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フラグは折るものじゃ
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「おかえりなさい」
「ただいま⋯⋯なんでいるの?」
ドアの鍵が開いていたので勘づいてはいたが、家の中に春夏がいた。
別に不法侵入と言う訳では無いだろう。
いつでも家に来ていいと家主の父が合鍵を渡しているからだ。
幼馴染にお世話されるって⋯⋯どんなラブコメ世界だよ。
「晩御飯を作りに。今日は私の両親も居ないからさ。一人は寂しいから」
「そっか。俺も何か手伝うよ」
「ありがと」
「感謝するのはこっちだよ」
二人でキッチンに向かう。
そして春夏が言葉を出す。
「それで用事があるから先に帰ったんだよね? どこに行っていたの?」
「⋯⋯」
「どうしたの? 手が止まってるよ?」
どうしよう。
言い訳が、思いつかない。
用事があったが内容を素直に話したらどうなる?
春夏も知らない俺に新しく出来た人間関係の小学生って素直に言ったら?
良くて軽蔑、最悪絶交になる。
俺は一生春夏に侮蔑の眼差しを向けられるだろう。
関係が悪くなれば彰人達が絶対にからかって来る。想像するだけで殴りたい。
それに七緒からもゴミを見る目を向けられるだろう。⋯⋯もっと酷いかな?
ダメだ⋯⋯話せない。
「⋯⋯もしかして、人に言えない事やってるの?」
「それは違う」
危ない事はしてないさ。外側はね。
考えてみてくれ。
ただ角の生えた口調がちょっと変わった幼女が少し年上の小学生と会話しただけだ。
それをどう悪い事と言えようか。
例え中身が男子高校生だとしても犯罪行為は一切していない。
だからやましい事は無いのだ。
無いのだが、俺の今後の平和な生活に影響を及ぼしそうなので口にできない。
「じゃあ私に嘘ついてまで何してたの。不安だったんだよ、いつもこんな事ないから」
「心配かけて悪いな」
「ううん。私も束縛激しいなって思ってるよ。⋯⋯一旦この話は忘れるね」
何を考えたのか、苦笑いを浮かべた春夏。
「そうしてくれると嬉しいな」
ただ自分の不安や不満を俺にぶつけたかっただけのようだ。
俺は準備のために手を動かそうとしたが、春夏が最大の疑問をぶつけて来た。
「それでさ、罰ゲームは終わったの?」
「⋯⋯ッ!」
「あの二人なら今日一日ずっとって言いそうだけど」
最も聞かれたくない内容だ。
さっきのは最悪、春夏の知らない友達で何とかなった。最悪、本当に最悪な展開だと思うが縁もゆかりも無い女子校の生徒山崎咲子を友達として生贄に捧げていた。
だがこれはどうすれば良い?
声をどう変えた。口調は?
ふっ。万事休す。
手の震えが止まらん。
「⋯⋯オワタ」
「ん? 終わったんだね」
通るのかああああああ!
「おぉ。いきなり加速するね」
憂いが晴れた俺のスピードは通常の五倍となった。
だが適当な作業は俺の食事に影響するので途中から元に戻った。
「晩御飯ナナも誘うか? 絶対に喜ぶぞアイツ。ハルの料理好きだからな」
泣いて喜び誘った俺に感謝する事だろう。
その光景が目に浮かぶようだ。
春夏は横に視線を逸らす。
視線の先には何も無い。あるのは食器棚くらい。
「ん~。私はリンと二人で食べたいな。最近はこうやって二人でご飯する時間って少ないし」
「そうだな」
ごめん七緒。失敗したっ!
今日の事は七緒に黙っていよう。
アイツがブチギレる光景が目に浮かぶ。
「昼はナナも一緒だしな。今日は久しぶりにハルと二人で食うか」
「うん。嬉しい」
「そう? 別にいつでも来て良いけどな。俺は基本一人だし、ハルのご両親も理解してくれるだろ」
「ほんと? 考えとく」
そしたらいつかは七緒も一緒に食えるようになるかもな。
それを春夏が許すか望むかはさておき。
翌日、俺達は学校へ向かっている。
今日は珍しくテンションお高めの七緒が合流しなかった。
「いつまでも待っていると遅刻になる。ハルは皆勤狙えるんだからもう行くぞ」
「うん。でも既読にもならないって⋯⋯大丈夫かな?」
「ナナがそんなに体調崩とはな。俺のが移ったか?」
絶対にそんな訳無いけどな。
俺は体調不良じゃなかったし。能力の覚醒の方だとしてもありえない話。
アイツは能力者だ。能力を複数持つ人はいても新たな能力に覚醒する話は聞いた事が無い。
春夏は一年生も皆勤、今年も皆勤でいて欲しい。
元気な証明は良い事だからな。
「あ、そう言えば」
昨晩、利冴の小学校の噂についてネットで調べてみたんだ。
あの学校何かしらの怪異が住み着いているのかってくらいに沢山の怪談話が転がっていた。
俺達も元々その小学校だったが、全然記憶ねぇや。
調べた成果を送っておく。俺の結論としては単なる噂である。
放課後。
春夏が今日はと言わんばかりに俺の所までやって来る。
後ろで「ヒューヒュー」とかふざけている野郎二人は後でしばく。具体名を出すなら彰人と弘樹だ。
「今日は一緒に帰ろうよ」
儚げで寂しそうな笑みを浮かべながら言って来る。
今日は七緒は部活が無い。だけど休みだ。
一人は寂しいもんな。それに俺も用事は無い。
「もちろん⋯⋯」
俺も答えながら朝から利冴に送ったメッセージの確認をする。
⋯⋯既読が付いていない。
今どきの小学生で無既読スルー? いや、あの利冴に関しては違うと断言出来る。
だってあの子友達少なそう出し。友達を大切にする子だと思う。
なんとも言えない不安感が俺の心を襲う。
「⋯⋯悪い。今日もちょっと用事が出来た。結構深刻」
「えっ」
悲しそうに驚く春夏。
奥歯を噛み締めながら、乾いた笑みを浮かべる。
「⋯⋯分かった」
春夏は良い奴だ。素直で純粋で優しい奴。
昔からそうだ。だから俺が嫌がると思う事はしない。
そんな春夏の傷ついた笑みに後ろ髪を引かれる思いになるが、今回はざわつく心の本能に従う事にした。
「悪いな」
俺は早足で向かうべく春夏の横を通り過ぎた。
俺を止めたいように春夏のツーサイドアップの青髪が靡いた。
「お前、春夏ちゃんの誘い断んのかよ」
「幼馴染だろ? 可哀想じゃんか」
さすがの彰人と弘樹も真剣に俺を責める。
「悪いな。でも、こっちも急ぎなんだ」
「そうかよ」
「じゃあ俺達が春夏ちゃんをお持ち帰りしようかな?」
「ハルが傷つく事したら殺すからな? でも一緒に帰ってくれた方が俺は安心するかな」
「そのムーブはキモイ」
「何目線なん?」
こいつらの言動は何回も苛立つが、友人なだけあって信頼はある。
二人に背を向け俺は急いだ。
誰もいないところでリフェルとなり空を爆速で飛ぶ。
「学校到着。空だと一瞬じゃな」
いつもの人が沢山の電車で揺らされているのがバカみたいだ。
さて、どう利冴を探す? 情報はどうする?
封印したあの体を使うか?
⋯⋯痴女が小学校に侵入するって言う事件に⋯⋯女子校に侵入した時点で今更か?
開き直るか?
「あれ? リフェル様じゃん」
「ほんとだ」
「おお! お主ら丁度良いところに」
優希くんと遥斗くんに偶然出会う。顔見知りと会うとかグットタイミング。
「利冴に朝からある報告を入れたのじゃが、既読がつかんくての。様子を確認しに来たのじゃ」
「田中の奴なら今日は休みっすよ」
「それに小学校はスマホ禁止なので基本既読付かない時間じゃないですかソレ?」
「あ、そうじゃった」
高校の感覚があった。
「リフェル様って⋯⋯」
「もしかして⋯⋯」
あ、中身バレたか?
高校生ってバレちゃったか?
いやー困っちゃうなー。年上ってバレるちゃうかぁ。
これからはしっかりと敬って貰わないとねっ!
「「不登校なんですか?」」
「そうなのじゃ」
なんか現実的で嫌だな。
「今から利冴ちゃんの家におたより届けるので一緒に行きますか?」
「行くのじゃ!」
凄く助かる!
⋯⋯休んだ上で既読も付かないメッセージ。
スマホ禁止されているだけなら平和で良いんだけど⋯⋯。
「あそこです」
遥斗くんが指を向けた先には泣き叫ぶ女性と二人の警察官がいた。
⋯⋯警察と泣き叫ぶ女性、そしてそこが利冴の家だと言う遥斗くん。
俺達は三人の所へ歩みを進めた。
「ん? どこの子かな?」
「利冴ちゃんが休んだから今日のお便りを届けに来ました」
「何があったのじゃ?」
俺の存在に気づいた警察官はギョッと目を見開いて、俺達に話しかけて来た方じゃない警察官がどこかへ連絡している。
⋯⋯これは逃げないとな。
「いや、なんでもないよ。子供は気にしなくて良いんだよ」
優しく諭す警察官。
この状況誰が見ても答えは一つに決まっている。
「神隠し⋯⋯」
優希くんが震える声でボソリと呟いた。
昼からの警察の対応。
学校の休み。
⋯⋯可能性は十分に考えられる。
不安がある。より深く沈む不安が⋯⋯。
「ナナ⋯⋯」
俺は飛び立ちこの場を離れた。
即座に物陰に隠れ元の姿に戻り電話をかける。春夏にだ。
七緒にかけても出てくれない事くらい今日の朝から分かっているっ!
「クソ。なんでもっと心配してやれなかった! それが親友かよクソっ!」
ノイズが走り春夏が電話に出て来たのを確認する。
「ハル! 今どこいる!」
頼む頼む。
『今? 彰人くんと弘樹くんが慰めてくれるためにゲームセンターに向かっているところだよ。私の左右に二人がいる』
必死に色々と話しかけてくれたのだろうか。
少しだけ涙声な事に罪悪感を覚えるが、今は構っていられない。
「ハル。今すぐにナナの家へ行ってナナの所在を確認してくれ!」
ゲーセンに向かってるなら春夏達が七緒の家に近い。
互いの家にお邪魔した事あるから場所は分かるはずだ。
『⋯⋯結構深刻な用事なんだよね?』
「ああ」
『ごめん。そんな資格無いのに、勝手に悲しんで』
声が通常に戻って行く。
『走るっ!』
スピーカーから服の擦れる音がする。
春夏が本気で走っている。彰人と弘樹じゃ追いつけないな。
数分もすれば家に到着し、インターホンを押す音が聞こえた。
『はぁ。はぁ。ナナ、居ますか?』
息切れしながら対応した七緒の母親へ簡潔に要件を伝える春夏。
『春夏ちゃん。七緒は居ないわ。学校に行ったのよ⋯⋯ねぇ春夏ちゃん。あの子は学校をサボって遊ぶような子なのかしら?』
『違います』
『そう、よね』
⋯⋯七緒が学校をサボる事は無い。
少なくとも春夏がいる学校をサボる事は絶対にない。誰よりもそれは俺が理解している。
「間違いないな」
高校生の数時間の消息不明に警察は対応してくれるのか?
もしも能力が関わっているならヒーローの出番か?
「クソ。何が神隠しだ。⋯⋯誘拐じゃねぇか」
その誘拐に親友と知人が関わっている。被害者として。
俺は行き場のない怒りを発散するかのように地面を何回も殴りつけた。
力の制御の出来る魔王リフェルでもフィジカルお化けの魔法少女スカーレットでも無いからダメージが入る。
手の甲から血が滲んだ。でも、不思議と痛みは無かった。
「ただいま⋯⋯なんでいるの?」
ドアの鍵が開いていたので勘づいてはいたが、家の中に春夏がいた。
別に不法侵入と言う訳では無いだろう。
いつでも家に来ていいと家主の父が合鍵を渡しているからだ。
幼馴染にお世話されるって⋯⋯どんなラブコメ世界だよ。
「晩御飯を作りに。今日は私の両親も居ないからさ。一人は寂しいから」
「そっか。俺も何か手伝うよ」
「ありがと」
「感謝するのはこっちだよ」
二人でキッチンに向かう。
そして春夏が言葉を出す。
「それで用事があるから先に帰ったんだよね? どこに行っていたの?」
「⋯⋯」
「どうしたの? 手が止まってるよ?」
どうしよう。
言い訳が、思いつかない。
用事があったが内容を素直に話したらどうなる?
春夏も知らない俺に新しく出来た人間関係の小学生って素直に言ったら?
良くて軽蔑、最悪絶交になる。
俺は一生春夏に侮蔑の眼差しを向けられるだろう。
関係が悪くなれば彰人達が絶対にからかって来る。想像するだけで殴りたい。
それに七緒からもゴミを見る目を向けられるだろう。⋯⋯もっと酷いかな?
ダメだ⋯⋯話せない。
「⋯⋯もしかして、人に言えない事やってるの?」
「それは違う」
危ない事はしてないさ。外側はね。
考えてみてくれ。
ただ角の生えた口調がちょっと変わった幼女が少し年上の小学生と会話しただけだ。
それをどう悪い事と言えようか。
例え中身が男子高校生だとしても犯罪行為は一切していない。
だからやましい事は無いのだ。
無いのだが、俺の今後の平和な生活に影響を及ぼしそうなので口にできない。
「じゃあ私に嘘ついてまで何してたの。不安だったんだよ、いつもこんな事ないから」
「心配かけて悪いな」
「ううん。私も束縛激しいなって思ってるよ。⋯⋯一旦この話は忘れるね」
何を考えたのか、苦笑いを浮かべた春夏。
「そうしてくれると嬉しいな」
ただ自分の不安や不満を俺にぶつけたかっただけのようだ。
俺は準備のために手を動かそうとしたが、春夏が最大の疑問をぶつけて来た。
「それでさ、罰ゲームは終わったの?」
「⋯⋯ッ!」
「あの二人なら今日一日ずっとって言いそうだけど」
最も聞かれたくない内容だ。
さっきのは最悪、春夏の知らない友達で何とかなった。最悪、本当に最悪な展開だと思うが縁もゆかりも無い女子校の生徒山崎咲子を友達として生贄に捧げていた。
だがこれはどうすれば良い?
声をどう変えた。口調は?
ふっ。万事休す。
手の震えが止まらん。
「⋯⋯オワタ」
「ん? 終わったんだね」
通るのかああああああ!
「おぉ。いきなり加速するね」
憂いが晴れた俺のスピードは通常の五倍となった。
だが適当な作業は俺の食事に影響するので途中から元に戻った。
「晩御飯ナナも誘うか? 絶対に喜ぶぞアイツ。ハルの料理好きだからな」
泣いて喜び誘った俺に感謝する事だろう。
その光景が目に浮かぶようだ。
春夏は横に視線を逸らす。
視線の先には何も無い。あるのは食器棚くらい。
「ん~。私はリンと二人で食べたいな。最近はこうやって二人でご飯する時間って少ないし」
「そうだな」
ごめん七緒。失敗したっ!
今日の事は七緒に黙っていよう。
アイツがブチギレる光景が目に浮かぶ。
「昼はナナも一緒だしな。今日は久しぶりにハルと二人で食うか」
「うん。嬉しい」
「そう? 別にいつでも来て良いけどな。俺は基本一人だし、ハルのご両親も理解してくれるだろ」
「ほんと? 考えとく」
そしたらいつかは七緒も一緒に食えるようになるかもな。
それを春夏が許すか望むかはさておき。
翌日、俺達は学校へ向かっている。
今日は珍しくテンションお高めの七緒が合流しなかった。
「いつまでも待っていると遅刻になる。ハルは皆勤狙えるんだからもう行くぞ」
「うん。でも既読にもならないって⋯⋯大丈夫かな?」
「ナナがそんなに体調崩とはな。俺のが移ったか?」
絶対にそんな訳無いけどな。
俺は体調不良じゃなかったし。能力の覚醒の方だとしてもありえない話。
アイツは能力者だ。能力を複数持つ人はいても新たな能力に覚醒する話は聞いた事が無い。
春夏は一年生も皆勤、今年も皆勤でいて欲しい。
元気な証明は良い事だからな。
「あ、そう言えば」
昨晩、利冴の小学校の噂についてネットで調べてみたんだ。
あの学校何かしらの怪異が住み着いているのかってくらいに沢山の怪談話が転がっていた。
俺達も元々その小学校だったが、全然記憶ねぇや。
調べた成果を送っておく。俺の結論としては単なる噂である。
放課後。
春夏が今日はと言わんばかりに俺の所までやって来る。
後ろで「ヒューヒュー」とかふざけている野郎二人は後でしばく。具体名を出すなら彰人と弘樹だ。
「今日は一緒に帰ろうよ」
儚げで寂しそうな笑みを浮かべながら言って来る。
今日は七緒は部活が無い。だけど休みだ。
一人は寂しいもんな。それに俺も用事は無い。
「もちろん⋯⋯」
俺も答えながら朝から利冴に送ったメッセージの確認をする。
⋯⋯既読が付いていない。
今どきの小学生で無既読スルー? いや、あの利冴に関しては違うと断言出来る。
だってあの子友達少なそう出し。友達を大切にする子だと思う。
なんとも言えない不安感が俺の心を襲う。
「⋯⋯悪い。今日もちょっと用事が出来た。結構深刻」
「えっ」
悲しそうに驚く春夏。
奥歯を噛み締めながら、乾いた笑みを浮かべる。
「⋯⋯分かった」
春夏は良い奴だ。素直で純粋で優しい奴。
昔からそうだ。だから俺が嫌がると思う事はしない。
そんな春夏の傷ついた笑みに後ろ髪を引かれる思いになるが、今回はざわつく心の本能に従う事にした。
「悪いな」
俺は早足で向かうべく春夏の横を通り過ぎた。
俺を止めたいように春夏のツーサイドアップの青髪が靡いた。
「お前、春夏ちゃんの誘い断んのかよ」
「幼馴染だろ? 可哀想じゃんか」
さすがの彰人と弘樹も真剣に俺を責める。
「悪いな。でも、こっちも急ぎなんだ」
「そうかよ」
「じゃあ俺達が春夏ちゃんをお持ち帰りしようかな?」
「ハルが傷つく事したら殺すからな? でも一緒に帰ってくれた方が俺は安心するかな」
「そのムーブはキモイ」
「何目線なん?」
こいつらの言動は何回も苛立つが、友人なだけあって信頼はある。
二人に背を向け俺は急いだ。
誰もいないところでリフェルとなり空を爆速で飛ぶ。
「学校到着。空だと一瞬じゃな」
いつもの人が沢山の電車で揺らされているのがバカみたいだ。
さて、どう利冴を探す? 情報はどうする?
封印したあの体を使うか?
⋯⋯痴女が小学校に侵入するって言う事件に⋯⋯女子校に侵入した時点で今更か?
開き直るか?
「あれ? リフェル様じゃん」
「ほんとだ」
「おお! お主ら丁度良いところに」
優希くんと遥斗くんに偶然出会う。顔見知りと会うとかグットタイミング。
「利冴に朝からある報告を入れたのじゃが、既読がつかんくての。様子を確認しに来たのじゃ」
「田中の奴なら今日は休みっすよ」
「それに小学校はスマホ禁止なので基本既読付かない時間じゃないですかソレ?」
「あ、そうじゃった」
高校の感覚があった。
「リフェル様って⋯⋯」
「もしかして⋯⋯」
あ、中身バレたか?
高校生ってバレちゃったか?
いやー困っちゃうなー。年上ってバレるちゃうかぁ。
これからはしっかりと敬って貰わないとねっ!
「「不登校なんですか?」」
「そうなのじゃ」
なんか現実的で嫌だな。
「今から利冴ちゃんの家におたより届けるので一緒に行きますか?」
「行くのじゃ!」
凄く助かる!
⋯⋯休んだ上で既読も付かないメッセージ。
スマホ禁止されているだけなら平和で良いんだけど⋯⋯。
「あそこです」
遥斗くんが指を向けた先には泣き叫ぶ女性と二人の警察官がいた。
⋯⋯警察と泣き叫ぶ女性、そしてそこが利冴の家だと言う遥斗くん。
俺達は三人の所へ歩みを進めた。
「ん? どこの子かな?」
「利冴ちゃんが休んだから今日のお便りを届けに来ました」
「何があったのじゃ?」
俺の存在に気づいた警察官はギョッと目を見開いて、俺達に話しかけて来た方じゃない警察官がどこかへ連絡している。
⋯⋯これは逃げないとな。
「いや、なんでもないよ。子供は気にしなくて良いんだよ」
優しく諭す警察官。
この状況誰が見ても答えは一つに決まっている。
「神隠し⋯⋯」
優希くんが震える声でボソリと呟いた。
昼からの警察の対応。
学校の休み。
⋯⋯可能性は十分に考えられる。
不安がある。より深く沈む不安が⋯⋯。
「ナナ⋯⋯」
俺は飛び立ちこの場を離れた。
即座に物陰に隠れ元の姿に戻り電話をかける。春夏にだ。
七緒にかけても出てくれない事くらい今日の朝から分かっているっ!
「クソ。なんでもっと心配してやれなかった! それが親友かよクソっ!」
ノイズが走り春夏が電話に出て来たのを確認する。
「ハル! 今どこいる!」
頼む頼む。
『今? 彰人くんと弘樹くんが慰めてくれるためにゲームセンターに向かっているところだよ。私の左右に二人がいる』
必死に色々と話しかけてくれたのだろうか。
少しだけ涙声な事に罪悪感を覚えるが、今は構っていられない。
「ハル。今すぐにナナの家へ行ってナナの所在を確認してくれ!」
ゲーセンに向かってるなら春夏達が七緒の家に近い。
互いの家にお邪魔した事あるから場所は分かるはずだ。
『⋯⋯結構深刻な用事なんだよね?』
「ああ」
『ごめん。そんな資格無いのに、勝手に悲しんで』
声が通常に戻って行く。
『走るっ!』
スピーカーから服の擦れる音がする。
春夏が本気で走っている。彰人と弘樹じゃ追いつけないな。
数分もすれば家に到着し、インターホンを押す音が聞こえた。
『はぁ。はぁ。ナナ、居ますか?』
息切れしながら対応した七緒の母親へ簡潔に要件を伝える春夏。
『春夏ちゃん。七緒は居ないわ。学校に行ったのよ⋯⋯ねぇ春夏ちゃん。あの子は学校をサボって遊ぶような子なのかしら?』
『違います』
『そう、よね』
⋯⋯七緒が学校をサボる事は無い。
少なくとも春夏がいる学校をサボる事は絶対にない。誰よりもそれは俺が理解している。
「間違いないな」
高校生の数時間の消息不明に警察は対応してくれるのか?
もしも能力が関わっているならヒーローの出番か?
「クソ。何が神隠しだ。⋯⋯誘拐じゃねぇか」
その誘拐に親友と知人が関わっている。被害者として。
俺は行き場のない怒りを発散するかのように地面を何回も殴りつけた。
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