はじまり

天鳥そら

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第二部 はじまりは美しい

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~美しいひと~   


ある大きな島の大きな港町に、それはそれは“美しいひと”がおりました。 
とても美しいお屋敷に住み、何人もの召使にかしずかれ、とても美しい 
絹のドレスを着ておりました。 

“美しいひと”は、その名称のとおり、とても美しい顔立ちをしていました。 
さらさらとした金髪を頭のてっぺんで結いあげて、綺麗な髪飾りをつけています。 

透き通るような白い肌に、ガラスのビー玉をはめ込んだような 
とても綺麗な薄い青の瞳をしていました。 

立ち姿も美しく、たおやかで上品で、装いもきらびやかでした。 
にっこりと微笑めば、まわりの人は皆“美しいひと”を振り返って頬を染めます。 

“美しいひと”が声をかければ、老若男女問わず、思わず溜息をもらすほどでした。
軽やかに鈴を転がすような柔らかな声音に、皆が振り返ります。 

この島で“美しいひと”は、大変な権力者の一人娘でしたので、 
誰もが求婚を申し込みました。 
“美しいひと”と、権力と富と名誉が一挙に転がり込んでくるのです。 
年頃の男性は、皆“美しいひと”に気に入られようと躍起になりました。 

権力、富、名誉、美しさ、ひっきりなしに求婚してくる男性。 
女性であれば誰もがうらやむ話です。 
港町では、“美しいひと”を妬む女性、権力者と数多くのものがいました。 

ほしい物は、すべて手に入ります。何も言わなくても“美しいひと” 
の前に、全てが捧げられます。 
そんな状況に、“美しいひと”は不満でした。 
何もしなくても何もかもが、目の前にでてくることに“美しいひと”は、 
嫌気がさしていました。 

「私は本当に生きているのかしら」 

そんなことを呟いては、つやつやとしたビロードの肘掛け椅子に 
寄りかかり、皮肉っぽく笑うのでした。 



つづく 
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