そこは夢の詰め合わせ

らい

文字の大きさ
上 下
47 / 164
とき

46.振り向いた君

しおりを挟む
「やっほ!」

それを聞くために今日も僕は彼女の元へと足を運ぶのだろう。

ピンク色の髪が風になびいて揺れる。土手で寝ていた僕は初めてそこで彼女に会った。彼女はとても優しく、柔らかい視線でこちらを見ていた。彼女はこちらを見るとニコッと笑うとその場から立ち去ってしまった。

「おはよ!」

急に話しかけられた時はびっくりしたが、彼女はなんと近所に住んでいたようだ。挨拶を返し色々話すうちに、彼女とはすぐに仲良くなった。それから沢山のことを話した。しかし、彼女は自分の名前を教えてはくれなかった。しかしそれでも僕は良かった。その話す時間はとても楽しかったのだから。しかし、それは儚い時間であった。

「━━━━━━━━」

ある日、母親にそう告げられた。僕は彼女が遠くに言ってしまったことに絶望を感じていた。しかし母親の話には続きがあった。

「はいこれ。あなた宛に。」

そこにはこう書いてあった。

『このような形であなたの前から消えることとても辛いです。でもあなたにはこれを残すべきだと思いました。そして今なら言えます。私の名前は「霧島兎樹」って言います』

それは綺麗な字で、とても綺麗な手紙に書かれていた。それを見て空を見た時、彼女の笑った声がした気がする。
しおりを挟む

処理中です...