乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

文字の大きさ
4 / 77
本編

しおりを挟む
連れて来られたのは殿下の私室……なのかな?結構広くて、社長室とかにありそうな立派な執務机に応接セット……え、簡易ベッドまであるの?王族ってすごいね~って関心してたら、ドン!と壁に体を押し付けられた。

あ、これが噂の壁ドンですか。好みの人にやられたらさ、本気で心臓壊れるね。やばいわこの距離感。

でもね、殿下がイケメンなのは分かるんだけど全体的に好みじゃないんだよな……ん?好みじゃない?
何かが心に引っかかった。

至近距離にいる殿下の顔をじっと見詰める。シミひとつない美肌にキレイな金髪碧眼。あれ、なんだろ?この顔どこかで見たことあるような?

「何だお前、今日変じゃないか?」

殿下は怪訝そうな顔をする。甘い顔して中々鋭いな。

「あの、もうバレそうなんで言っちゃいますね。私記憶ないんです」

ごめんねママ。もうアンジェリカ隠し通せません。

「……は?」

「だから記憶ないの」

殿下は上手く言葉が呑み込めないのか、目をパチパチと瞬かせる。

「あなたのことも全然覚えてないの」

「なん……だと!?」

「記憶が戻るかも分かんないし、何なら婚約破棄とか遠慮なくどうぞ」

にこっと笑うと、殿下が怒りのためかぼっと顔を真っ赤に染めた。

「ふざ……っけるな!あんなにウザイくらい俺を好きだ好きだと言っていたくせにっ!」

そうなんだ。アンジェリカって殿下のこと好きだったのか。だからあんな良いようにされんだね、ただの都合のイイ女じゃん。あーあ全く冗談じゃないよ。

「前の私はそうだったかもしれないけど、今の私は全然殿下のこと好きじゃないから」

もう言いたいことは言ったし、殿下を退けようと胸を押すけど、あれ?びくともしない。しかも意外と硬い。

ぐいぐい押してた両手を殿下に掴まれた。しかもメッチャ怖い顔で睨まれてる。やだなぁもう……こういう強引Sな扱いされるの初めてで正直どうしていいのか分かんないよ。
困った顔してたら、ガブっと殿下に下唇噛まれた。

「痛っ!」

今度はペロっと舐められる。何が起こってんだ一体?

「なにす……!?」

今度はしっかり噛み付くようにキスされた。あれ?何これ?何かこう唇と唇がピッタリフィットするような……何この感覚?

うっすら目を開くと、伏せられた長い睫毛に綺麗な金髪が垂れかかってた。
その顔を見た瞬間、ガン!と頭を殴られたような衝撃。
こ、この男……乙女ゲームのヒーローその1(名前知らない)そっくりじゃんか!








ある日ある時、私の壊滅的女子力を心配したおせっか……優しい友人Aが、さる乙女ゲームを私に押し付けた。
題名は確か「セレスティーヌ」だったかな?なんか主人公の名前がタイトルだった気がする。

まあ、キラキラなパッケージざっと見ただけでさ、好みの男が居ないんだよね。私どっちかっつーと格ゲーとか洋ゲーみたいなムッキムキが好きだし。
本気で興味なかったんだけど、Aの圧が凄いから渋々やってみた訳。

確かかろうじて興味持てそうな騎士だけは落としたんだ。最初やけに冷たくされるから妙に燃えちゃったんだよね。やーその後は砂吐きもんの甘さでしたよ。柄にもなくキュンとしちゃいましたさ。

まあそれで満足しちゃったから興味ない殿下何てルートに触りもせず……なんだけど、覚えてる限り殿下ってあのゲームのキャラ(パッケージ絵)にそっくりなんだよね。ここってあのゲームと似た世界なのかな?夢でもみてるの私?

ん!?てことは……もしかしたらヒロインも存在したりする?しかもヒロインが殿下選んでくれれば……私婚約解消できるんじゃない?

頭の中でファンファーレが鳴り響く。そうだ、セレスティーヌを探そう!

殿下から意味不明な(しかも長い!)キスされながら明確になった目標に内心ニンマリな私だった。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」 伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。 ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。 「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」 推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい! 特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした! ※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。 サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

婚約破棄までの七日間

たぬきち25番
恋愛
突然、乙女ゲームの中の悪役令嬢ロゼッタに転生したことに気付いた私。しかも、気付いたのが婚約破棄の七日前!! 七日前って、どうすればいいの?!  ※少しだけ内容を変更いたしました!! ※他サイト様でも掲載始めました!

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さくら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

男装の騎士に心を奪われる予定の婚約者がいる私の憂鬱

恋愛
私は10歳の時にファンタジー小説のライバル令嬢だと気付いた。 婚約者の王太子殿下は男装の騎士に心を奪われ私との婚約を解消する予定だ。 前世も辛い失恋経験のある私は自信が無いから王太子から逃げたい。 だって、二人のラブラブなんて想像するのも辛いもの。 私は今世も勉強を頑張ります。だって知識は裏切らないから。 傷付くのが怖くて臆病なヒロインが、傷付く前にヒーローを避けようと頑張る物語です。 王道ありがちストーリー。ご都合主義満載。 ハッピーエンドは確実です。 ※ヒーローはヒロインを振り向かせようと一生懸命なのですが、悲しいことに避けられてしまいます。

処理中です...