そこは夢の詰め合わせ

らい

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咲楽

126.声の音楽

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海の見える灯台の上。
周りは綺麗な桜が咲いている。
美しい桜の花びらの中、歌が聞こえる。

「Ra――la――」

誰にも聞かれないようにこの場所で。
一人、練習している姿を見た。
紫色の髪が潮風に揺れる。

こちらに気づいた彼女がこちらに向かってくる。僕ははぁっとため息と共に近づく。

「なーんでここだと分かったの?」

「そりゃあここしかないじゃん」

灯台の中に潮風が入る。
風の音が響き、心地よい潮の匂いがする。

「はぁーそりゃあそっかぁ・・・」

「海に聞かせるより僕に聞かせてよ」

「特別だよ!しっかり聴いててね!」

紫の髪が潮風に揺れ、声が風に乗る。
美しい声は空に凪ぐ。その声を聞いていれるのは僕だけなのだ。

「どうだった?」

「やっぱり歌上手いよなぁ」

「僕だからね!当たり前よ!」

でも僕は知っている。ずっと聞かせるために練習し、しっかり準備をした上で聞かせているということを。だからこそ、彼女の努力を知らないフリをする。

「お前は凄いよ」

「当たり前じゃん」

「これだからお前可愛くねぇ」

「なんてぇ~?」

「さぁな~」

二人で桜を見ながら帰る。
花びらと歌が風に乗っていた。
その声は桜の花びらと共に空に消えた。
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