はじまり

天鳥そら

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第二部 はじまりは美しい29

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~会話~

ルエラは、息を切らして駆けよってきた屋敷の主人にこっぴどく叱られました。

「屋敷から黙っていなくならないでほしい」

つばを飛ばさんばかりに怒鳴られて、ルエラは素直に謝りました。

「さあ、戻るよ」

ルエラに手をさしだします。おずおずと手を握るとしっかりと握り返されました。
そのまま小道をのぼり、屋敷へと向かいました。


屋敷へ帰ると皆がルエラのことを寝ずに待っていました。
緊張した顔が緩んで、安心したように息を吐きました。

「あの…ごめんなさい」

心配かけてと呟きます。それから、ほんの少しのお小言をもらい、
やわらかなソファにかけました。
あたたかいお茶をいれてもらって、人心地ついてから、
ルエラはぼつりぽつりと話始めました。

突然の自分の生い立ちに、驚き悲しかったこと。
自分の信じていたものが、がらがらと崩れ落ちていくようで傷ついたこと。

これから、いろんなことが変わってしまうのかと思って戸惑ったこと。

自分だけが知らなかったと思うと腹がたって仕方なかったこと。

「それに、やっぱり実感がわかないの」

いくら本当のことを話されても、すぐに受け入れることは、難しいのだと伝えました。

「うん。そうだね。」

お父様は、ゆっくりと頷きます。ルエラにとって、お父様はお父様です。
その気持ちは、一生揺るがないように思えました。
それから、はっとしたように屋敷の主人の方を見ます。

「あの…おじ様が、私の本当のお父さん…よね」

ちゃんと確認していなかったように思えたので、小首を傾げて聞きました。
屋敷の主人は、あっけに取られたような顔をして、それから思い切り吹き出します。

「今さら、それを聞くかなぁ」

ややあって、ノエルがくすくす笑い始めました。
笑いは、波紋のように広がって、ルエラをのぞくみんなが笑います。
ルエラは、顔を真っ赤にしてから、ふてくされるようにして、そっぽを向きました。

窓からは、白々と夜が明けていくのが見えます。
いつの間にか、夜通し話し込んでいたのかと思うと、ルエラは少し嬉しくなったのでした。


つづく

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