そこは夢の詰め合わせ

らい

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イバラ

81.美しき彼女

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「怖い」「気持ちが悪い」「来るな異形」

ドス黒い暴言がを襲う。何も彼女に落ち度はないというのに、何一つ彼女に非がある訳では無いのに。彼女はただ、ただ『蛇』であっただけなのだ。彼女は「━━━━」と呼ばれていた。

その村には言い伝えがある。もう誰も信じてない言い伝えだ。いや、その言い伝えを繋いできた一族だけはそれを信じていた。

『龍人が祖先、遠い先にて産まれるだろう。それは何人足りとも、ぞんざいに扱ってはいけない。人には抗えない力が降り注ぐ。』

たった三行、三行だ。しかし意味は分かる。それは信じる人のいない神と同じ扱いを受けているのだが、生まれてしまったのだ、『龍人の祖先』が。龍は蛇となり、蛇である彼女が産まれた。そして村の人々は彼女を人では無いと居場所を消した。言い伝えを繋いでいた一族は彼女に居場所を提供し、彼女を守った。

それは突然だった。一族の一人が村人によって亡きものとなった。彼女は怒り、狂った。
その一族以外の村人は一人、また一人と狂ったように死んだ。一族は恐怖した。言い伝えは本当だったと、彼女は龍人であるということを。

彼女は程なくしてその村から消えた。
成長した彼女は人の二倍程度の身体を持つ。
彼女は村人を愛したかった。村人から愛されたかった。しかしそれは叶わなかった。愛していた家族を一人失った。自分のせいで、自分が産まれてしまったから。しかし産まれてしまったあとではどうにもならない。だから彼女は村を出て居場所を探した。

「━━━」という名前を捨てて、彼女は
「蛇穴イバラ」と名乗り、自分を愛してくれる、自分を必要としてくれる人を探し続ける

鱗のある肌に、左右で色が違う目、目立つ白髪。あぁ、なぜ彼女は・・・・
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