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3 ここが入り口か!
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死刑を言いつけられた被告人のように、忠司は椅子にもう一度腰をおろした。
「隣にすわっていい?」
花音は、すぐに椅子を持ってきて忠司の隣にすわった。もちろん、忠司はいいとも悪いとも何も言ってはいない。
「あたし、赤飯のおにぎり好きなの」
確かに、大皿の上にお握りもおいてある。忠司はいくらが入っているのがすきだ。花音が食べだすと対抗意識が生まれてくる。忠司はもう一度食べる気になった。そこで、餃子に手をだしていた。
「まさか、花音はヒューム王国に行ったことがあるなんて言わないよな?」と、忠司は食べながら聞いた。
「ないない。そこは、あんたが生まれた国でしょう?」
そう言って花音は手を自分の顔の前でふっていた。
「じゃ、どうやっていくんだい、ヒューム王国へ?」
忠司は、アンリーに顔をむけると、にらみつけた。
「この家に、ヒューム王国へ行くことができる入り口があるんです」
「どういうこと?」
「実はヒューム王国のある世界は日本のある世界とは別の異時空間に存在をしているのです」
「う~む」と忠司はうなった。理解できないことはSF的理屈づけをすれば忠司を納得させられると、アンリーは思っているようだった。
忠司は、そんなこと理解なんかできるか!と、胸の中でさけんでいた。
「それで、どこにそんな入り口なんかあるのさ?」
忠司は、自分で思ってもいない以上に大声をだしていた。長い間(まだ十代だが)、この家に暮らしていた。しかし、そんな出入り口、どこにも見たことがなかったからだ。
「お腹もきつくなってきたから、そろそろ行く?」と、花音が忠司の顔を覗き込んできた。
「だからさあ。どこに、ヒューム王国に行くことができる出入り口があるのさ」
「それでは、お連れいたします」
そう言って、アンリーは真顔になって立ちあがる。すると、マリアや花音も椅子から立ちあがった。つられるように、忠司も立ってしまった。
今思えば、これが失敗だったと思う。
「どうぞ、仏間に」
みんなで、仏間に行く。仏間は、畳が敷かれた和室だ。床の間があって仏壇が正面の壁にはめこまれている。すると、アンリーが仏壇に手をかけて引き出すと、仏壇が動いたのだ。すると、そこに穴があいた。
風が吹いている。いや、穴に向かって空気が流れていた。
「行ってくださいませ」と言って、マリアは忠司の背にリュックを背負わせた。
「さあ」と、アンリーが声をあげる。
そう言われても、穴の中は暗い。そして、先には何も見えないのだ。ためらう忠司は、覗き込み続けた。
「じゃ、行こうよ」と花音は軽く言って、忠司の手をつかむと、穴の中に飛び込んだのだ。
「あっ」
忠司の体は穴の中を花音と一緒に落ちていった。
「隣にすわっていい?」
花音は、すぐに椅子を持ってきて忠司の隣にすわった。もちろん、忠司はいいとも悪いとも何も言ってはいない。
「あたし、赤飯のおにぎり好きなの」
確かに、大皿の上にお握りもおいてある。忠司はいくらが入っているのがすきだ。花音が食べだすと対抗意識が生まれてくる。忠司はもう一度食べる気になった。そこで、餃子に手をだしていた。
「まさか、花音はヒューム王国に行ったことがあるなんて言わないよな?」と、忠司は食べながら聞いた。
「ないない。そこは、あんたが生まれた国でしょう?」
そう言って花音は手を自分の顔の前でふっていた。
「じゃ、どうやっていくんだい、ヒューム王国へ?」
忠司は、アンリーに顔をむけると、にらみつけた。
「この家に、ヒューム王国へ行くことができる入り口があるんです」
「どういうこと?」
「実はヒューム王国のある世界は日本のある世界とは別の異時空間に存在をしているのです」
「う~む」と忠司はうなった。理解できないことはSF的理屈づけをすれば忠司を納得させられると、アンリーは思っているようだった。
忠司は、そんなこと理解なんかできるか!と、胸の中でさけんでいた。
「それで、どこにそんな入り口なんかあるのさ?」
忠司は、自分で思ってもいない以上に大声をだしていた。長い間(まだ十代だが)、この家に暮らしていた。しかし、そんな出入り口、どこにも見たことがなかったからだ。
「お腹もきつくなってきたから、そろそろ行く?」と、花音が忠司の顔を覗き込んできた。
「だからさあ。どこに、ヒューム王国に行くことができる出入り口があるのさ」
「それでは、お連れいたします」
そう言って、アンリーは真顔になって立ちあがる。すると、マリアや花音も椅子から立ちあがった。つられるように、忠司も立ってしまった。
今思えば、これが失敗だったと思う。
「どうぞ、仏間に」
みんなで、仏間に行く。仏間は、畳が敷かれた和室だ。床の間があって仏壇が正面の壁にはめこまれている。すると、アンリーが仏壇に手をかけて引き出すと、仏壇が動いたのだ。すると、そこに穴があいた。
風が吹いている。いや、穴に向かって空気が流れていた。
「行ってくださいませ」と言って、マリアは忠司の背にリュックを背負わせた。
「さあ」と、アンリーが声をあげる。
そう言われても、穴の中は暗い。そして、先には何も見えないのだ。ためらう忠司は、覗き込み続けた。
「じゃ、行こうよ」と花音は軽く言って、忠司の手をつかむと、穴の中に飛び込んだのだ。
「あっ」
忠司の体は穴の中を花音と一緒に落ちていった。
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