ご一緒に お茶でも

矢野 零時

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3強盗団(3)

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 西の空に夕焼けが見えだした頃でした。
 組合長が言っていた強盗団がポポロ商店街にやってきたのです。
「強盗だ、強盗だ」と叫びながら、果物屋の店主がポポロ商店街を走り抜けていきます。ジョージはカンナさんたちと一緒に店をしめ、二階にあがり、カンナさんたちには、そこにいてもらうことにしました。
 ジョージは、さらに二階の窓から出て屋根の上にあがりました。
 アーサーは腰に剣を提げると店の前に立ちました。
 体に筋肉のついた男たちがやってくるのが見えました。二十五人はいます。
 手に剣や槍を持っている男たちです。
 槍を持っている男たちは、ポポロ商店街の人たちを見ると、女性でも子供でもかまわずに突きさそうとしました。剣を持った男たちは店の柱をも切り付け、まるで店を壊しにきたかのようでした。
 武器を持たない男は、お店に入りこむと店の売上金をつかみ、胸の前にさげた袋の中に入れています。また、別の男は抱えてきた大きな袋に手当たり次第に店に並んでいる品物を入れると、それを背負っていました。
 
 アーサーが王さまだったころ、武術の達人から剣の修行もさせられていました。武術の達人は日本の剣法も熟知していた人でしたので、居合切りもアーサーは教えてもらっていたのです。
 男たちは剣をぬかずに待ち構えているアーサーに近づいていきました。剣を抜かずにいたので、半分は馬鹿にしていたのでしょう。でも、男たちが剣を振りおろす前に、アーサーは素早く剣を抜いて相手を切り倒していました。
 強盗団の数が多いものですから、アーサーが切っても切っても男たちは次から次へとやってきて、アーサーに襲い掛かっていきます。背中にすきができ、アーサーも危なくなる場面もありました。
 でも、その時には、ジョージが弓で矢をはなって、アーサーを助けてくれました。矢がなくなると、前もって、屋根の上に運んでおいた石を、ジョージは強盗団の男たちに投げつけていました。

 強盗団の男たちは、このまま戦っても二人に勝てないと思ったのでしょう。
 やがて、男たちは逃げ出していきました。
 アーサーに切られた者たちやジョージの矢で撃たれて動けなくなった者たちが、地べたにゴロゴロ転がっています。
 すると、組合長が縄を手にやってきて、ポポロ商店街の人たちに手伝わせて、傷ついた強盗団の男たちをしばりあげていました。そして、ポポロ商店街の人たちと一緒に捕まえた強盗団の男たちを、城まで組合長は連れて行ったのです。
 すぐに、組合長は、城づとめの役人から褒められ、デル国王から表彰をうけ、賞金も貰っていました。
 でも、剣や弓を買うために使ったお金をジョージとアーサーはまだ返して貰ってはいません。





















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