10 / 10
10
しおりを挟む俺はいつも欲しいものを人に譲ってしまう子供やった。
好きなの取っていいよ
と言われても、いつもみんなに譲ってきた。
ほんとに欲しいものには手を伸ばせず、余り物をつかんで。
でも、颯太のことはちがった。
絶対自分のものにしたい。
そう思った。
誰にも譲りたくないって。
隣で眠る颯太の頬に触れて温度を感じると安心する。
颯太は俺のこと太陽みたいだと言うけど、颯太こそ太陽みたいや。
笑ってくれただけで俺はいつも暖かい気持ちになれる。
両親が事故で亡くなったとき、孤独にどうしようもなく押し潰されそうになったとき、颯太がいてくれてたらどれだけ心強かったやろ。
口下手な颯太のことやから、きっと
大丈夫やで
と抱き締めてくれる。
でも、それだけでええねん。
「秋?」
「おはよう。」
「おはよう。」
「体大丈夫か?」
「大丈夫やで。だって秋、めっちゃ優しかったし。」
「めっちゃ押さえてん。じゃなかったら颯太をメチャクチャにしてまいそうやったから。」
「ええのに別に。」
、、、いやいやいや。
あかんあかん。
なにその照れ顔。
「颯太、好きやで。」
俺は何度目かのキスを颯太の唇に落とした。
重なる度に好きが増えていく気がする。
今この瞬間が全部宝物になっていく。
きっとこれから先も
太陽が上り続ける限り。
君を愛してるよ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる