乳房星(たらちねぼし)−1・0

佐伯達男

文字の大きさ
118 / 240
第12話・いとしのエリー

【心の水】

しおりを挟む
話はそれから5分後であった。

A班のメンバーたちがいる楽屋にイナ姐《ねえ》はんとドナ姐《ねえ》はんが付き人の男たち5人と一緒に入った。

イナ姐《ねえ》はんとドナ姐《ねえ》はんは、私に声をかけた。

「よーくん~」
「イナ姐《ねえ》はん、ドナ姐《ねえ》はん。」
「よーくん、元気だった~」
「うん。」

このあと、イナ姐《ねえ》はんはゆきさんがしていたお仕事の一部の引き継ぎを行った。

これにより、イナ姐《ねえ》はんがイワマツグループのA班のメンバーに合流した。

ゆきさんが持っていたお仕事道具は、イナ姐《ねえ》はんに手渡された。

その後、イナ姐《ねえ》はんは私のもとにやって来た。

私は、イナ姐《ねえ》はんに声をかけた。

「イナ姐《ねえ》はん。」
「なあによーくん。」
「ハナちゃんは?」
「ハナは、結婚したわよ。」
「結婚?」
「うん。」
「相手《おあいて》は?」
「ヨスの水産会社の経営者の長男くんよ…ひらたくいえば、次期社長さんよね。」
「次期社長さん…」
「ハナは、次期社長夫人になるかな~」
「次期社長夫人…」

この時、順子《よりこ》さんが特大《ベンティ》サイズの水筒から黒のアルミのスタバのロゴ入りのマグカップにコーヒーを注いでいた。

その後、コーヒーが入っているマグカップをゆっくりと私に手渡した。

この時、イナ姐《ねえ》はんが優しい声で私に言うた。

「よーくん。」
「なあに?」
「よーくんにコーヒーを注いで下さったこは?」
「順子《よりこ》さん…だよ。」
「順子《よりこ》さんね。」

私は、イナ姐《ねえ》はんに声をかけた。

「順子《よりこ》さんは…好きな人がいるのだよ。」
「好きな人がいるのね…いいわね。」
「イナ姐《ねえ》はん。」
「よーくん、気になるのね。」

イナ姐《ねえ》はん…

違うのだよ…

私は、困った表情でつぶやいた。

イナ姐《ねえ》はんは、優しい声で私に言うた。

「ねえよーくん。」
「なあに?」
「よーくんがほしいお嫁さんは、どんなタイプの子かな?」
「えっ?」
「タレントさんで言うたら…どんなこが好みかな?」
「タレントさんで言うたら…って…」
「たとえば…カラとか少女時代とか…Bがつく歌のこ…ああBoA(ボア)だったわ…」

KーPOP(けいポップ)の女の子の名前を出されても困るよぅ~

私は、ものすごく困った表情でつぶやいた。

イナ姐《ねえ》はんは、優しい声で言うた。

「よーくん。」
「なあに?」
「よーくんは、どんな形の恋をしたいの?」
「どんな形って?」
「たとえば…ああ…あの人気ドラマは…ペ・ヨンジュンさんが出演していたドラマで…チュンチョンが舞台だった…」

近くにいたドナ姐《ねえ》はんが『冬のソナタよ。』と答えた。

イナ姐《ねえ》はんは『ああ、そうだったわね~』と言うたあと私に言うた。

「よーくんは…ラブロマンスのような恋がしたいのかな…それとも、ラブコメみたいな恋がしたいのかな~」

ドナ姐《ねえ》はんは、困った声でイナ姐《ねえ》はんに言うた。

「イナ姐《ねえ》ちゃん!!」
「なあにドナ。」
「なあにじゃないわよ!!よーくんを困らせないでよ!!」
「どうしたのよ~」
「よーくんのお嫁さんを選ぶ権限はB班のメンバーたちにあるのよ!!」
「どうしてよ…お嫁さんを選ぶ権利はよーくんにないと言うの?」
「よーくんのお嫁さんの条件は非常に厳しいのよ!!」
「分かってるわよ…」
「イナ姐《ねえ》ちゃん!!よーくんは2月以降は超多忙な日々がつづくのよ!!お見合いの日取りが決まったらジナ姐《ねえ》ちゃんがよーくんにお知らせするようになっているのよ!!超多忙な日々の中でお見合いのセッティングをするうちらの身にもなってよ!!」
「分かってるわよ~」

イナ姐《ねえ》はんとドナ姐《ねえ》はんは、ああでもないこうでもないと言うた。

深夜11時半頃であった。

私は、指定されたスタジオに入ったあと所定の席についた。

その10分後に、7人の出演者さまたちが入ったのでごあいさつをかわした。

収録開始5分前に司会者の男性シンガーソングライターさんと男性アナウンサーさんがスタジオに入った。

そして、2月1日の深夜0時の時報とともに48時間に及ぶ大量収録が始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...