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一章
目覚めた先は
ガタンゴトンと振動を感じる。というか揺れ過ぎじゃない? 轍のせいなのか一度の振動が大きい。
目覚めは最悪だった。
単純に振動のせいでもあるが、何より先程のイベントの影響で目を閉じると怒気まみれのゴブリンやオークの顔が浮かぶ。それらに囲まれて無傷とは言え袋叩きだったのだ。そりゃトラウマにもなる。
でも、視線の前にある青空はとても綺麗だった。なんか空が近い感じがする。元の世界でもたまに見える月のような恒星はこの世界にもあるようだ。めちゃくちゃでかい星が見える。あの見えるのはクレーターだろうか? 肉眼で見えるのは凄いなと感慨に耽る。
寝返りをうつと荷物、いや商品だろうか? 荷馬車に揺られる俺は荷物に潰されまいと上半身を起こす。
「あ、お兄さん起きたかい?」
馬を操る男が声をかけてくる。
「あー、いえ、すみません。経緯がわからないのですが、乗せていただきありが···。」
ってワタナベじゃねーか!! 言葉の途中で固まる俺を見てワタナベが悪い顔をする。
「にひひひ。よくこんな荷馬車で寝れたもんだな! まぁ寝てたってより気絶してたからしかたないが。」
ニヤニヤと笑うワタナベに俺は心底苛立つ。おまえが人の話を聞かずに異世界行きを決め、よくわからん難易度を決め、スキルを貰い、って待てよ? そういや俺は魔法と呼ばれる物を使った。いや、使えたんだな! 元の世界では経験出来ない貴重な体験だ! 少し自分の中で気持ちが脱線したが、まぁそれはそれなわけだよ。
と言いたい事が次々と出てくるが、今の心境から何が言えるかというと。
「ワタナベ! 笑い事じゃねーぞ! こんにゃろう!」
なんというか我ながら語彙力がない言葉を出すのが精一杯であった。
「うん、まぁそのなんだ。あー、そうだ。喉乾いたろ? 寝起きだし、コーヒーでも飲むか?」
気絶とは言え、外にずっといたのだ。確かに喉は乾いてる。
「ちゃんと説明しろよ! つーか、コーヒーって?」
ほいっとワタナベから手渡されるそれは某コンビニのコーヒーSサイズだった。
「おい、ワタナベ? これどこから出した? ここ本当に異世界? 単に田舎とかじゃなくて?」
と急に元の世界の物を出されたもんだから、溜まっていた疑問がベクトルを変えて次々に出てくる。
「んあ? 起きたら飲むかと思って用意した。俺のスキルの一つだ。それと元の世界ならスキルは使えない。大丈夫、ちゃんと異世界だ。おまえは立派なエアーカッターを使った!」
予め用意されたかと思うような回答がくる。俺としてはちゃんとしてなくても元の世界が良かったんだが?
「あ、砂糖とミルク使う?」
「うん。使う。」
砂糖とミルクを予備動作なく左手から出す様に気を取られ不満が息を潜める。
というか、普通は異世界行ったらその土地の食生活を楽しむとか、知識チートとかでなんかやるだろ? 普通。ハンバーグとかマヨネーズとかで脚光を浴びるだろ? 普通。
葛藤しつつも砂糖とミルクを入れ一口飲む。
「あー、うまいな。」
と普通の感想を口に出してしまうと
「だろ? ここは空気美味いからなー。っと今回はチュートリアルを無事にクリア出来ました記念な。本当はワタナベポイント百ポイント使うとこだけど奢りにしてやるよ。」
「は? ワタナベポイントってそういう使い方なの? それにチュートリアルなら安全なんじゃ?」
とほっとした為か思った事をそのまま聞いてしまう。
「そうだよ。ワタナベポイントが本当のチートかもしれないって言っただろ? それとチュートリアルと言ってもエクストラハードモードだ。最悪おまえがもう少し遅く行動してたり、標的を間違えて魔法を使ってたら···。」
ワタナベは首を手で切るポーズをする。
「マジ?」
「大マジ。まぁそうならない様に助けるつもりではあったけど、割とギリギリだったな! 上手くいって良かったぜ。」
と大きく頷き説明するワタナベに対して、まず思ったのは先程の発言にあった、エクストラハードモードって何? だった。
目覚めは最悪だった。
単純に振動のせいでもあるが、何より先程のイベントの影響で目を閉じると怒気まみれのゴブリンやオークの顔が浮かぶ。それらに囲まれて無傷とは言え袋叩きだったのだ。そりゃトラウマにもなる。
でも、視線の前にある青空はとても綺麗だった。なんか空が近い感じがする。元の世界でもたまに見える月のような恒星はこの世界にもあるようだ。めちゃくちゃでかい星が見える。あの見えるのはクレーターだろうか? 肉眼で見えるのは凄いなと感慨に耽る。
寝返りをうつと荷物、いや商品だろうか? 荷馬車に揺られる俺は荷物に潰されまいと上半身を起こす。
「あ、お兄さん起きたかい?」
馬を操る男が声をかけてくる。
「あー、いえ、すみません。経緯がわからないのですが、乗せていただきありが···。」
ってワタナベじゃねーか!! 言葉の途中で固まる俺を見てワタナベが悪い顔をする。
「にひひひ。よくこんな荷馬車で寝れたもんだな! まぁ寝てたってより気絶してたからしかたないが。」
ニヤニヤと笑うワタナベに俺は心底苛立つ。おまえが人の話を聞かずに異世界行きを決め、よくわからん難易度を決め、スキルを貰い、って待てよ? そういや俺は魔法と呼ばれる物を使った。いや、使えたんだな! 元の世界では経験出来ない貴重な体験だ! 少し自分の中で気持ちが脱線したが、まぁそれはそれなわけだよ。
と言いたい事が次々と出てくるが、今の心境から何が言えるかというと。
「ワタナベ! 笑い事じゃねーぞ! こんにゃろう!」
なんというか我ながら語彙力がない言葉を出すのが精一杯であった。
「うん、まぁそのなんだ。あー、そうだ。喉乾いたろ? 寝起きだし、コーヒーでも飲むか?」
気絶とは言え、外にずっといたのだ。確かに喉は乾いてる。
「ちゃんと説明しろよ! つーか、コーヒーって?」
ほいっとワタナベから手渡されるそれは某コンビニのコーヒーSサイズだった。
「おい、ワタナベ? これどこから出した? ここ本当に異世界? 単に田舎とかじゃなくて?」
と急に元の世界の物を出されたもんだから、溜まっていた疑問がベクトルを変えて次々に出てくる。
「んあ? 起きたら飲むかと思って用意した。俺のスキルの一つだ。それと元の世界ならスキルは使えない。大丈夫、ちゃんと異世界だ。おまえは立派なエアーカッターを使った!」
予め用意されたかと思うような回答がくる。俺としてはちゃんとしてなくても元の世界が良かったんだが?
「あ、砂糖とミルク使う?」
「うん。使う。」
砂糖とミルクを予備動作なく左手から出す様に気を取られ不満が息を潜める。
というか、普通は異世界行ったらその土地の食生活を楽しむとか、知識チートとかでなんかやるだろ? 普通。ハンバーグとかマヨネーズとかで脚光を浴びるだろ? 普通。
葛藤しつつも砂糖とミルクを入れ一口飲む。
「あー、うまいな。」
と普通の感想を口に出してしまうと
「だろ? ここは空気美味いからなー。っと今回はチュートリアルを無事にクリア出来ました記念な。本当はワタナベポイント百ポイント使うとこだけど奢りにしてやるよ。」
「は? ワタナベポイントってそういう使い方なの? それにチュートリアルなら安全なんじゃ?」
とほっとした為か思った事をそのまま聞いてしまう。
「そうだよ。ワタナベポイントが本当のチートかもしれないって言っただろ? それとチュートリアルと言ってもエクストラハードモードだ。最悪おまえがもう少し遅く行動してたり、標的を間違えて魔法を使ってたら···。」
ワタナベは首を手で切るポーズをする。
「マジ?」
「大マジ。まぁそうならない様に助けるつもりではあったけど、割とギリギリだったな! 上手くいって良かったぜ。」
と大きく頷き説明するワタナベに対して、まず思ったのは先程の発言にあった、エクストラハードモードって何? だった。
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