113 / 159
第二部 はじまりは美しい26
しおりを挟む
~金の雫~
「ちょっと…待って」
それまで、ずっと黙って話を聞いていたルエラが小さく声をあげました。
手に持っていたカップを少し乱暴に受け皿の上に置きました。
カップから飛び出したしずくが、白く清潔なテーブルクロスに
小さなシミをつくりました。
ルエラの肩が小さく震えています。
目の前に座っているお父様は、微笑んではいるものの唇をぶるぶると
震わせ、目じりがほんの少し赤くなっていました。
隣では、お母様がハンカチで目元をおさえています。
カチコチカチコチ、正確に時を刻む音が部屋に響きます。
息をするのもはばかれるような時間が、静かに過ぎていきました。
なんと答えていいかわからず、視線を落とします。
先ほど聞いたことが、頭の中をめまぐるしく駆け巡り、
おかしくなってしまいそうでした。
目じりに涙が浮かんだ時、静かな声が響きました。
「…大丈夫かい?」
振り仰いで、声のした方に顔を向けます。
いつもいつも優しくルエラを受け入れてくれた屋敷の主人でした。
穏やかな微笑みが、とても悲しそうでした。
談話室の大きな窓の外、木々が優しくざわめきます。
柔らかな緑がゆれて、鮮やかな金の光がちらちらと踊るように揺れています。
光が窓からさしこんで、屋敷の主人を照らします。
きらきら瞳がきらめいて、一粒大きく光ります。
そのままほとりと、ルエラの肩に落ちました。
つづく
「ちょっと…待って」
それまで、ずっと黙って話を聞いていたルエラが小さく声をあげました。
手に持っていたカップを少し乱暴に受け皿の上に置きました。
カップから飛び出したしずくが、白く清潔なテーブルクロスに
小さなシミをつくりました。
ルエラの肩が小さく震えています。
目の前に座っているお父様は、微笑んではいるものの唇をぶるぶると
震わせ、目じりがほんの少し赤くなっていました。
隣では、お母様がハンカチで目元をおさえています。
カチコチカチコチ、正確に時を刻む音が部屋に響きます。
息をするのもはばかれるような時間が、静かに過ぎていきました。
なんと答えていいかわからず、視線を落とします。
先ほど聞いたことが、頭の中をめまぐるしく駆け巡り、
おかしくなってしまいそうでした。
目じりに涙が浮かんだ時、静かな声が響きました。
「…大丈夫かい?」
振り仰いで、声のした方に顔を向けます。
いつもいつも優しくルエラを受け入れてくれた屋敷の主人でした。
穏やかな微笑みが、とても悲しそうでした。
談話室の大きな窓の外、木々が優しくざわめきます。
柔らかな緑がゆれて、鮮やかな金の光がちらちらと踊るように揺れています。
光が窓からさしこんで、屋敷の主人を照らします。
きらきら瞳がきらめいて、一粒大きく光ります。
そのままほとりと、ルエラの肩に落ちました。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる