眠りの森

NaRu

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はじまり

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俺の恋人は考え事をすると完全に違う世界に飛んでしまう
だから待ち合わせ場所に到着しても彼は俺を見ないし、俺が腕を引いてどこへ連れ回そうが反応しないし、こうしてベットに押し倒して服を剥ぎ取っても気づかない。
これは今に始まったことじゃない。
でも、いつも乳首を愛撫すると目が覚めるんだ。

「おわっ!なにやってんだよっ!お前」

「あのなぁ、ここまでくるのに今日は2時間だぞ。最長記録更新。」

俺は止めない。
ジタバタして逃げようとする彼を押さえつけ、徹底的に気持ちよくしてやる。
そのうち身を委ね始める。
というか、やたら欲しがる。
究極のツンデレだ。
終わったあと

「誰が恋人だ?俺はお前と付き合ってなんかない!」

と言う。
しかし

飯でも食おう

とメールしてくるのはこいつの方だ。
自分から誘っておいて、待ち合わせ場所に行くといつも考え事をしている。

「それより腹が減った。」

「毎回言うけど、お前がぼへーっとしてるから食い損ねてるんだぞ。ほんと。」

「仕方ないだろ。一旦頭が動き出すと止まらなくなるんだから。」

「俺が止めてなかったらお前ずっとあのままだぞ。てか、俺と会わないときどーしてんだよ。」

「それが、お前と会わないときはならないんだよなー。不思議なことに。てか、ほんと腹へった。シャワー浴びてくる。」

謎な男。
こいつは五十嵐はじめ。
5年前、殺人事件の現場で俺たちは出会った。
俺が第一発見者で、はじめは刑事。
そして事件は結局未解決のまま終わった。
俺ははじめに徹底的に疑われたし、何度も尾行された。
そう、俺はあいつに全てを見られたと言っても過言じゃない。
証拠不十分、動機も見つからなかった為俺の疑いは晴れた。
ただ、俺だけはまだ自分を疑っている。
ほんとに俺は殺してないのか、、、
ほんとうは殺したんじゃないのか

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