ヒアカムザサン

NaRu

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俺はいつも欲しいものを人に譲ってしまう子供やった。
好きなの取っていいよ
と言われても、いつもみんなに譲ってきた。
ほんとに欲しいものには手を伸ばせず、余り物をつかんで。
でも、颯太のことはちがった。
絶対自分のものにしたい。
そう思った。
誰にも譲りたくないって。
隣で眠る颯太の頬に触れて温度を感じると安心する。
颯太は俺のこと太陽みたいだと言うけど、颯太こそ太陽みたいや。
笑ってくれただけで俺はいつも暖かい気持ちになれる。
両親が事故で亡くなったとき、孤独にどうしようもなく押し潰されそうになったとき、颯太がいてくれてたらどれだけ心強かったやろ。
口下手な颯太のことやから、きっと

大丈夫やで

と抱き締めてくれる。
でも、それだけでええねん。

「秋?」

「おはよう。」

「おはよう。」

「体大丈夫か?」

「大丈夫やで。だって秋、めっちゃ優しかったし。」

「めっちゃ押さえてん。じゃなかったら颯太をメチャクチャにしてまいそうやったから。」

「ええのに別に。」

、、、いやいやいや。
あかんあかん。
なにその照れ顔。

「颯太、好きやで。」

俺は何度目かのキスを颯太の唇に落とした。
重なる度に好きが増えていく気がする。
今この瞬間が全部宝物になっていく。
きっとこれから先も
太陽が上り続ける限り。
君を愛してるよ。


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