ある家族の日常

らい

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引っ越し

作業開始

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「「ただいま~」」

「おーおかえり~」

外のテラスで紫蘭が煙草を吸っている。
そのテラスの下で冷音が畑作業をしていた。

「庭ほぼ使うけどいいん?」

「ええよ~私は。冷音ー!五月蝿そうだけど大丈夫~?」

「大丈夫~!」

「了解!しーくん手伝ってや!」

「うぃー」

「じゃ私はリビングでまこちとそぼろと一緒に荷解きするわ」

それぞれがそれぞれの場所で仕事をする。
ちなみにこの中で一人だけこっそり図書館で本を読んでる人もいるがそれは言わないお約束。

「よし、じゃあ切るとこに線引いてくからノコギリで切って~」

「おけ!少しよろけても可?」

「許可する!」

らいが真っ直ぐに線を引き、それを識紅がノコギリで切っていく。少し長めの木材と、短い木材が数枚切り出されて行く。

「よし!形作っていくよ!」

「これ木工用ボンドとかほんとに要るの?」

「ネジだけじゃ弱いからね!要るよ!」

「なるほどなぁ・・・?」

ネジを入れる前に木工用ボンドで木材と木材をくっ付けてからネジを入れる。
小分けにされた棚をくっ付けて大きくしていく。戸棚を増やし、無駄に扉を付けたり、引き出し付けたりして完成した。

「よし!できたできた!あとは持ってくだけ!」

「え、これ入る?」

「測ったところギリ~!」

「やるかぁ!」

識紅とらいが棚の端を持ち、玄関へ運ぶ。
そっと、ギリギリを通していく。

「これギリギリ過ぎるやろ」

「いけるいける」

「何が????」

軽口叩きながらそっと玄関のところに作った棚を置く。あまり高くないので棚の上に置くこともできるような形になっている。

「これ完璧じゃね?」

「完璧よこれは」

「ママ~!冷音姉~!これでいい~?」

家の中に響く声でらいが呼ぶ。
それで現れた人はなんと玄関からだった。

「あ、冷音姉外にいたんだったね。ごめんごめん」

「聞こえたから大丈夫だよ~!これが棚?いいじゃん!引き戸とかあるの助かる~」

「声でけぇんだってらいはよ。作り終わった?あ、これね?いいじゃん?石鹸とかじゃなくてゴミ袋とか、色々入れれそうやね」

「俺らを褒めたたえよ」

「そうだそうだー(緑)」

「はいはいお疲れお疲れ。リビングに冷えたお茶出してあるから飲みな」

「「やったー」」

二人が作業を終わらせ、家に入っていく中、図書館ではずっと電灯が付いていた。

「パッパ~まだ本読んでるのー?」

「いいでしょ俺が何してたってー」

「お菓子焼けたよ~」

「いきまーす」

makoが巧妙な手(餌付け)により図書館から本好を引きずり出す。

「らいくんもしーくんもどう?」

「「もらいまーす!」」

今日もこの家はどこかで誰かが笑っている。
どこかで誰かが趣味に没頭している。
誰かが作業に集中している。
それがこの家族なのである。

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