乳房星(たらちねぼし)

佐伯達男

文字の大きさ
4 / 153
第1話・遠くへ行きたい

【そして、神戸】

しおりを挟む
私・コリントイワマツヨシタカグラマシーは、1971年11月30日に多民族多国籍の男性として生まれた…

名前は日本人に近いけど、日本国籍を保有していない…

東洋系の顔つきだけど、中国・台湾・韓国・北朝鮮の国籍もないなど…ものすごく複雑な事情を抱えている。

私が生まれたあと、初乳(さいしょのおちち)は与えられたが、その直後に実母と引き裂かれた。

1971年の12月18日に、実母は病気で亡くなった。

実母と引き裂かれた私は、施設長さんたちと一緒に四国・波止浜の母子保護施設へ移った。

私は、母子保護施設の施設長さんに育てられた。

時は流れて…1987年10月…

15の私は、あてのないひとり旅に出た。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、10月3日の午後3時過ぎのことであった。

15の私は、大阪行きの特急雷鳥に乗っていた。

1978年9月にアメリカ合衆国の寄宿制の6年制の小学校に入学~1984年夏に卒業~同年9月に2年制の寄宿制の中学に進学~1986年夏ごろ卒業~同年9月に4年制の寄宿制のハイスクールに進学…

4年制の1年生まで修了したので、この時私は4年制の2年生であった。

9年間在籍していた寄宿制の学校は、勉強第一主義の学校である。

そこの学園長が『体育祭や文化祭などの学校行事は、勉強の妨げになるから絶対アカン…』とほざいとったけん、学校行事なんか全くない。

体育祭?

文化祭?

クラブ活動?

プロム?

ハァ?

何それ…

現地の小・中学校の児童生徒は、勉強について行けん子は落第する。

だから私は、必死になって勉強した。

学校の勉強と仕事に必要な資格を取得するだけの学校生活…

ロングバケーション中も校外学習・職場体験などの勉強中心であった。

なので、楽しい思い出なんてあるわけない。

テストで学年1位になって、みんなからソンケイされるためにガマンした。

仕事に必要な資格を大量に取得して優位になるためにガマンした。

優等生になれば、好きな彼女ができると信じてガマンしとおした。

せやけど、そのように行かなんだ。

どんなにガマンして勉強に打ち込んでも、思う通りにならない。

そのように思ったのは、4年制ハイスクールの1年生の後期辺りだったと思う。

オレ…

来るところを間違えたと思う。

1年生が修了した時に、卒業生の両親が私のもとへやって来てあつかましい口調でこう言うた。

『せっかく高校に行きよんのに、勉強第一主義で通して行くのはつまらんとおもわんのか…』

1987年9月に、卒業生の両親のいいなりになって日本のゆめいろ市(空想の学園都市)にある公立高校に転校した。

『高校に行ってる間くらい楽しい思い出を作ってこい。』と卒業生の両親があつかましくいよるけん、ショーコトなしに転校した。

せやけん、やめたったわ…

同じ高校に通う女子生徒の家に住み込みで公立高校に通った。

女子生徒の家は、祖父母さまと両親と女子生徒の5人家族…

そこにもひとり、ツッパリ風の少年(その子も親きょうだいがいてへん子だった)が住み込みで暮らしていた。

年ごろの女の子の家に、年ごろの男の子ふたりが同じ屋根の下で暮らすことなんかけしからんと私は思う。

なんでこななモラルハザードを犯すのか?

そななことばかり私は思った。

1987年9月の終わり頃、その女子生徒が妊娠した。

私がそこへ来る2ヶ月ほど前に、女子生徒がレイプの被害を受けたことによる妊娠である。

その時、激怒した女子生徒の父親がツッパリ風の少年が犯したと決めつけてボコボコにどつき回しながらこななこと抜かしよった。

オドレは何しに高校に行きよんぞ!!

高校生の本分は、学校から与えられたカリキュラム通りに勉強することだ!!

テストで学年1位になることが本分だ!!

高校生の恋愛なんてナマクラのすることだ!!

オレはガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンして…ガマンしてきたのだぞ!!

勉強せえ勉強せえ勉強せえ勉強せえ勉強せえ勉強せえ勉強せえ勉強せえ…

学年1位学年1位学年1位学年1位学年1位学年1位学年1位学年1位…

東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大東大…

オレはトーダイをトップの成績で卒業して、一流企業にシューショクして、ドーキを蹴散らしてトップで部長にショーシンしたのだぞ!!

オレが取締役になれんかったら、その時は(ツッパリ風の少年)のせいだ!!

そのようにおらび回った女子生徒の父親は、家中を暴れ回ったあと祖父母さまにきつい暴力を加えた。

ほんで、私がいる部屋のドアをけとばしながらわけのわからへんことをほざきよった。

そして、付近を通りかかった若者のグループと血みどろの乱闘を繰り広げた。

私は、女子生徒の祖父母さまに『出て行けと言うのであれば出てゆくわ!!』とタンカ切って家出したった。

それと同時に、学校をすてたった。

10月1日の夜、私は必要最低限の品物を詰めたボストンバッグを持って家出したあと、ひと晩かけてとなり町のJRの駅へ向かった。

10月2日の朝、複数の路線の列車を乗り継いで新潟駅へ向かった。

10月3日の昼前に新潟駅に到着した。

そして、昼過ぎに大阪行きの特急雷鳥に乗り換えた。

私は、ぼんやりとした表情で窓に写る沿線の風景を見つめながらウォークマンで歌を聴いている。

イヤホンから流れている歌は、カセットテープに吹き込んだ作曲家浜圭介先生が作曲した歌の全曲集に収録されている歌である。

『終着駅』『折鶴』『雨』『石狩挽歌』『舟唄』『雨の慕情』『哀しみ本線日本海』『すずめの涙』『大阪暮色』『そして、神戸』…

越中宮崎のヒスイ海岸・富山の中心部・金沢の中心部・越前海岸・福井の中心部・敦賀の中心部・びわ湖…

窓に写る風景をながめながら歌を聴いている私は、何を想っていたのか…

夜7時前に、私が乗っている列車が大阪駅に着いた。

列車を降りた私は、阪神梅田駅へ向かった。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夜7時50分ごろであった。

私は、阪神本線の各駅停車の電車に乗り換えて旅を続けた。

窓に写る夜の沿線の風景をぼんやりと見つめながら、私は何を想っていたのか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...