6 / 25
6緊急対応
しおりを挟む
だが、考えてもいないことが起きた。
リチャード王子とマーガレットが結婚式に参加できなかったユリアを見舞いにいきたいと言い出したのだ。
そのことを手紙でマーガレットから知らされたユリアは顔を強張らせ青ざめていた。それはリチャード王子がマーガレットと一緒にトマド領にやってくるということだったからだ。それに手紙には父母も同行してくると書かれていた。このままでは、間違いなく二人のリチャードは顔を会わせてしまい、ユリアを愛してくれているリチャードはリチャード王子に吸収されてしまうに違いなかった。
悪意のない行為をする人たちにユリアは怒ることもできない。考えても何も思いつかないユリアは、再び魔法相談屋のサマンサを訪ねた。
「なんと、困ったことじゃな。それは」
「そうなんです。リチャード王子を私のリチャードさまと会わせないでいるだけではすまないわ。いてはおかしい場所に私を愛してくれるリチャードさまを家族がみつけたり、そこで話しかけたりしたら、リチャードさまが二人いることがばれてしまいます」
「それならば、異空間に存在する屋敷を作るしかない」
「異空間? なんですか、それは。同じ建物を作れば、外から見たら、建物が二つ立っているのが分かってしまいますよ」
「だから異空間に建てるのです。そうすれば、建物が二つあるようには見えない」
「でも建物の中をリチャード王子や私の家族が行き来できては、同じことになってしまうじゃないですか」
「だから、その異空間に出入りできるのは、ユリアとユリアが愛したリチャードさまだけにするのですよ。そこにリチャードさまをおけば、他の誰とも会うことはない。もちろん、ユリア、あなたは別ですよ。あなたはどちらの屋敷にも出入りできる」
「わかりました。すぐにやってください」
ユリアは、前と同じように持ってきた鹿皮の袋から宝石を出そうとした。
「いやいや、前にも言っただろう。もう十分にもらっているからね。支払いは考えなくていい」
「そうですか。ありがとうございます」
思わずユリアはお礼を言っていた。
「さて、まずブライアン家の屋敷にいって準備をしないとならないね」
二十分後、サマンサとユリアはブライアン家の屋敷に来ていた。
ユリアは屋敷の中に入るとサマンサを案内して歩き出した。まず玄関からロビーとなっている部屋に入るとサマンサは手に持ってきた杖をふった。すると部屋に透明な皮ができたようにはがれ出したのだ。皮は天井まで浮きあがり、部屋の仕切りにある細い隙間に吸い込まれていったのだった。
「どの部屋も同じに写しを作っておかないと異空間に屋敷を作ることができない」
そう言われたユリアは次に食事室にサマンサを連れていった。すぐにサマンサは杖をふって写しを作り、それを部屋の隙から異空間に送り出していた。その後、調理場、食材置き場にもユリアはサマンサを連れていった。サマンサは杖をふって、それぞれの部屋の写しを作り続け、それらを異空間に送り込んでいった。一階の部屋すべてを移し終わると、階段をあがって二階にいった。そこにあるユリアの部屋、そして今は使っていない父母とマーガレットの部屋にもサマンサは入って杖をふっていた。さらに階段をあがって三階にいった。そこにあるリチャードの部屋に行く前に、先に四階にある屋根裏の方を写すことにしたのだ。そのために通路の天井に貼りついている隠し階段をひきおろし、そこを歩いて四階にあがった。そこは屋根裏なのだが、普通の部屋とまるで変わらない大きさだった。その部屋も写し終わると、階段をおりて、三階にあるリチャードの部屋にいった。リチャードは背もたれのある椅子に腰をおろして、静かに本を読んでいた。
サマンサはリチャードに気づかれないように、その部屋の写しを作り、天井のすみから写しを異空間に送り込んでいった。その後、二人はリチャードに気づかれないように部屋から通路にでた。
「これで、屋敷を写すことができたようだね」
「サマンサさま、有難うございます。これで、私のリチャードさまを守ることができそうです」
「あんたは具合が悪いので、結婚式にもでられないことにしていたのだろう?」
「ええ、そうでした」
「今のあんたは、顔色がよすぎるよ。少し熱を出しておいた方がいいね」
サマンサはユリアに錠剤を二錠手渡し「リチャード王子がここに来る日の前日、寝る前に一錠飲んでおき、朝起きたら、残りの一錠をも飲んでおくんだね」と言って、帰っていった。
ついにリチャード王子たちが、屋敷にやってくる日がきた。
ユリアは自分の部屋の窓から遠くを見ていると四頭だての馬車が近づいて来るのが見えた。大型の馬車は御者のほかに馬車の後ろに従者たち二人をのせていた。
サマンサがくれた薬を飲んだおかげで、ユリアは赤い顔をした病人らしくなっていた。誰が見ても、具合が悪そうに見える。だからこそ、ユリアは玄関口まで出ていって、エルザやトム夫妻と並んで、リチャード王子たちを待っていたのだ。
馬車が屋敷の玄関口につくと、すぐにリチャード王子が先に馬車からおりてきてユリアの前に立ち、優しい言葉をかけてくれた。続いて馬車からおりたマーガレットはユリアの肩を抱いていた。その後、父母もユリアに近づきユリアを抱きしめてくれた。
リチャード王子たちが屋敷の中に入ると同時にユリアを愛してくれるリチャードは異空間の屋敷にサマンサのかけた魔法の力で移動していたのだ。これで、家族やリチャード王子がユリアを愛してくれるリチャードと顔を会わせることは無い。
ユリアの具合がよくないと思っているマーガレットは、赤い顔をし続けているユリアに付き添って、ユリアをユリアの部屋に連れて行きベッドに寝かせつけてくれた。もちろん、その気使いを拒むことはできない。事態を熟知しているエルザはリチャードがいなくなり空になった部屋にリチャード王子を連れていった。そこはもともと客室だったので、ユリアの家族はリチャード王子をそこに連れていっても当然だと思える場所だったからだ。
ユリアの父母は、前に使っていた部屋にトムの妻が案内をして連れていった。マーガレットは子供の頃に使っていた懐かしい部屋に自分から入っていた。トムは、馬車を屋敷そばの空き地におかせると、馬車からはずした馬を庭の木のそばにつなぎ、桶で餌や水を与えていた。それに御者と従者たちは、トム夫婦の部屋隣にある客間と用務員控室に泊まってもらうことにしたのだった。
食事は、屋敷の食事室に全員が集まり、エルザが作った美味しい料理を食べてもらった。だが、この食事にユリアを愛してくれるリチャードを参加させるわけにはいかない。だから夕食と次の日の朝食は、ユリアの愛しているリチャードの分をエルザに作ってもらい、それを異空間の食事室にユリアが運び、そこでリチャードと一緒に食事をとったのだった。そのおかげで、ユリアは夕食と次の日の朝食を二回食べなければならなかった。
リチャード王子やユリアの家族は、ユリアの具合は悪そうに見えるのだが、しっかりとした暮しをしているのを知って、安堵を覚えていた。
次の日、なごりおしそうにしながらも、ユリアの家族とリチャード王子は首都カマルに帰っていった。馬車にのったリチャード王子たちがユリアから完全に見えなくなると、すぐにユリアを愛しているリチャードは異空間から自分の部屋に戻っていたのだった。
リチャード王子とマーガレットが結婚式に参加できなかったユリアを見舞いにいきたいと言い出したのだ。
そのことを手紙でマーガレットから知らされたユリアは顔を強張らせ青ざめていた。それはリチャード王子がマーガレットと一緒にトマド領にやってくるということだったからだ。それに手紙には父母も同行してくると書かれていた。このままでは、間違いなく二人のリチャードは顔を会わせてしまい、ユリアを愛してくれているリチャードはリチャード王子に吸収されてしまうに違いなかった。
悪意のない行為をする人たちにユリアは怒ることもできない。考えても何も思いつかないユリアは、再び魔法相談屋のサマンサを訪ねた。
「なんと、困ったことじゃな。それは」
「そうなんです。リチャード王子を私のリチャードさまと会わせないでいるだけではすまないわ。いてはおかしい場所に私を愛してくれるリチャードさまを家族がみつけたり、そこで話しかけたりしたら、リチャードさまが二人いることがばれてしまいます」
「それならば、異空間に存在する屋敷を作るしかない」
「異空間? なんですか、それは。同じ建物を作れば、外から見たら、建物が二つ立っているのが分かってしまいますよ」
「だから異空間に建てるのです。そうすれば、建物が二つあるようには見えない」
「でも建物の中をリチャード王子や私の家族が行き来できては、同じことになってしまうじゃないですか」
「だから、その異空間に出入りできるのは、ユリアとユリアが愛したリチャードさまだけにするのですよ。そこにリチャードさまをおけば、他の誰とも会うことはない。もちろん、ユリア、あなたは別ですよ。あなたはどちらの屋敷にも出入りできる」
「わかりました。すぐにやってください」
ユリアは、前と同じように持ってきた鹿皮の袋から宝石を出そうとした。
「いやいや、前にも言っただろう。もう十分にもらっているからね。支払いは考えなくていい」
「そうですか。ありがとうございます」
思わずユリアはお礼を言っていた。
「さて、まずブライアン家の屋敷にいって準備をしないとならないね」
二十分後、サマンサとユリアはブライアン家の屋敷に来ていた。
ユリアは屋敷の中に入るとサマンサを案内して歩き出した。まず玄関からロビーとなっている部屋に入るとサマンサは手に持ってきた杖をふった。すると部屋に透明な皮ができたようにはがれ出したのだ。皮は天井まで浮きあがり、部屋の仕切りにある細い隙間に吸い込まれていったのだった。
「どの部屋も同じに写しを作っておかないと異空間に屋敷を作ることができない」
そう言われたユリアは次に食事室にサマンサを連れていった。すぐにサマンサは杖をふって写しを作り、それを部屋の隙から異空間に送り出していた。その後、調理場、食材置き場にもユリアはサマンサを連れていった。サマンサは杖をふって、それぞれの部屋の写しを作り続け、それらを異空間に送り込んでいった。一階の部屋すべてを移し終わると、階段をあがって二階にいった。そこにあるユリアの部屋、そして今は使っていない父母とマーガレットの部屋にもサマンサは入って杖をふっていた。さらに階段をあがって三階にいった。そこにあるリチャードの部屋に行く前に、先に四階にある屋根裏の方を写すことにしたのだ。そのために通路の天井に貼りついている隠し階段をひきおろし、そこを歩いて四階にあがった。そこは屋根裏なのだが、普通の部屋とまるで変わらない大きさだった。その部屋も写し終わると、階段をおりて、三階にあるリチャードの部屋にいった。リチャードは背もたれのある椅子に腰をおろして、静かに本を読んでいた。
サマンサはリチャードに気づかれないように、その部屋の写しを作り、天井のすみから写しを異空間に送り込んでいった。その後、二人はリチャードに気づかれないように部屋から通路にでた。
「これで、屋敷を写すことができたようだね」
「サマンサさま、有難うございます。これで、私のリチャードさまを守ることができそうです」
「あんたは具合が悪いので、結婚式にもでられないことにしていたのだろう?」
「ええ、そうでした」
「今のあんたは、顔色がよすぎるよ。少し熱を出しておいた方がいいね」
サマンサはユリアに錠剤を二錠手渡し「リチャード王子がここに来る日の前日、寝る前に一錠飲んでおき、朝起きたら、残りの一錠をも飲んでおくんだね」と言って、帰っていった。
ついにリチャード王子たちが、屋敷にやってくる日がきた。
ユリアは自分の部屋の窓から遠くを見ていると四頭だての馬車が近づいて来るのが見えた。大型の馬車は御者のほかに馬車の後ろに従者たち二人をのせていた。
サマンサがくれた薬を飲んだおかげで、ユリアは赤い顔をした病人らしくなっていた。誰が見ても、具合が悪そうに見える。だからこそ、ユリアは玄関口まで出ていって、エルザやトム夫妻と並んで、リチャード王子たちを待っていたのだ。
馬車が屋敷の玄関口につくと、すぐにリチャード王子が先に馬車からおりてきてユリアの前に立ち、優しい言葉をかけてくれた。続いて馬車からおりたマーガレットはユリアの肩を抱いていた。その後、父母もユリアに近づきユリアを抱きしめてくれた。
リチャード王子たちが屋敷の中に入ると同時にユリアを愛してくれるリチャードは異空間の屋敷にサマンサのかけた魔法の力で移動していたのだ。これで、家族やリチャード王子がユリアを愛してくれるリチャードと顔を会わせることは無い。
ユリアの具合がよくないと思っているマーガレットは、赤い顔をし続けているユリアに付き添って、ユリアをユリアの部屋に連れて行きベッドに寝かせつけてくれた。もちろん、その気使いを拒むことはできない。事態を熟知しているエルザはリチャードがいなくなり空になった部屋にリチャード王子を連れていった。そこはもともと客室だったので、ユリアの家族はリチャード王子をそこに連れていっても当然だと思える場所だったからだ。
ユリアの父母は、前に使っていた部屋にトムの妻が案内をして連れていった。マーガレットは子供の頃に使っていた懐かしい部屋に自分から入っていた。トムは、馬車を屋敷そばの空き地におかせると、馬車からはずした馬を庭の木のそばにつなぎ、桶で餌や水を与えていた。それに御者と従者たちは、トム夫婦の部屋隣にある客間と用務員控室に泊まってもらうことにしたのだった。
食事は、屋敷の食事室に全員が集まり、エルザが作った美味しい料理を食べてもらった。だが、この食事にユリアを愛してくれるリチャードを参加させるわけにはいかない。だから夕食と次の日の朝食は、ユリアの愛しているリチャードの分をエルザに作ってもらい、それを異空間の食事室にユリアが運び、そこでリチャードと一緒に食事をとったのだった。そのおかげで、ユリアは夕食と次の日の朝食を二回食べなければならなかった。
リチャード王子やユリアの家族は、ユリアの具合は悪そうに見えるのだが、しっかりとした暮しをしているのを知って、安堵を覚えていた。
次の日、なごりおしそうにしながらも、ユリアの家族とリチャード王子は首都カマルに帰っていった。馬車にのったリチャード王子たちがユリアから完全に見えなくなると、すぐにユリアを愛しているリチャードは異空間から自分の部屋に戻っていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
【完結】王宮内は安定したらしいので、第二王子と国内の視察に行ってきます!(呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。の続編です)
まりぃべる
恋愛
異世界に呼ばれた佐川マリア。マリア・サガワとしてこの世界で生きて行く事に決め、第二王子殿下のルークウェスト=ヴァン=ケルンベルトと一緒に、この国をより良くしていきます!って、実際は2人で旅行がしたかっただけ?
呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。の続編です。
長くなりましたので、前作の続きでは無く新しくしました。前作でしおりを挟んでくれた方ありがとうございました。
読んでなくても分かるようにしております。けれど、分かりにくかったらすみません。
前作も読んで下さると嬉しいです。
まだまだ未熟なので、稚拙ではありますが、読んでいただけると嬉しいです。
☆前作で読者様よりご指摘が有りましたのでこちらにも記載しておきます。
主人公の年齢は設定としてありますが、読者様が主人公になれたらな(もしくは好きな年齢に当てはめて読めたら)という思いを込めて敢えて年齢を記載していません。
あなたの側にいられたら、それだけで
椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。
私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。
傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。
彼は一体誰?
そして私は……?
アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。
_____________________________
私らしい作品になっているかと思います。
ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。
※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります
※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる