2 / 33
2覚醒(かくせい)
しおりを挟む
果歩は、朝の明るい光に目を覚ました。天幕のついた大きなベッドに寝ていたのだ。着ている服も刺繍のついたネグリジェ。いつも着ていた縦縞のパジャマではなかった。上体を起こして、自分の手をみつめた。白い。透き通るように白かった。
「シルビアさま、お早うございます。お目覚めになられましたか」
声がした方を見ると、そこにはメイド服を着た侍女が顔をのぞかせていた。彼女の顔は東洋系ではない。明らかに鼻筋がとおっていて、目も青い。
「シルビア?」
果歩は、呼ばれた名前を口に出してみた。この名前が私の新しい名前らしいのだ?
すると、侍女の隣に、二人の者が現れた。一人はサンタクロースのような髭を生やした老人、その隣に中学生のように見える男の子。だが、大人の年齢のようにも見える不思議な顔をしていた。本当はまったく若くないのかもしれない。
「ダランガ国王女、シルビアさま、これが必要なのではありませんかな」と言って老人が果歩に手鏡を差し出した。受け取った鏡に自分の顔をうつして見た。
果歩は、いやシルビアは微笑んでいた。自分でも驚くほど美しい顔に変わっていたからだ。髪は金髪で顔立ちは王女らしくどこか気品もあり、笑顔がよくにあう顔だった。
「私はロダン。こちらにいるのがトム。魔神ゾロさまの要請により、おそばにつかせていただくことになりました。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしく」
思わず、シルビアは頭をさげていた。見た目は王女らしくなったのだが、頭の中にある記憶はまだ会社勤めをしていた果歩のままだ。
二人はシルビアに挨拶をした後、寝室からでて、出入口そばに立っていた。その間に、侍女たちがやってきて、シルビアの着替えを行いドレス姿にしていた。それが終ると、食事室にシルビアを案内してくれた。
そこには、シルビアがのぞんでいるような豪華な食事がすでに用意されていたのだ。シルビアが食事をしている間、下僕の二人はいつの間にかやってきて食事室の片隅に立っていた。食事はおいしすぎて、思わずパンを追加してしまった。いつもこんなに食べたら、すぐに太ってしまうと思っていた。
ナフキンで口を吹いたあと、シルビアは食卓テーブルの前から立ちあがり、ロダンたちの方に顔を向けた。
「まずは、お城の中を知らないといけないでしょう。まるで分っていないわ」
「たしかに、その通り。それでは、ご案内をいたします」
ロダンはトムとともにシルビアを先導して歩き出した。しばらくの間、通路を右に左に曲がって歩いた。突然、歩みを止めると、ロダンはシルビアの方に顔をむけた。
「まずは、この部屋を最初にお連れしないといけないと思っております」
二本の大理石の柱に挟まれるように作られた出入口が見えてきた。
「ここは何の部屋かしら?」
「王女さま専用の魔法用具室でございます」
シルビアが部屋の中に入っていくと、そこにはシルビアが思ってもいなかった物で満ち溢れていた。たくさんの剣がつりさげられ、槍がたてられていた。さらに盾もあり、弓や矢も並んでいた。まるで武器庫のようだった。
「ここが魔法用具室なの?」
「さようでございます。棚の方には、腕輪や指輪も並んでおります。さらにホウキや杖も置かれておりますぞ。これらは、シルビアさまでなければ取り出すことができないようになっております」
「えっ、ほんとう?」
「違いが分かるように私が剣をとってみます」
そう言ったトムが剣の一つに近づき、それをとろうとすると、彼の体は電流が走ったように震え出し、床に倒れてしまった。
「いてて」
トムは腰をさすりながら、立ちあがった。
「これじゃ、私だってとれないわ」
「そんなことはございません。手にとってみてくだされ」
ロダンに言われるままに、シルビアは恐る恐るさがっている剣の一つに手をのばし触ってみた。トムと違って、シルビアには電流みたいな物が流れはしなかった。シルビアは剣を手にとってみる。その剣の柄には火の玉の絵がかかれていて、シルビアが思っていたよりは剣は重たかった。
「へえ、これが剣ですか。兵士のみなさんは、これをふって戦うのね。でも、この剣のどこが魔法とかかわっているのかしら?」
「それぞれの武具にのせることが出来る魔法が決まっております。その剣は念をこめれば、剣の先から火を飛ばすことができる剣ですぞ」
「念を込めるですって?」
魔法使いに成りたいと思ってきたけれど、いままで魔法を使ったことはない。子供の頃、魔法使いの真似をして、木の枝をふったことはある。そう思うだけで、なにも起きたことはなかった。
「念とは、そうなって欲しいと心に描くことでございますよ」
ロダンにそう言われたので、シルビアは剣を水平に構えて、念を入れてみた。やはり何も起こらない。
「続けてくだされ」
繰り返し思い続けると剣の先に線香花火のような小さな火球ができ、すぐに下に落ちていった。
「できたみたい」
シルビアは満足げに言ったのだが、ロダンたちは驚いた顔をしていた。
「こんなはずではない」と、トムが呟く。
「ロダン、もしかしたら、シルビアさまの魔法エネルギーが足りないのでは」
「そうかもしれませんな」
ロダンはサイドテーブルの上に置かれていた透明のカードを手に取ってくると、シルビアの前にかざして見せた。
そのカードは魔法力表示カード。魔法力を示すことができる装置だった。シルビアの前にかざしたので、シルビアの魔法力がカードに表示されていた。
生命力 600ポイント
魔法エネルギー 193ポイント
使える魔法 攻撃魔法
火力 レベル1
水力 レベル1
風力 レベル1
雷力 レベル1
防御魔法
遮断 レベル100
「やはり魔法エネルギーポイントが低すぎますな。魔法をかける時に1ポイントを消費することになります。ですから、持っているエネルギーが少ないと、なるべく魔法を使わせないようにする節約機能が働いているかもしれませんぞ」
「でも、魔法は使えたわ。私は満足よ。他のも試してみるわね」
柄に水玉模様のついた槍を手にすると、天井にむかってシルビアは水を頭に浮かべながら突きあげてみた。すると槍の先から、糸のような水が噴き出たのだ。どうやら水力を使うことができたようだ。だがすぐに槍の先から水がでなくなっていた。次に渦巻の絵がかかれた杖をもち、風力を念じた。すると、笛のような音をたてて、杖の先から空気が飛びでていた。
「いろいろな魔法を使えるようになったわ」
「シルビアさま、これでは魔法王女という名声のレベルには届いておりませんぞ」
「ともかく私は王女にもなれたし、魔法も使えるようになった。思ったとおりじゃないかしら」
シルビアは思わず微笑んでいた。
そんな時に、侍女たちがやってきた。
「午前のお茶の用意ができましたので、お呼びにまいりました」
侍女は、杖を持っているシルビアを見ると「王女さま、秋月祭の準備でございますね」と言って、微笑んでくれたのだ。
侍女の後について王女の部屋に戻りながら、シルビアはロダンに聞いた。
「秋月祭は、どんなお祭りなの?」
「毎年九月二十九日、夜の星々に向かって、秋の収穫を喜び来年の穀物の豊作を願うお祭りでございますよ。それは国民みんなで祝うことになる。その時に王女さまが大きな火薬玉を風の力で空に飛ばし、それに魔法の火力で点火して空に花火をあげることになっております」
「えっ、そんなこと私はできるのかしら。できないと思うわ」
「でも、これを毎年王女さまが行ってきておりますので、やってもらわないとなりません。これができないと王女は偽物だと言い出す者がでてくるかもしれませんぞ」
「それは困ったわ」
前の王女には、そんなことは容易なことだったのだろう。だが果歩がその王女と同じ立場になりたがったので、魔神ゾロは、それができる王女を別の世界に送り込み、果歩をその後にはめ込んだのに違いなかった。ともかく普通の人間でしかなかった果歩は王女と同等の力を持ってはいない。つまり新しく王女になった果歩にとって困難な問題があることがわかったのだ。おかげで、お茶と一緒にアップルパイを食べてもあまり甘くは感じられなかった。
その後、ロダンに連れられて、シルビアにとって母である女王ジョセフインに会うことになった。
「これから、ご一緒に暮らしていかれるのですから、お顔を覚えていただかなければなりませんぞ」
「最初には、父である王さまに会わなければならないと思うけど?」
すると、ロダンは笑った。
「王さまは、三年前の戦で負った怪我が悪化して、すでにお亡くなりになっております。王さまの死んだことが、女王さまの心をむしばませて、いつも床にふせっている状況なのです」
ロダンはシルビアを母であるジョセフインの寝室に連れていったのだ。ロダンの言ったとおり女王は心労のためか、青い顔をしていた。だが、シルビアを見ると微笑んでくれた。
「よく来てくれましたね。できることなら、私の方から、あなたの部屋に訪ねていきたいのですが、思うように体を動かせない」
ジョセフインの顔を見ていると果歩の記憶が、シルビアの幼かった頃の記憶に変わり出していくのを覚えた。母であるジョセフインはやさしくシルビアを育ててくれ、シルビアは、弱り出した母を思い、この国を背負っていかなければならないと決意をしていたのだ。
だが、それは同時に果歩だった時に、自分の両親から仕送りをして欲しいと言われたことや、結婚しないでいることを馬鹿にされたことを思い出させていた。そんな両親との面倒は嫌だと魔神ゾロに願ったので、ゾロはそれを受けてシルビアが愛したくなる王家の女王を母に選んでくれていたのだった。
「シルビアさま、お早うございます。お目覚めになられましたか」
声がした方を見ると、そこにはメイド服を着た侍女が顔をのぞかせていた。彼女の顔は東洋系ではない。明らかに鼻筋がとおっていて、目も青い。
「シルビア?」
果歩は、呼ばれた名前を口に出してみた。この名前が私の新しい名前らしいのだ?
すると、侍女の隣に、二人の者が現れた。一人はサンタクロースのような髭を生やした老人、その隣に中学生のように見える男の子。だが、大人の年齢のようにも見える不思議な顔をしていた。本当はまったく若くないのかもしれない。
「ダランガ国王女、シルビアさま、これが必要なのではありませんかな」と言って老人が果歩に手鏡を差し出した。受け取った鏡に自分の顔をうつして見た。
果歩は、いやシルビアは微笑んでいた。自分でも驚くほど美しい顔に変わっていたからだ。髪は金髪で顔立ちは王女らしくどこか気品もあり、笑顔がよくにあう顔だった。
「私はロダン。こちらにいるのがトム。魔神ゾロさまの要請により、おそばにつかせていただくことになりました。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしく」
思わず、シルビアは頭をさげていた。見た目は王女らしくなったのだが、頭の中にある記憶はまだ会社勤めをしていた果歩のままだ。
二人はシルビアに挨拶をした後、寝室からでて、出入口そばに立っていた。その間に、侍女たちがやってきて、シルビアの着替えを行いドレス姿にしていた。それが終ると、食事室にシルビアを案内してくれた。
そこには、シルビアがのぞんでいるような豪華な食事がすでに用意されていたのだ。シルビアが食事をしている間、下僕の二人はいつの間にかやってきて食事室の片隅に立っていた。食事はおいしすぎて、思わずパンを追加してしまった。いつもこんなに食べたら、すぐに太ってしまうと思っていた。
ナフキンで口を吹いたあと、シルビアは食卓テーブルの前から立ちあがり、ロダンたちの方に顔を向けた。
「まずは、お城の中を知らないといけないでしょう。まるで分っていないわ」
「たしかに、その通り。それでは、ご案内をいたします」
ロダンはトムとともにシルビアを先導して歩き出した。しばらくの間、通路を右に左に曲がって歩いた。突然、歩みを止めると、ロダンはシルビアの方に顔をむけた。
「まずは、この部屋を最初にお連れしないといけないと思っております」
二本の大理石の柱に挟まれるように作られた出入口が見えてきた。
「ここは何の部屋かしら?」
「王女さま専用の魔法用具室でございます」
シルビアが部屋の中に入っていくと、そこにはシルビアが思ってもいなかった物で満ち溢れていた。たくさんの剣がつりさげられ、槍がたてられていた。さらに盾もあり、弓や矢も並んでいた。まるで武器庫のようだった。
「ここが魔法用具室なの?」
「さようでございます。棚の方には、腕輪や指輪も並んでおります。さらにホウキや杖も置かれておりますぞ。これらは、シルビアさまでなければ取り出すことができないようになっております」
「えっ、ほんとう?」
「違いが分かるように私が剣をとってみます」
そう言ったトムが剣の一つに近づき、それをとろうとすると、彼の体は電流が走ったように震え出し、床に倒れてしまった。
「いてて」
トムは腰をさすりながら、立ちあがった。
「これじゃ、私だってとれないわ」
「そんなことはございません。手にとってみてくだされ」
ロダンに言われるままに、シルビアは恐る恐るさがっている剣の一つに手をのばし触ってみた。トムと違って、シルビアには電流みたいな物が流れはしなかった。シルビアは剣を手にとってみる。その剣の柄には火の玉の絵がかかれていて、シルビアが思っていたよりは剣は重たかった。
「へえ、これが剣ですか。兵士のみなさんは、これをふって戦うのね。でも、この剣のどこが魔法とかかわっているのかしら?」
「それぞれの武具にのせることが出来る魔法が決まっております。その剣は念をこめれば、剣の先から火を飛ばすことができる剣ですぞ」
「念を込めるですって?」
魔法使いに成りたいと思ってきたけれど、いままで魔法を使ったことはない。子供の頃、魔法使いの真似をして、木の枝をふったことはある。そう思うだけで、なにも起きたことはなかった。
「念とは、そうなって欲しいと心に描くことでございますよ」
ロダンにそう言われたので、シルビアは剣を水平に構えて、念を入れてみた。やはり何も起こらない。
「続けてくだされ」
繰り返し思い続けると剣の先に線香花火のような小さな火球ができ、すぐに下に落ちていった。
「できたみたい」
シルビアは満足げに言ったのだが、ロダンたちは驚いた顔をしていた。
「こんなはずではない」と、トムが呟く。
「ロダン、もしかしたら、シルビアさまの魔法エネルギーが足りないのでは」
「そうかもしれませんな」
ロダンはサイドテーブルの上に置かれていた透明のカードを手に取ってくると、シルビアの前にかざして見せた。
そのカードは魔法力表示カード。魔法力を示すことができる装置だった。シルビアの前にかざしたので、シルビアの魔法力がカードに表示されていた。
生命力 600ポイント
魔法エネルギー 193ポイント
使える魔法 攻撃魔法
火力 レベル1
水力 レベル1
風力 レベル1
雷力 レベル1
防御魔法
遮断 レベル100
「やはり魔法エネルギーポイントが低すぎますな。魔法をかける時に1ポイントを消費することになります。ですから、持っているエネルギーが少ないと、なるべく魔法を使わせないようにする節約機能が働いているかもしれませんぞ」
「でも、魔法は使えたわ。私は満足よ。他のも試してみるわね」
柄に水玉模様のついた槍を手にすると、天井にむかってシルビアは水を頭に浮かべながら突きあげてみた。すると槍の先から、糸のような水が噴き出たのだ。どうやら水力を使うことができたようだ。だがすぐに槍の先から水がでなくなっていた。次に渦巻の絵がかかれた杖をもち、風力を念じた。すると、笛のような音をたてて、杖の先から空気が飛びでていた。
「いろいろな魔法を使えるようになったわ」
「シルビアさま、これでは魔法王女という名声のレベルには届いておりませんぞ」
「ともかく私は王女にもなれたし、魔法も使えるようになった。思ったとおりじゃないかしら」
シルビアは思わず微笑んでいた。
そんな時に、侍女たちがやってきた。
「午前のお茶の用意ができましたので、お呼びにまいりました」
侍女は、杖を持っているシルビアを見ると「王女さま、秋月祭の準備でございますね」と言って、微笑んでくれたのだ。
侍女の後について王女の部屋に戻りながら、シルビアはロダンに聞いた。
「秋月祭は、どんなお祭りなの?」
「毎年九月二十九日、夜の星々に向かって、秋の収穫を喜び来年の穀物の豊作を願うお祭りでございますよ。それは国民みんなで祝うことになる。その時に王女さまが大きな火薬玉を風の力で空に飛ばし、それに魔法の火力で点火して空に花火をあげることになっております」
「えっ、そんなこと私はできるのかしら。できないと思うわ」
「でも、これを毎年王女さまが行ってきておりますので、やってもらわないとなりません。これができないと王女は偽物だと言い出す者がでてくるかもしれませんぞ」
「それは困ったわ」
前の王女には、そんなことは容易なことだったのだろう。だが果歩がその王女と同じ立場になりたがったので、魔神ゾロは、それができる王女を別の世界に送り込み、果歩をその後にはめ込んだのに違いなかった。ともかく普通の人間でしかなかった果歩は王女と同等の力を持ってはいない。つまり新しく王女になった果歩にとって困難な問題があることがわかったのだ。おかげで、お茶と一緒にアップルパイを食べてもあまり甘くは感じられなかった。
その後、ロダンに連れられて、シルビアにとって母である女王ジョセフインに会うことになった。
「これから、ご一緒に暮らしていかれるのですから、お顔を覚えていただかなければなりませんぞ」
「最初には、父である王さまに会わなければならないと思うけど?」
すると、ロダンは笑った。
「王さまは、三年前の戦で負った怪我が悪化して、すでにお亡くなりになっております。王さまの死んだことが、女王さまの心をむしばませて、いつも床にふせっている状況なのです」
ロダンはシルビアを母であるジョセフインの寝室に連れていったのだ。ロダンの言ったとおり女王は心労のためか、青い顔をしていた。だが、シルビアを見ると微笑んでくれた。
「よく来てくれましたね。できることなら、私の方から、あなたの部屋に訪ねていきたいのですが、思うように体を動かせない」
ジョセフインの顔を見ていると果歩の記憶が、シルビアの幼かった頃の記憶に変わり出していくのを覚えた。母であるジョセフインはやさしくシルビアを育ててくれ、シルビアは、弱り出した母を思い、この国を背負っていかなければならないと決意をしていたのだ。
だが、それは同時に果歩だった時に、自分の両親から仕送りをして欲しいと言われたことや、結婚しないでいることを馬鹿にされたことを思い出させていた。そんな両親との面倒は嫌だと魔神ゾロに願ったので、ゾロはそれを受けてシルビアが愛したくなる王家の女王を母に選んでくれていたのだった。
1
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる