猫狐図書館

らい

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ループ

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いつものように朝起きて。
いつものように学校へ行く。
友達と何気ない会話をして、授業を聞いて帰る。
なんて普通の生活でしょうか。

「ん~今日も楽しかった」

男は友達と話すのが好きだ。
友達と遊ぶのが好きだ。
だが、その生活は毎日同じような生活だった。
それに違和感を覚えたのは数日前、なにかおかしいと思ってしまった事があった。

「ここ・・・通った事ある気がする・・・」

暗い路地。普通なら通らないその小さな路地を見上げるように歩いた記憶がある。それから色んな所で知っていると思った場所に行く機会が増えた。

「なんでなんだろう・・・」

いわゆる前世の記憶というものなのかは分からないが、つまりはそういう事なのではないかと考えていた。

ある日男は突然、なんの前触れもなくこの世から去った。忽然と世界から消えたのだ。見たものは居ない。誰もそれを知らない。

だってこの世界には男の友達なんて、家族なんて、先生なんて、親戚なんて居ないのだから。また世界が消えて、一つの世界が出来た。

新しく世界を作り始めたのは、画面の向こう側にいる男だった。それを消えた男は知る由もなく、また新しい人生を作られる。

気がついた時には青年の姿で、幼い頃の記憶まで全てあるけれど、何故か外に出る場所は知らない世界のようで。でもどこか懐かしい世界。

GAME STARTゲームが始まりました

そうどこかで機械音と共に聞こえた気がした。
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