王子だって、一体どうなるのか？物語

２ ランチの後で

　ランチの後で、忠司が昼寝をしていることを知ると、すぐにシンザンが直接、忠司の部屋をたずねてきた。
「非常事態なのに、昼寝をされているとか？」
「まあ、今のうちに体を休めた方がいいかと思って」
　すると、シンザンは声をあげて笑った。
「どんなときにも、体を怠けさせておくのは、いかがなものかと」
「わかりました。じゃ、何をすればいいんですか？」
「すばやく剣をぬくこと。そして、切り付ける。それを繰り返す。継続は力なりじゃ」
　シンザンの声が大きかったので、隣の部屋にいた花音が忠司の部屋にやってきた。
「先生、私も先生の勉強会に参加させてもらっていいでしょうか？」
「もちろん、いいですとも。この国のために戦ってくれる人には誰であってもお教えをいたしますぞ」

　すぐに、その日から、二人はシンザンの教えをうけだした。
　だが、忠司は、魔力を持っているオリハルコンの剣で戦っている。自分の思うままに剣を変えることができるし、体力もあがりスピードもついていた。だから、同じことを繰り返すことに、忠司はあまり真剣になれないでいた。
　どうやら、それはシンザンにも伝わったようだ。
　そこで、シンザンは忠司に500メートル全速力で走ってきて、刀を抜いて切ることの練習に変えた。さすがに、これを繰り返すとたっぷりと汗をかいて忠司も練習をした気になることができた。

　だが、花音は違った。もともと。道場で継続した鍛錬をおこなってきている。先生の教えを素直にきいて、すばやく剣を抜く練習を継続して行っていた。つまり居合の技術を向上をさせることだ。
　やがて、そのレベルはあがり、左右の腰に二本の剣をさして、その両方を一気にぬことができるようにまでなった。さらに示現流の神髄である一の太刀を疑わず、つまり最初の一撃で切り捨てる。その極意を取得した花音は刃こぼれを起こさずに、石灯籠をも切断できるようになっていた。