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第二章
第39話 凱旋 その3
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魔物の返り血で真っ黒になった俺に抱き着いたアイシャは、体の正面と、顔の三分の一が真っ黒になった。まるで雨上がりの泥の田んぼで転んだかのような状態である。
それでも、そんな事を一切気にせずに、目に涙を浮かべた彼女は、俺から離れると後光が差し込むような微笑みを浮かべた。
(相変わらず、とっても聖女様してんな)
俺はアイシャのその笑顔に若干照れつつも心の中でそう突っ込んだ。
「ルレーフェ様、お久しぶりでございます」
その時、アイシャの後について来た、白い鎧の騎士が俺にそう話しかけて来た。
うん? この人は……。
「おお、これはセリウス殿。お久しぶりです、何故ここに?」
その姿は紛れも無く、ハーズワート公爵家で一度お会いした、アイシャの兄のセリウス殿だった。フィアローディから遠く離れたこんな危険な森の中でご兄妹がご一緒とは、さすがに不思議な事態である。
そしてその俺の疑問に答えるより早く、同じ鎧をまとった一人のおじさまが、ダッシュで近寄ってきて俺の前に跪いた。
「ハーズワート公爵家のルレーフェ・ハーズワート殿、私、フィアローディ侯爵領主、ジェイク・フィアローディと申します。我が娘アイシャが、お世話になっております」
ご兄妹どころの騒ぎでは無かった。
「お顔をお上げくださいませ、侯爵閣下。何故こんなところにいらっしゃるかはさておき、共に聖女を支え魔王と戦う者同士。堅苦しい挨拶は無しにしましょう」
俺は内心の驚きと疑問を隠して、挨拶をした侯爵の前にしゃがみ込み、顔の高さを合わせてそう言い、手を差し出した。
本来、身分的に言えば、俺は公爵家の人間であったとしても、無爵位である。つまり侯爵ご本人の方が、身分は上になる訳なのだ。もちろん、俺が魔法使いであることを除けば、である。魔法使いや聖女は問答無用で、どの貴族よりも立場は上になる。
しかし、俺の魔法使いという身分はあくまでも「嘘」な訳で……ああ、もうなんか色々めんどくさい!
俺の言葉を聞いた侯爵は、嬉しそうに頷くと、俺の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。
「ひとまず、細かい事は街に戻ってからにしましょう。いかがですかな、ルレーフェ殿」
「ルル、一緒に北フォーセリアに来られるのよね?」
セリウス殿の言葉に応じて、アイシャが俺に聞いて来た。
確かに、そろそろ暗くなり始める頃合いである。俺はともかく、他の皆を危険にさらすのはよろしくない。
それに、もう大方の魔物は狩りつくした。俺も明日にでも北フォーセリアに向かおうと思っていたところだ。
「ああ、ちょうど向かおうと思っていたところだよ」
「良かった!」
俺の答えに喜ぶアイシャに、俺は先に戻って、森の入口で待つように伝えた。
俺だって、色々準備はあるのだ。
ここから少し南に下ったところに、開けた広い河原があり、そこには木でできた小屋があった。恐らく、ヴィ・フェリエラ期に、近隣の村人が森の中に採取に来た時の為に使用する用途で建てられたのだろう。俺は、ここ一週間はそこにBCを構えていた。
風呂の設備もあるし、洗濯も出来る。魚や木の実を取って食事にもありつける。これ以上無い環境である。
まあ、今回はそこに一度戻って、最低限は血を拭い、繋いである相棒を回収するのが目的だが。
こうして、一度アイシャ達と別れた俺は小屋に戻り、準備を整えた。
そしてマヤノに跨ったまま森林を駆け抜け、森の外で待つアイシャ達に合流すると、共に北フォーセリアに向かった。
それは、一年と数か月の時間を経て、俺が聖女アイシャの元に無事凱旋を果たした瞬間だった。
北フォーセリアについた俺は、ひとまず宿を、と思ったが、今は皆で領主の別邸を使っているとの事。なので、俺もそこに御厄介になる事にした。
なんだ、聖女だけでなくフィアローディの皆にも別邸を開放するなんて、ランドラルド伯爵ってのもなかなか見どころのある奴じゃないか。
初訪問の俺と、帰還したみんなは、さすがに汚れがひどかったので早速風呂に入り、一息ついたところで、食事の席に移動した。
本来ならば食事の後に会議室で、というのが普通なのだが、長い話になるだろうし、互いに自己紹介もせずに食事を取るのもいささか憚られたので、俺がそう提案したのだ。
だって、多分平民出身の魔法使いである彼ら、俺にビビッて一言も口聞いてないもん。
……いや、そりゃそうだろう。
公爵家の息子で魔法使い。
一番初めにアイシャと仲間になって、リングブリムの魔法使いを救うためにヘビーな魔物地帯へ単身で赴いた強者。
そして、一週間で二千体以上の魔物を一人で狩りつくした化け物。こんなヤツに気軽に話しかけられる人間の気が知れない。
「まずは自己紹介をしましょうか。俺はルレーフェ。ハーズワート公爵家の三男です。お二人はアイシャが仲間にした魔法使い、で良いんだよね?」
俺のフランクな言葉に、電撃が走ったようにピーンと背筋を伸ばす二人。
いや、マジでそんな緊張しなくていいって。
「は、は、はい! ガルダ準男爵領コリポ村出身のキュオです。魔法は回復特化です」
「なんだって!?」
ついつい大声を上げてしまう。
いやいや、だってそうだろう? パーティーにおいてヒーラーなんて最重要ポジションと言っても過言ではない。どんなRPGでも、回復要員なしでクリアなんてまず不可能である。
「あ、あの、ルレーフェ様、何か?」
俺の発言の意図が分からなかったらしく、キュオがおずおずと俺に尋ねた。
「回復特化とは、これまた、重要な役目だな、と思ってね。君は凄い魔法使いだよ、キュオ。あ、俺は君の事をキュオと呼ぶけど、俺の事もルレーフェ、いや、ルルで構わないからね。よろしく、キュオ」
「いえ、あ、その、はい、宜しくお願いします。その、ル、ルル」
握手をしたいところだったが、幅の広いテーブルな上に斜め向かいに座るキュオの手には届きそうになかった。
そして緑髪の男の子の方を見る。
俺の目線を受けるやいなや、自身の順番を認識した彼は、もう一度姿勢を正し自己紹介を始めた。
「あ、ランドラルド伯爵領のクートという小さな村で農民をしてました。スヴァーグと言います。魔法は、その……」
スヴァーグといった彼が何やら口ごもった。
何だろう? 何か言いにくい事でもあるのか?
ちらりとアイシャの方を見たスヴァーグ。
なんだ? マジで微妙な魔法だったとか?
RPGで微妙な魔法といえば、状態異常魔法とかだよな。ああいうのって大体ボスには効かないから。
でも、寧ろ雑魚敵の排除がメインになるこの世界では全然役に立ちそうなもんだけど……。
俺のそんな思考をよそに、スヴァーグは、アイシャが頷くのを見て、意を決したように口を開いた。
「その僕の魔法は、魔素の増強と、魔素の封印です」
「ななななんですって!??」
いや、キュオの倍の声が出てしまった。
いや、だって、そんなのしょうがないじゃん!
なんてったって、俺が地球で最もやっていたゲームといえばあれである。あの、仲間にした悪魔をぐちゃぐちゃ合体させて強くしていくアレだ。あのゲームでは、とにかく、とある魔法を持っている悪魔を作ることが絶対的に必須となる。
そう、味方のパワーを上げる魔法、そして敵の防御力を下げる魔法である。どんなに強い必殺技よりも、あれが絶対的に必須魔法なのだ。
「ス、スヴァーグ……さんの魔法は、その、アイシャの魔法の威力を、た、高めたり、とか?」
キュオにああ言ったくせに、さん付けで呼んでしまった。いや、だって、必須魔法っすよ!?
「あ、はい、そうです」
いやあ『タル〇ジャ』持ちかよ! 優秀!
「え、と、魔素の封印、と言うのは、敵を弱体化させるって事……ですよね?」
「まあ、そう、です」
(そして『ラク〇ダ』持ちでもあるとは! 『タル〇ジャ』と『ラク〇ダ』を両方持ってる悪魔って事? マジで? A級、いやS級の仲魔なんですけど!? いや、もう悪魔とか仲魔とか言っちゃってるけど)
「……ほぉああぁぁぁ~」
背もたれに寄っかかって、天を見上げた俺は、不思議な雄叫びを上げていた。
さすがに俺の異変に、アイシャとスヴァーグが驚いた顔でこちらを見ていた。
「ちょっと、ルル? どうしたの?」
アイシャがそう聞いてくるが、俺のこの気持ちは分かるまい。
最強アタッカー、バッファー&デバッファー、ヒーラー。そしてエミュが加われば、ディフェンダーも追加される。
いや、もう十分すぎるほどにバランスの取れた最強パーティーじゃんかよ。このパーティーに、アサシンの俺、いる?
「……気にするな。二人の魔法の優秀さに、心が折れただけだから」
「「え?」」
俺のいじけた言葉に、キュオとスヴァーグが目を丸くした。
「そう、俺は所詮おまけなのさ、あははは」
良いなあ、良いなあ、俺も必須魔法使いになってみたかったなぁ。
ってか、魔法使い自体になってみたかったなあ。
「気にしないで二人とも。この人、頭が良すぎてたまに壊れちゃうの」
アイシャはニッコリと微笑むと、キュオとスヴァーグにフォローになってないフォローした。
くそう、なかなか良く分かっていやがるじゃねえか、俺の事を。
キュオとスヴァーグは、いつも優しく、慈悲深く、完璧な聖女様であるアイシャが、何故か俺には少し辛辣なのに驚いていたようだった。
……まあ、与太話は置いておいて、だ。
俺たちはその後、それぞれに起こった事件を共有し合う事にした。
まずはアイシャの話から。アダワナ子爵領の奪還に始まり、スヴァーグの境遇やランドラルド伯爵領都での事件。フィアローディの援軍、そしてランドラルド伯爵の処刑までの話をたっぷりと聞いた。
もちろん心の中で「見どころのある奴」と断じた、先ほどの俺のランドラルド伯爵への評価は取り下げさせてもらった。
「全く、スヴァーグ先生の魔法の有用性に気づかない愚かな領主など、地獄でも生ぬるいわ」
「あの、ルレーフェ様、普通にして頂いても?」
逐一、スヴァーグの魔法に反応する俺を、アイシャはニヤニヤと見ていた。
「そういや、ここに来る途中に通り過ぎたアイツ。あれ、やっぱりアイシャ達が倒してくれたんだな。討ち漏らしてしまいスマン」
ふと、あのシャルヘィスが呼んだあのキマイラ風について言及すると、思った以上の返事が返って来た。
「何をおっしゃいます! ルレーフェ殿のお陰で何とか打ち取ることが出来ましたのです!」
「ええ、本当に、ありがとうございました!」
「ルレーフェ様が手負いにして下さらなければやられていましたよ!」
侯爵とセリウス殿、スヴァーグが次々と俺を褒めたたえてくれる。
うん、ありがとう。承認欲求が満たされ、少しダメージが回復しました。
「魔法が跳ね返されたの! 本当に危なかったんだから! ルルの馬鹿ぁ……」
おい聖女?
チミだけは褒めて無くないか?
トドメを刺せなくて「馬鹿ぁ」、なのか、傍にいなくて「馬鹿ぁ」、なのか良く分からんが、ひとまずその「馬鹿ぁ」についは「可愛いかよ、馬鹿ぁ」とは言っておこう。
さて、ご飯も食べ終わったところで、次は俺の番である。
俺には、かつてのヴェローニ兄様みたく、臨場感たっぷりな物語のようにこういうのを語れるスキルは持ち合わせていない。なので、きわめて淡々と事実だけを順序だてて口にしていった。
義勇兵を仲間にして、レバーシー伯爵領を奪還しリングブリムに向かった話まではまだ良かった。それでも、みんなは目を丸くしていたが。
続いて、リングブリムの魔法使いは防御特化である事。
ゲージャの攻撃に防戦一方で耐えていた事。
そして、その戦いに割って入り、ガード魔法のサポート付きではあれど、魔獣ゲージャをソロでぶっ殺したことまでを話した。
「「「は?」」」
みんなの声が綺麗にハモった。いや、キュオとスヴァーグは、口をポカンと開けただけだったけど。
おいおい、みんな、どうしたんだ? なんか面白い顔になってるぜ。そのまま傾いたら頭から「はりせんぼん」でも飛んでくるのか?
「ちょっ! ルル! 魔獣ゲージャを一人で倒しちゃったの!? 強力な魔法を使って来る、10メートル級の化け物って話だよ?! 嘘でしょ!?」
まあ、そりゃあそうっすよね。
アイシャの反応がまあ、普通の反応だろう。
ちなみに、今更だけどこの世界の距離の単位はメートル法では当然無いが、俺の脳内で分かり易く変換している。
「ああ、危なかったけどな。エミュの防御魔法が無ければ、五回は死んでた」
驚いたまま呼吸をするのも忘れたような面々を置いて、俺は話を先に進めた。
パリアペートを残したままこちらに向かった事、ジャドニフ子爵領の森の南でシャルヘィスの軍団を見た事。ここには、さっきアイシャの話に出て来たダルタとエリオットが目撃したものと同じだろう、と注釈を加えておいた。
そして、山岳部を走っている最中に、アイシャの最終魔法を見た事。それが気になって高台に上がったら、シャルヘイスに遭遇した事を口にした。
「え……?」
再びみんなの表情が固まった。
「直に会ったの? シャルヘイスに」
「ああ」
「あ、でも、ルルの魔法で、見つからなかったのよね?」
「いや、認識された。やはりゲージャのようにはいかないらしい。この分だと、魔人ドーディアや魔王フェリエラ戦において、俺は役に立たないかもしれないな」
俺のその言葉に、皆の心中は様々だっただろう。
侯爵とセリウス殿は、ルレーフェ殿の魔法が通じないとは。と、落胆している様だった。
キュオとスヴァーグは、自分たちが頑張らねば、と使命感を感じているように見えた。
しかし、アイシャだけは違った。
「ね、ねえ、ルル。今あなたは、ドーディアとフィリエラとの戦いには役に立たない、って言ったわよね? まるで、この先に控えている戦いはその二つだけ、とでも言ってるみたい。って事はもしかして……」
何と鋭い。さすがはアイシャである。
「ああ、シャルヘイスはその場で倒した」
またしてもポカンと口を開ける面々。
全くもう。みんな、顎関節症になっても知らないんだからね!?
んで、それから一週間かけて、小型と大型を合わせて二千体くらいぶっ殺しまくって……いや、そんなに大変じゃないぜ? 一振りで倒せれば、平均で一日三百回ただ剣を振る作業みたいなもんだから。あ、毎日剣は研がないといけなかったけどね。
で、アイシャと再会して、ここに至る、と。
以上!
お、ちょうど、メイドさんがコーヒーを運んできてくれた。
うん。この世界の、薄味なのに香りが強いコーヒーはなかなか俺の趣味に合っている。
……みんな、飲まないのか? 冷めちゃうよ?
あ、しまった、好き嫌いがあるもんな、コーヒーって。
「……みんな、すまない」
真剣な俺の言葉に、驚愕の表情から一転、深刻そうな表情に変わったみんなが、一斉に俺を見た。
「俺の趣味で、食後はコーヒーをお願いしてしまった。もしも飲めなかったら代わりのものを……」
「ちっがーーう!!!」
俺が全員から、三者三様の言葉で突っ込まれたのは言うまでも無かった。
あ、五人いるんだけどね。
キュオとスヴァーグは、陸に打ち上げられた魚のように口をパクパクしているだけだったから、三者、であってると思う。
まあ、これから一緒に戦うのに、やべえヤツ認定だけはされないでもらいたいものである。
俺はコーヒーをすすりながらそんな事を考えていたのであった。
(第40話 『二人の夜』へつづく)
それでも、そんな事を一切気にせずに、目に涙を浮かべた彼女は、俺から離れると後光が差し込むような微笑みを浮かべた。
(相変わらず、とっても聖女様してんな)
俺はアイシャのその笑顔に若干照れつつも心の中でそう突っ込んだ。
「ルレーフェ様、お久しぶりでございます」
その時、アイシャの後について来た、白い鎧の騎士が俺にそう話しかけて来た。
うん? この人は……。
「おお、これはセリウス殿。お久しぶりです、何故ここに?」
その姿は紛れも無く、ハーズワート公爵家で一度お会いした、アイシャの兄のセリウス殿だった。フィアローディから遠く離れたこんな危険な森の中でご兄妹がご一緒とは、さすがに不思議な事態である。
そしてその俺の疑問に答えるより早く、同じ鎧をまとった一人のおじさまが、ダッシュで近寄ってきて俺の前に跪いた。
「ハーズワート公爵家のルレーフェ・ハーズワート殿、私、フィアローディ侯爵領主、ジェイク・フィアローディと申します。我が娘アイシャが、お世話になっております」
ご兄妹どころの騒ぎでは無かった。
「お顔をお上げくださいませ、侯爵閣下。何故こんなところにいらっしゃるかはさておき、共に聖女を支え魔王と戦う者同士。堅苦しい挨拶は無しにしましょう」
俺は内心の驚きと疑問を隠して、挨拶をした侯爵の前にしゃがみ込み、顔の高さを合わせてそう言い、手を差し出した。
本来、身分的に言えば、俺は公爵家の人間であったとしても、無爵位である。つまり侯爵ご本人の方が、身分は上になる訳なのだ。もちろん、俺が魔法使いであることを除けば、である。魔法使いや聖女は問答無用で、どの貴族よりも立場は上になる。
しかし、俺の魔法使いという身分はあくまでも「嘘」な訳で……ああ、もうなんか色々めんどくさい!
俺の言葉を聞いた侯爵は、嬉しそうに頷くと、俺の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。
「ひとまず、細かい事は街に戻ってからにしましょう。いかがですかな、ルレーフェ殿」
「ルル、一緒に北フォーセリアに来られるのよね?」
セリウス殿の言葉に応じて、アイシャが俺に聞いて来た。
確かに、そろそろ暗くなり始める頃合いである。俺はともかく、他の皆を危険にさらすのはよろしくない。
それに、もう大方の魔物は狩りつくした。俺も明日にでも北フォーセリアに向かおうと思っていたところだ。
「ああ、ちょうど向かおうと思っていたところだよ」
「良かった!」
俺の答えに喜ぶアイシャに、俺は先に戻って、森の入口で待つように伝えた。
俺だって、色々準備はあるのだ。
ここから少し南に下ったところに、開けた広い河原があり、そこには木でできた小屋があった。恐らく、ヴィ・フェリエラ期に、近隣の村人が森の中に採取に来た時の為に使用する用途で建てられたのだろう。俺は、ここ一週間はそこにBCを構えていた。
風呂の設備もあるし、洗濯も出来る。魚や木の実を取って食事にもありつける。これ以上無い環境である。
まあ、今回はそこに一度戻って、最低限は血を拭い、繋いである相棒を回収するのが目的だが。
こうして、一度アイシャ達と別れた俺は小屋に戻り、準備を整えた。
そしてマヤノに跨ったまま森林を駆け抜け、森の外で待つアイシャ達に合流すると、共に北フォーセリアに向かった。
それは、一年と数か月の時間を経て、俺が聖女アイシャの元に無事凱旋を果たした瞬間だった。
北フォーセリアについた俺は、ひとまず宿を、と思ったが、今は皆で領主の別邸を使っているとの事。なので、俺もそこに御厄介になる事にした。
なんだ、聖女だけでなくフィアローディの皆にも別邸を開放するなんて、ランドラルド伯爵ってのもなかなか見どころのある奴じゃないか。
初訪問の俺と、帰還したみんなは、さすがに汚れがひどかったので早速風呂に入り、一息ついたところで、食事の席に移動した。
本来ならば食事の後に会議室で、というのが普通なのだが、長い話になるだろうし、互いに自己紹介もせずに食事を取るのもいささか憚られたので、俺がそう提案したのだ。
だって、多分平民出身の魔法使いである彼ら、俺にビビッて一言も口聞いてないもん。
……いや、そりゃそうだろう。
公爵家の息子で魔法使い。
一番初めにアイシャと仲間になって、リングブリムの魔法使いを救うためにヘビーな魔物地帯へ単身で赴いた強者。
そして、一週間で二千体以上の魔物を一人で狩りつくした化け物。こんなヤツに気軽に話しかけられる人間の気が知れない。
「まずは自己紹介をしましょうか。俺はルレーフェ。ハーズワート公爵家の三男です。お二人はアイシャが仲間にした魔法使い、で良いんだよね?」
俺のフランクな言葉に、電撃が走ったようにピーンと背筋を伸ばす二人。
いや、マジでそんな緊張しなくていいって。
「は、は、はい! ガルダ準男爵領コリポ村出身のキュオです。魔法は回復特化です」
「なんだって!?」
ついつい大声を上げてしまう。
いやいや、だってそうだろう? パーティーにおいてヒーラーなんて最重要ポジションと言っても過言ではない。どんなRPGでも、回復要員なしでクリアなんてまず不可能である。
「あ、あの、ルレーフェ様、何か?」
俺の発言の意図が分からなかったらしく、キュオがおずおずと俺に尋ねた。
「回復特化とは、これまた、重要な役目だな、と思ってね。君は凄い魔法使いだよ、キュオ。あ、俺は君の事をキュオと呼ぶけど、俺の事もルレーフェ、いや、ルルで構わないからね。よろしく、キュオ」
「いえ、あ、その、はい、宜しくお願いします。その、ル、ルル」
握手をしたいところだったが、幅の広いテーブルな上に斜め向かいに座るキュオの手には届きそうになかった。
そして緑髪の男の子の方を見る。
俺の目線を受けるやいなや、自身の順番を認識した彼は、もう一度姿勢を正し自己紹介を始めた。
「あ、ランドラルド伯爵領のクートという小さな村で農民をしてました。スヴァーグと言います。魔法は、その……」
スヴァーグといった彼が何やら口ごもった。
何だろう? 何か言いにくい事でもあるのか?
ちらりとアイシャの方を見たスヴァーグ。
なんだ? マジで微妙な魔法だったとか?
RPGで微妙な魔法といえば、状態異常魔法とかだよな。ああいうのって大体ボスには効かないから。
でも、寧ろ雑魚敵の排除がメインになるこの世界では全然役に立ちそうなもんだけど……。
俺のそんな思考をよそに、スヴァーグは、アイシャが頷くのを見て、意を決したように口を開いた。
「その僕の魔法は、魔素の増強と、魔素の封印です」
「ななななんですって!??」
いや、キュオの倍の声が出てしまった。
いや、だって、そんなのしょうがないじゃん!
なんてったって、俺が地球で最もやっていたゲームといえばあれである。あの、仲間にした悪魔をぐちゃぐちゃ合体させて強くしていくアレだ。あのゲームでは、とにかく、とある魔法を持っている悪魔を作ることが絶対的に必須となる。
そう、味方のパワーを上げる魔法、そして敵の防御力を下げる魔法である。どんなに強い必殺技よりも、あれが絶対的に必須魔法なのだ。
「ス、スヴァーグ……さんの魔法は、その、アイシャの魔法の威力を、た、高めたり、とか?」
キュオにああ言ったくせに、さん付けで呼んでしまった。いや、だって、必須魔法っすよ!?
「あ、はい、そうです」
いやあ『タル〇ジャ』持ちかよ! 優秀!
「え、と、魔素の封印、と言うのは、敵を弱体化させるって事……ですよね?」
「まあ、そう、です」
(そして『ラク〇ダ』持ちでもあるとは! 『タル〇ジャ』と『ラク〇ダ』を両方持ってる悪魔って事? マジで? A級、いやS級の仲魔なんですけど!? いや、もう悪魔とか仲魔とか言っちゃってるけど)
「……ほぉああぁぁぁ~」
背もたれに寄っかかって、天を見上げた俺は、不思議な雄叫びを上げていた。
さすがに俺の異変に、アイシャとスヴァーグが驚いた顔でこちらを見ていた。
「ちょっと、ルル? どうしたの?」
アイシャがそう聞いてくるが、俺のこの気持ちは分かるまい。
最強アタッカー、バッファー&デバッファー、ヒーラー。そしてエミュが加われば、ディフェンダーも追加される。
いや、もう十分すぎるほどにバランスの取れた最強パーティーじゃんかよ。このパーティーに、アサシンの俺、いる?
「……気にするな。二人の魔法の優秀さに、心が折れただけだから」
「「え?」」
俺のいじけた言葉に、キュオとスヴァーグが目を丸くした。
「そう、俺は所詮おまけなのさ、あははは」
良いなあ、良いなあ、俺も必須魔法使いになってみたかったなぁ。
ってか、魔法使い自体になってみたかったなあ。
「気にしないで二人とも。この人、頭が良すぎてたまに壊れちゃうの」
アイシャはニッコリと微笑むと、キュオとスヴァーグにフォローになってないフォローした。
くそう、なかなか良く分かっていやがるじゃねえか、俺の事を。
キュオとスヴァーグは、いつも優しく、慈悲深く、完璧な聖女様であるアイシャが、何故か俺には少し辛辣なのに驚いていたようだった。
……まあ、与太話は置いておいて、だ。
俺たちはその後、それぞれに起こった事件を共有し合う事にした。
まずはアイシャの話から。アダワナ子爵領の奪還に始まり、スヴァーグの境遇やランドラルド伯爵領都での事件。フィアローディの援軍、そしてランドラルド伯爵の処刑までの話をたっぷりと聞いた。
もちろん心の中で「見どころのある奴」と断じた、先ほどの俺のランドラルド伯爵への評価は取り下げさせてもらった。
「全く、スヴァーグ先生の魔法の有用性に気づかない愚かな領主など、地獄でも生ぬるいわ」
「あの、ルレーフェ様、普通にして頂いても?」
逐一、スヴァーグの魔法に反応する俺を、アイシャはニヤニヤと見ていた。
「そういや、ここに来る途中に通り過ぎたアイツ。あれ、やっぱりアイシャ達が倒してくれたんだな。討ち漏らしてしまいスマン」
ふと、あのシャルヘィスが呼んだあのキマイラ風について言及すると、思った以上の返事が返って来た。
「何をおっしゃいます! ルレーフェ殿のお陰で何とか打ち取ることが出来ましたのです!」
「ええ、本当に、ありがとうございました!」
「ルレーフェ様が手負いにして下さらなければやられていましたよ!」
侯爵とセリウス殿、スヴァーグが次々と俺を褒めたたえてくれる。
うん、ありがとう。承認欲求が満たされ、少しダメージが回復しました。
「魔法が跳ね返されたの! 本当に危なかったんだから! ルルの馬鹿ぁ……」
おい聖女?
チミだけは褒めて無くないか?
トドメを刺せなくて「馬鹿ぁ」、なのか、傍にいなくて「馬鹿ぁ」、なのか良く分からんが、ひとまずその「馬鹿ぁ」についは「可愛いかよ、馬鹿ぁ」とは言っておこう。
さて、ご飯も食べ終わったところで、次は俺の番である。
俺には、かつてのヴェローニ兄様みたく、臨場感たっぷりな物語のようにこういうのを語れるスキルは持ち合わせていない。なので、きわめて淡々と事実だけを順序だてて口にしていった。
義勇兵を仲間にして、レバーシー伯爵領を奪還しリングブリムに向かった話まではまだ良かった。それでも、みんなは目を丸くしていたが。
続いて、リングブリムの魔法使いは防御特化である事。
ゲージャの攻撃に防戦一方で耐えていた事。
そして、その戦いに割って入り、ガード魔法のサポート付きではあれど、魔獣ゲージャをソロでぶっ殺したことまでを話した。
「「「は?」」」
みんなの声が綺麗にハモった。いや、キュオとスヴァーグは、口をポカンと開けただけだったけど。
おいおい、みんな、どうしたんだ? なんか面白い顔になってるぜ。そのまま傾いたら頭から「はりせんぼん」でも飛んでくるのか?
「ちょっ! ルル! 魔獣ゲージャを一人で倒しちゃったの!? 強力な魔法を使って来る、10メートル級の化け物って話だよ?! 嘘でしょ!?」
まあ、そりゃあそうっすよね。
アイシャの反応がまあ、普通の反応だろう。
ちなみに、今更だけどこの世界の距離の単位はメートル法では当然無いが、俺の脳内で分かり易く変換している。
「ああ、危なかったけどな。エミュの防御魔法が無ければ、五回は死んでた」
驚いたまま呼吸をするのも忘れたような面々を置いて、俺は話を先に進めた。
パリアペートを残したままこちらに向かった事、ジャドニフ子爵領の森の南でシャルヘィスの軍団を見た事。ここには、さっきアイシャの話に出て来たダルタとエリオットが目撃したものと同じだろう、と注釈を加えておいた。
そして、山岳部を走っている最中に、アイシャの最終魔法を見た事。それが気になって高台に上がったら、シャルヘイスに遭遇した事を口にした。
「え……?」
再びみんなの表情が固まった。
「直に会ったの? シャルヘイスに」
「ああ」
「あ、でも、ルルの魔法で、見つからなかったのよね?」
「いや、認識された。やはりゲージャのようにはいかないらしい。この分だと、魔人ドーディアや魔王フェリエラ戦において、俺は役に立たないかもしれないな」
俺のその言葉に、皆の心中は様々だっただろう。
侯爵とセリウス殿は、ルレーフェ殿の魔法が通じないとは。と、落胆している様だった。
キュオとスヴァーグは、自分たちが頑張らねば、と使命感を感じているように見えた。
しかし、アイシャだけは違った。
「ね、ねえ、ルル。今あなたは、ドーディアとフィリエラとの戦いには役に立たない、って言ったわよね? まるで、この先に控えている戦いはその二つだけ、とでも言ってるみたい。って事はもしかして……」
何と鋭い。さすがはアイシャである。
「ああ、シャルヘイスはその場で倒した」
またしてもポカンと口を開ける面々。
全くもう。みんな、顎関節症になっても知らないんだからね!?
んで、それから一週間かけて、小型と大型を合わせて二千体くらいぶっ殺しまくって……いや、そんなに大変じゃないぜ? 一振りで倒せれば、平均で一日三百回ただ剣を振る作業みたいなもんだから。あ、毎日剣は研がないといけなかったけどね。
で、アイシャと再会して、ここに至る、と。
以上!
お、ちょうど、メイドさんがコーヒーを運んできてくれた。
うん。この世界の、薄味なのに香りが強いコーヒーはなかなか俺の趣味に合っている。
……みんな、飲まないのか? 冷めちゃうよ?
あ、しまった、好き嫌いがあるもんな、コーヒーって。
「……みんな、すまない」
真剣な俺の言葉に、驚愕の表情から一転、深刻そうな表情に変わったみんなが、一斉に俺を見た。
「俺の趣味で、食後はコーヒーをお願いしてしまった。もしも飲めなかったら代わりのものを……」
「ちっがーーう!!!」
俺が全員から、三者三様の言葉で突っ込まれたのは言うまでも無かった。
あ、五人いるんだけどね。
キュオとスヴァーグは、陸に打ち上げられた魚のように口をパクパクしているだけだったから、三者、であってると思う。
まあ、これから一緒に戦うのに、やべえヤツ認定だけはされないでもらいたいものである。
俺はコーヒーをすすりながらそんな事を考えていたのであった。
(第40話 『二人の夜』へつづく)
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
異世界に落ちたら若返りました。
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榊原 チヨ、87歳。
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悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
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ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
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世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
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【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
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過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
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異世界転生~チート魔法でスローライフ
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【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
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※挿絵有りますが、自作です。
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異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
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貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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