ヒロインを攻略せよ

雪蟻

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第二章

限界

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やり直し1度目は、まず同じ流れでやってみたが、超えるには高すぎる壁がそこにあった。
悪魔である。
それも、戦うことを好み、それを願いを叶える条件にするほどの変わり者の悪魔。
あまりにも強すぎるため、わたくしなど、瞬く間に数回分というほどの力で殺された。
まず、現段階で勝てるどころか勝負にすらならない。
なので、まずは自分の力を伸ばしつつ、あの子が死なないように何度も挑み続けた。
100回ほど。
結果は惨敗。
これではまずいと、いっそ引きこもって研究と修行に明け暮れようとしたのだが、なぜか聖女殺害の犯人にされ処刑されたりなど、まともに時間が確保できない。
とは言え、聖女にかかりきりになれば、せっかくのやり直しの利点が消えてしまう。
安定した蓄積の方法見つけるのに50回。
そこからは順調に力をつけていったのだが、人間の限界に到達してしまった。
前回やり直しになった時、悪魔から指摘されたので間違いないだろう。
問題は、どうするかだ。
これ以上わたくしが、人として成長する余地が無くなったのであれば、あの変わり者の方の悪魔を倒せない。
となれば、人を超えるしかないだろう。
さすがに人の寿命をはるかに超える回数やり直していれば知識も相当数になる。
3つの辺境伯や例の彼などが、人の限界を超えたもの達だ。
実を言うと、やり直しの際早い段階で、わたくしの秘密を伝えると決めていた相手でもある。
悪魔のことも知っているので、説明も楽で良かった。
超越者と言うらしいが、私はそれを目指すしかない。
と言ってもさほど難しくない。
なぜなら、とうの昔にわたくしは、人の寿命を超える年数を経験している。
それは、人では到達しえない領域にいるということなのだから。
そしてそれは、今まで何故か処刑されるというタイムリミットまでの時間を有意義に使えることになる。
なぜなら、人を辞めるにあたって、今までと違い国外に逃げるのも容易いからだ。
これまで以上に知識を収集できる。
ただ1つの難点は、処刑は回避できるが、多分死ぬことになるであろうということ。
願いが叶わなければ死ぬというものになっているはずだ。
故に、聖女たるアメリアが死ねばわたくしも死ぬ。
それは逆に言うと、あの子はわたくしが手を貸さないと、何かしら別の要因で死ぬことが決まっているということである。
由々しき事態である。
ではあるのだが、今回からは構わないことにする。
わたくしが、あの子を妹として迎え入れる手順を踏んでいると、時間が足りない。

なぜなら、超越者となったその時、わたくしのやり直しができる回数が残り5回になると聞かされているのだから──
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