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第二部 はじまりは美しい21
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~ノエル~
ぽかんとしていた人々のなかで、いち早く動いたのは
屋敷の主人でした。
ルエラに椅子にかけるようにすすめ、人数分のお茶の用意を
はじめました。
「あの」
話が始まる前にと、前置きをして青年が立ち上がり
ルエラに向かって頭を下げました。
「理由があったとはいえ、嘘の名前を言ってすみませんでした。」
「僕の名前は、ノエル。北欧の国を中心に商売をしている貿易商の息子です」
その先をなんといったものかとくちごもっていると、
屋敷の主人が、ノエルにお茶をさしだし、座るように促しました。
お茶に添える菓子の準備をゆったりとはじめました。
いつもと変わらない動作に、皆が落ち着きを取り戻します。
少し肩の力が抜けたかのようにみえたお父様が、穏やかに口を開きました。
「ルエラ、とても驚くと思う。けれど落ち着いて聞いてほしい」
「さっきから何度も同じことを仰ってるわ」
ルエラはくすりと笑って、次の言葉を待ちます。
そうか、と笑うお父様の表情はとても弱々しくみえました。
暖炉の炎が揺らめいて、ぱきりと薪が音をたてました。
カップからは、ゆっくりと白い湯気が立ちのぼります。
屋敷の主人は、いつもとなんら変わらぬ表情と動作で、
これから語られる昔語りに、そっと耳をすませました。
つづく
ぽかんとしていた人々のなかで、いち早く動いたのは
屋敷の主人でした。
ルエラに椅子にかけるようにすすめ、人数分のお茶の用意を
はじめました。
「あの」
話が始まる前にと、前置きをして青年が立ち上がり
ルエラに向かって頭を下げました。
「理由があったとはいえ、嘘の名前を言ってすみませんでした。」
「僕の名前は、ノエル。北欧の国を中心に商売をしている貿易商の息子です」
その先をなんといったものかとくちごもっていると、
屋敷の主人が、ノエルにお茶をさしだし、座るように促しました。
お茶に添える菓子の準備をゆったりとはじめました。
いつもと変わらない動作に、皆が落ち着きを取り戻します。
少し肩の力が抜けたかのようにみえたお父様が、穏やかに口を開きました。
「ルエラ、とても驚くと思う。けれど落ち着いて聞いてほしい」
「さっきから何度も同じことを仰ってるわ」
ルエラはくすりと笑って、次の言葉を待ちます。
そうか、と笑うお父様の表情はとても弱々しくみえました。
暖炉の炎が揺らめいて、ぱきりと薪が音をたてました。
カップからは、ゆっくりと白い湯気が立ちのぼります。
屋敷の主人は、いつもとなんら変わらぬ表情と動作で、
これから語られる昔語りに、そっと耳をすませました。
つづく
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