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第11話・メモリーグラス
【泣き上手】
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その一方で、兼次は出向で今の職場に移ったことが原因でいらだちをつのらせるようになった。
兼次は、今の職場で周囲からいびりを受けていた。
課長さんと従業員さんたちは、兼次が出向で来た時からだらけるようになった。
ワープロが使えないことに加えて、兼次以外の従業員さんたちが決められた当番をせずに兼次ばかりに押しつけるなど…従業員さんたちの勤務態度が極力悪化した。
『(お茶が入ってる)やかんが重たい。』『郵便物あったかいのぉ~』などと言うて決められた当番をしない…
その割に、定時になったら帰宅する。
与えられた仕事に文句ばかり言うことだけはいっちょ前で社会のジョーシキがないドアホばかりだ。
それなのに、上層(うえのもん)は『彼らはやりたくないというてるから…』と言うてかれらを甘やかしている。
これでは、兼次がヘキエキするのも無理はないと思う。
その上に、兼次が食べる晩ごはんがない。
優香と由芽が味見でつまみ食いしていることが原因で兼次が食べる分がない。
それなのに、優香と由芽が『エーヨーバランスがどーのこーの…』といよるけん、ホンマにドアホや。
話しは変わるけど、兼次はこの日体調を崩して仕事を休んでいた。
その日の夕方6時半頃であった。
たつろうさんの実家の大広間に3・5世帯の大家族が集まって晩ごはんを食べようとしていた。
しかし、優香の電話が長びいているので食べることができない。
優香は、政子から逸郎さよこ夫婦の知人の家に電話してと言われたので、片っ端から電話をかけていた。
逸郎もさよこも、尾鷲市内と周辺の熊野市と紀伊長島町しか知人がいてへん…
その他の三重県と県外にはひとりも知人はいてへんし、行くアテもない…
優香は、心配げな表情で電話をかけていた。
「そうですか…逸郎さん来ていませんか…すみませんけど、もし逸郎さんがたずねてきたら電話をするように言うてください…よろしくお願いいたします。」
一度電話を切った優香は、書き抜き帳をみながらダイヤルを回した。
優香みつろう夫婦のふたりの子供は、いつになったらごはん食べることができるのかとみつろうに言うた。
「お腹すいたよぅ~」
「ねえ、いつになったらごはん食べられるの?」
「(過度にやさしい声で)ああ、今おかーちゃんが電話しよるけん、もうちょっと待っていてね。」
みつろうはつらそうな表情で『はよせえや。』と優香の背中に向けてつぶやいた。
(ジー、ジー、ジー、ジー…プルルルルルルルルルルルルルルルルル…ガチャ…)
「もしもし、あのすみません…そちらに逸郎さん…すみません…すみません…」
(ガチャン)
優香は、間違い電話をやらかしてもうた。
「ああ…またやらかしたわ…どないしょー…」
(ガチャ…ジー、ジー、ジー、ジー、ジー…ガチャン!!)
「キーッ!!」
優香のイライラが頂点に達した時であった。
(ジリリリリン!!)
けたたましいベルの音が鳴り響いたので、優香は受話器をあげた。
「多賀でございます…もしもし逸郎さん!!どこにいるのよ!?みんな逸郎さんのことを心配して…ああ、すみません~」
電話は、お弁当工場に勤務している近所の奥さまからであった。
優香は、ものすごく赤い顔で『すみませんでした…』と言うた。
このあと、優香は奥さまから兼次がお弁当をたべていないことを聞いた。
「もしもし…兼次さんがお弁当を食べていないと言うのはどう言うことでしょうか?…アタシにはよくわかりませんけど…そんなはずはありませんわ!!…兼次さんは、お弁当おいしいおいしいと言うて食べていたわよ!!」
その時であった。
ボストンバッグ1つを持って、だまって家を出ようとしていた兼次を優香が見た。
優香は、兼次を止めるために受話器を放りすてて外へ出た。
「兼次さん!!兼次さん待ってよぅ!!どこへ行くのよぉ!!お弁当工場の人が心配して電話をかけてきたのよ!!ねえ兼次さん!!」
その間、電話は受話器があがったままの状態になっていた。
受話器の向こう側から奥さまの叫び声がひっきりなしに聞こえている。
兼次は、優香の呼び声をかき消してそのまま家出したあとたつろうさんの実家に2度と帰らなくなった。
同時に、職場に対して徹底抗戦を構えた。
兼次は、今の職場で周囲からいびりを受けていた。
課長さんと従業員さんたちは、兼次が出向で来た時からだらけるようになった。
ワープロが使えないことに加えて、兼次以外の従業員さんたちが決められた当番をせずに兼次ばかりに押しつけるなど…従業員さんたちの勤務態度が極力悪化した。
『(お茶が入ってる)やかんが重たい。』『郵便物あったかいのぉ~』などと言うて決められた当番をしない…
その割に、定時になったら帰宅する。
与えられた仕事に文句ばかり言うことだけはいっちょ前で社会のジョーシキがないドアホばかりだ。
それなのに、上層(うえのもん)は『彼らはやりたくないというてるから…』と言うてかれらを甘やかしている。
これでは、兼次がヘキエキするのも無理はないと思う。
その上に、兼次が食べる晩ごはんがない。
優香と由芽が味見でつまみ食いしていることが原因で兼次が食べる分がない。
それなのに、優香と由芽が『エーヨーバランスがどーのこーの…』といよるけん、ホンマにドアホや。
話しは変わるけど、兼次はこの日体調を崩して仕事を休んでいた。
その日の夕方6時半頃であった。
たつろうさんの実家の大広間に3・5世帯の大家族が集まって晩ごはんを食べようとしていた。
しかし、優香の電話が長びいているので食べることができない。
優香は、政子から逸郎さよこ夫婦の知人の家に電話してと言われたので、片っ端から電話をかけていた。
逸郎もさよこも、尾鷲市内と周辺の熊野市と紀伊長島町しか知人がいてへん…
その他の三重県と県外にはひとりも知人はいてへんし、行くアテもない…
優香は、心配げな表情で電話をかけていた。
「そうですか…逸郎さん来ていませんか…すみませんけど、もし逸郎さんがたずねてきたら電話をするように言うてください…よろしくお願いいたします。」
一度電話を切った優香は、書き抜き帳をみながらダイヤルを回した。
優香みつろう夫婦のふたりの子供は、いつになったらごはん食べることができるのかとみつろうに言うた。
「お腹すいたよぅ~」
「ねえ、いつになったらごはん食べられるの?」
「(過度にやさしい声で)ああ、今おかーちゃんが電話しよるけん、もうちょっと待っていてね。」
みつろうはつらそうな表情で『はよせえや。』と優香の背中に向けてつぶやいた。
(ジー、ジー、ジー、ジー…プルルルルルルルルルルルルルルルルル…ガチャ…)
「もしもし、あのすみません…そちらに逸郎さん…すみません…すみません…」
(ガチャン)
優香は、間違い電話をやらかしてもうた。
「ああ…またやらかしたわ…どないしょー…」
(ガチャ…ジー、ジー、ジー、ジー、ジー…ガチャン!!)
「キーッ!!」
優香のイライラが頂点に達した時であった。
(ジリリリリン!!)
けたたましいベルの音が鳴り響いたので、優香は受話器をあげた。
「多賀でございます…もしもし逸郎さん!!どこにいるのよ!?みんな逸郎さんのことを心配して…ああ、すみません~」
電話は、お弁当工場に勤務している近所の奥さまからであった。
優香は、ものすごく赤い顔で『すみませんでした…』と言うた。
このあと、優香は奥さまから兼次がお弁当をたべていないことを聞いた。
「もしもし…兼次さんがお弁当を食べていないと言うのはどう言うことでしょうか?…アタシにはよくわかりませんけど…そんなはずはありませんわ!!…兼次さんは、お弁当おいしいおいしいと言うて食べていたわよ!!」
その時であった。
ボストンバッグ1つを持って、だまって家を出ようとしていた兼次を優香が見た。
優香は、兼次を止めるために受話器を放りすてて外へ出た。
「兼次さん!!兼次さん待ってよぅ!!どこへ行くのよぉ!!お弁当工場の人が心配して電話をかけてきたのよ!!ねえ兼次さん!!」
その間、電話は受話器があがったままの状態になっていた。
受話器の向こう側から奥さまの叫び声がひっきりなしに聞こえている。
兼次は、優香の呼び声をかき消してそのまま家出したあとたつろうさんの実家に2度と帰らなくなった。
同時に、職場に対して徹底抗戦を構えた。
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