの時を過ごします。
この屋敷に住むようになってから、ずっと彼の日課となっていました。
顔をあげ、墓石に向かって微笑むと後ろで声がしました。
「なんだか、とっても複雑だわ」
くすりと笑って後ろを振り向きます。
薄い金髪に薄い瞳を持ち、少女のように瞳を輝かせた女性が
笑っています。
「僕は、一応妻を亡くした、かわいそうな一人やもめってことになっているんだよ」
おかえりとと言って、女性に向かって両腕を広げます。
女性はただいまと叫んで、屋敷の主人の腕に飛び込みました。
背後では、黒髪に翠の瞳をもった女性が微笑んでいます。
「お久しぶりです」
「ずいぶん、彼女を借りてしまったわ」
楚々と笑う女性に、にっこり微笑みます。
「今回は、どれぐらいこちらに?」
「それは、クローディア次第ですわ」
シキは、不思議そうな顔をして腕の中に飛び込んできた
妻に顔を向けます。クローディアはにっこり笑って頬を染めました。
「赤ちゃんができたの」
え、という顔をするシキに、ルナがころころと笑います。
「しばらく、一緒に過ごすといいですわ」
それだけ言うと、空中に溶けてしまうように、
するりと光の帯のよなものにくぐってしまいました。
クローディアはシキから体を離して、手をつなぎます。
国をでてからずいぶんの月日が経ちましたが、
クローディアもシキも若い頃のまま衰えていませんでした。
シキがクローディアのおなかに手をあてて、嬉しそうに
微笑みます。
「今度は女の子かな?」
「楽しみね」
ふふと二人で笑い合って、屋敷の中に入っていきました。
中には、年を重ねて老齢の姿になったリンとソウが微笑んでいます。
おそらくルナから聞いていたのでしょう。
クローディアが姿を現しても驚いた様子はありませんでした。
「今、どうなってるの?」
「ノエルとルエラは、別の場所からそちらに」
会いませんでしたか?という言葉に、クローディアは
顔をしかめます。
「まあ、ロイとルナったら、ちっとも教えてくれなかったわ」
ふふと笑うリンの姿が、次第に若い姿へと変化していきます。
リンに合わせるかのように、ソウも若い頃の姿へと変えていきました。
「老齢の姿をとるということはまだなのね?」
「ええ、もうじきではありますが」
リンとソウは顔を曇らせます。
シキ、クローディア、ソウの三人は、不思議な縁に導かれて
この島へとやってきました。
同じように、嵐とともにこの島へとやってきたルナとロイ、リン
と仲良くなりました。
三人は、とても不思議な人たちでした。
その昔、月からやってきた異星人だと聞いた時、信じる気持ちが
なかなかおきませんでした。
しかし、当時のクローディアは国から逃げながら、国に
情報を届けなければならないという困った立場に置かれていました。
その状況を解決しつつ、自分たちと協力してほしいという
ロイとルナの誘いを受け、『コンタクティ』という妙な役目を
引き受けました。
彼女たちが来た星の、またそのほかの星の友好的な種族の
智慧をこの世界に広めて欲しいというのです。
この星ではまだ見たこともないような宇宙の科学技術なのだと
彼らは答えました。
純粋に任務を遂行してくれそうな人物を探していたのだと
いいます。
少なくとも保身や、得た情報を個人の欲のために使うような
人物にわたすことはできません。
「私たちでいいの?」
当時のクローディアは不安になりながら、問いました。
未知なるものに興味はあるものの、ロイたちの言うように、
自分にできるとは思えません。
「必要なことは教える、素質はあると思うよ?」
不安に思いながら、シキとソウと三人で顔を見合わせたのが、
つい昨日のことのように思い出されます。
当時のことの話しながら、4人のお茶会が始まりました
つづく
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