乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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「私に何か話したいことでも?」

「ええ、あなたにグレンシュフォンティエル殿下を諦めて頂きたくて……」

え!?私がグレンを諦める!?待て待て……好きだったのは元アンジェリカさんですよ!って言っても通じないんだよなぁ。でもやっぱそういう系の話か。

「私とグレンシュフォンティエル殿下の婚約は政治ですから、そんな簡単に破棄など出来ませんよ。王太子様の婚約者ならあなたにだって分かるでしょう」

私にしては珍しい正論だ!ふ、ぐうの音も出まい。

「……忌々しい方」

マチルダちゃんの吐き捨てるような物言いと笑顔にゾッとする。

「グレンシュフォンティエル殿下の婚約者には元々私が決まっていたのに……碌な資質もないあなたなどの一言で全てが覆るなんて、理不尽にも程があるわ」

激しい憎悪を隠しもしないで、マチルダちゃんは一歩一歩と私に近付いてくる。恐怖に呑まれた私は後ずさるしかない。

「仮に私がグレンと婚約破棄したとしても、彼があなたを選ぶとは限らないわ」

「アニエステ妃の口添えがあれば陛下も拒めないでしょう。でもそれよりもっと簡単な方法があるわ。ねえアンジェリカ様、お願いだから消えて頂戴……」

ドンっと胸を押されて私後ろによろけて尻餅ついた。

「……ったぁ」

そこは広間の中央で、何故か周りには人っこ一人居なかった。いつの間にホールには私とマチルダちゃんだけ!?私が軽くパニックになってると、ガタンっておっきな音がした。ハッとして上を見上げると、あのでっかいシャンデリアが傾いていた。

え、まさか!?

マチルダちゃんの方を見ると、少し離れたところで腕組んで悪女スマイル。真っ赤な唇が三日月みたいだ。ああ、全部仕組まれてたのか……

ガタガタって凄い音がして、オペラ座の怪人のオープニングさながらにシャンデリアが落ちてきた。私一人を目掛けて──

もう条件反射だった。アズに攻撃された時みたいに、私はとっさにでっかい火の玉をシャンデリアにぶつけてた。同時に身の回りに防御の結界も張ってたなんて流石だ私!特訓の甲斐あったな!そのお陰でシャンデリアの破片で傷付くこともなかった。

あたりを見渡すと、真っ黒焦げになったシャンデリアの残骸があちこちに散らばってた。あんな巨大な塊一瞬で細切れにするとは……アンジェリカの魔力恐るべし。

「……ぅ……」

呻き声みたいなのが聞こえてきて、私ぱっと振り返った。あ!忘れてたマチルダちゃん!床に倒れてて気を失ってるのかな?近寄っても反応はない。

ドレスをちょっと失礼してまくってみると、ガラスの破片が飛んだのかストッキング破れてるし剥き出しの腕も傷だらけだった。
女の子の体なのに……私必死で治癒魔法かけた。殺されかけたことなんてふっとんでたよ。ただ助けなきゃって必死だった。

「早く誰かきて!」

広いホールに私の声がビンビン響く。早く誰か……助けてよグレン!

「アンリ!」

特大の心の声に応えるようにグレンがホールに飛び込んできた。グレンを追いかけるようにアーサーとメレディスさんも。

「グレン!早くマチルダさんを病院に!」

「なんだこれは……お前怪我はないのか!?」

グレンが私の肩を掴んで顔を覗き込んできた。その顔見てほっと力が抜けてしまう。

「私は大丈夫だから!早く病院、に……」

急激な目眩に目の前が真っ暗になる。魔力ちょっと使い過ぎたかな……火の玉より治癒魔法のが消耗激しいんだよね。必死だったから加減も出来なかった。でも今倒れるわけにはいかないのに!

「アンリ!?」

私グレンにもたれるように意識を失ってしまった──
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