TSメスガキと変態メイドのおしおき配信〜全てがネタだと思いたい〜

ネリムZ

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聖女、新たな扉を開く

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 紫蘭を解き放った私。

 既に大幅強化されたクイーンドリアードも倒すのは時間の問題となっている。

 「しかし、あの女のエネルギーを吸収しただけでこれ程までに巨大化するのか?」

 これも何かしらの原因がありそうだ。

 それを調査する余裕は⋯⋯正直の所ない。

 輝夜様へ攻撃の手が行かないように常に斬っておかないとならないのだ。

 再生能力が高く、斬ってもすぐに元通りになるがサイズは小さくなる。

 再生に使っているエネルギーを消費させ続ければいずれ倒せるのは考えずとも分かる。

 「⋯⋯ムゥ」

 あの女を回復させるために色々とやっている輝夜様が視界に入る。

 これは純粋な嫉妬の心だ。

 配信と言う建前が無ければ輝夜様は私の望む事をしてくれない。

 悦ぶと分かっていても、大切にしようと考えてくださるからだ。

 「早く帰りたい」

 久しぶりの本気でも気持ちの高揚感は無い。ただ冷静に冷徹に敵を倒すための行動をする。

 私の感情が高鳴る時は輝夜様が関わった時だけである。

 「おっと」

 攻撃の手を変えて来た。葉っぱの攻撃と根の攻撃を同時に行う。

 顔のパーツは無いが、奴が恐怖に震えている気がした。

 「怖気付くか。雑草と言えど生命の危機は感じるのだな」

 地面にクレーターを作る力で蹴り抜き、跳躍して迫る。

 相手の攻撃を全て斬り、本体も攻撃する。

 「すぅー」

 息を吐いて、再生した直後に再び斬り裂く。

 どれだけの大木だろうと私と紫蘭の前には枝に等しい。

 これでもまだ、紫蘭の全力を発揮できていない。

 先代様、輝夜様のお爺様の勇姿を映像で拝見した事がある。

 紫蘭を持ち、兵を率いて大型のモンスターと戦う姿。

 その映像の時は既に50を超えている。だと言うのに、私の知る誰よりも強い戦士だった。

 その背に憧れた。

 今後更なる厄災が輝夜様を襲うかもしれない。その可能性は十分にある。

 問題に足を突っ込むタイプであり、いずれは貴族に戻るお方だからだ。

 紫蘭の力を引き出したい⋯⋯だけど。

 「お前じゃ足りんな」

 ここからも淡々と作業のように、クイーンドリアードを倒して行く。

 ただ、訓練も同時に行う。本気で動ける機会などあまりないからだ。

 ◆

 「あークソ。なんで起きないのよ!」

 背中を叩くだけじゃダメなのか。

 もっとダメージの通りやすい箇所を狙うべきなのか?

 「⋯⋯だとしても全く回復している気配が無い。こんなの初めてだ。出力が足りないのか?」

 もっと大きな一撃を与えるしかない。だけど背中は⋯⋯。

 顔⋯⋯弱っている女の子相手に狙うのは気が引ける。

 尻⋯⋯色々とダメだろう。感覚が麻痺しているかもしれない。

 「こうなったら腹をぶん殴る!」

 しかし、その前に地面が盛り上がった。

 「根の攻撃⋯⋯いや、天野さんを狙ってるんだ」

 唯華を退けるには力が必要であり、その源である天野さんを求めているに違いない。

 「そうはさせない。【召喚】アースワーム」

 アースワームの背中に乗って移動して根から離れて行く。

 唯華に助けを求めたいけど⋯⋯邪魔はしてはいけない。

 「どうにかしないと⋯⋯アースワームのスピードじゃいずれ追いつかれる」

 距離がある段階で気づけたが、それでも捕まるのは時間の問題。

 天野さんを見ると、乗せる体勢が悪かったみたいだ。

 神のイタズラか、尻をとても叩きやすい位置に突き出していたのだ。

 「⋯⋯迷っている暇は無さそうだな」

 アースワームを追って来る根を見て時間は僅かしか残されていない。

 助かるには、やるしかないのだ。

 「ごめんなさいね!」

 パチンっ!

 叩く音が爽快に鳴り響いた。

 「うっ」

 天野さんの口から微かに呻き声が漏れた。

 「喋った! ちゃんと回復してる!」

 ならそれを続けるのみ!

 ただ、全力で叩くとこちらも痛かったので鞭をクルクル巻いておく。

 「ほら、いつまで寝てるのよ。さっさと起きなさい!」

 「うっ」

 骨が浮き彫りに成程に細くなっていた身体が少しづつ膨らんで行く。

 「早く目覚めなさいよ! いつまでぐーすか寝てるつもりよ! ナマケモノかしら!」

 パチンっ、何回も叩く。

 「ひっ」

 体型が元に戻り、肌色も良くなって行く。

 代わりにこちらの手はヒリヒリと痛みだした。

 それでも、この手を天野さんの柔らかい身体に振り下ろす。

 「キビキビ動きなさいな! だらしない格好で寝ているのが聖女の役目なのかしら!」

 「はあんっ!」

 「ん?」

 「はぁ、はぁ」

 今、少し高めの声が聞こえたような。

 しかし、気のせいなのか天野さんが目覚める気配を示さない。

 だけど、身体は健康的な色合いを取り戻して少し火照っているようにも感じる。

 「目が覚めたのかしら?」

 「⋯⋯」

 「返事をしないならそうね⋯⋯」

 なぜかソワソワと尻が左右に揺れている気がした。

 「おしおきしちゃうわよ?」

 ビクンっと身体が一瞬強く揺れた。

 確実に起きている事が分かったので、静華モードに戻ら⋯⋯なくても良いか。

 こうなっては言い訳もできまい。それにアースワームの上だと気づいているはずだ。畑のアースワームは俺の仲間だと分かったはずだ。

 すぐに回復できるように、この姿のままでいるべきだろう。

 「⋯⋯そうだ根っこ!」

 忘れてた!

 目前まで迫った木の根っこ。それを光が斬り裂いた。

 「ようやく起きたわね!」

 「⋯⋯し、静華様⋯⋯その姿は⋯⋯いえ、それよりも、おしおき⋯⋯」

 頬を染めて、物欲しそうなうるうるとした瞳で真っ直ぐと俺を捉えていた。

 どことなく色気があるが、瞳に反射した俺の顔はとても引きずっていた。

 「良いのかしら。貴女は神を信仰する立場! だと言うのにそんな邪な感情に流されて! ここは戦場よ!」

 最もらしい事を言う。

 「ですが先に始めたのは静華様ではありませんか。もう一度だけ、それだけで⋯⋯叩かられる度に胸が熱くなるのです。なぜだか分かりませんが、それは苦に感じません。むしろその逆。それを確かめたいのです。もう一度、もう一度だけで良いのです」

 縋り付く天野さん。

 「待ちなさい。聖職者がソレに触れてはダメよ。それはもはや禁具と一緒なの!」

 「ですが、この高まりの詳細を確認しなくては今後の支障になるかもしれません」

 「なら今すぐ忘れなさい! そして戦いに集中!」

 クイーンドリアードに指を向けて参戦を促す。

 「しかし」

 この聖女中々に引かない!

 ⋯⋯確かに、彼女が参戦しなくても唯華一人で倒せそうな勢いではある。

 でも何かあるか分からない。禁具が関わっているなら更なる覚醒も有り得る。

 備えあれば憂いなし。

 唯華一人で倒せると確信していても、さらに万全にしたい。

 唯華の動きを見て少し安心しているのか、それともエネルギー残量が少ないのか。

 天野さんは再び尻叩きを懇願して来る。

 ⋯⋯どうしよう。こうしてしまったのは間違いなく俺のせい。

 俺がどうにかしないとならない。

 今の俺は⋯⋯ゼラ。そう、ゼラ様なのだ。

 メスガキ設定⋯⋯とかは今は良い。

 ゼラとして、振る舞えば良いのだ。

 後の事は⋯⋯冷静になった未来の俺に託そう。

 「お姉ちゃんはソレが知りたいの?」

 「静華様?」

 俺は天野さんの胸倉を掴んで引き寄せる。少し苦しそうにしながらも、鼻息は荒くなる。

 「今はゼラよ。ゼラ様と呼びなさい。あるいは⋯⋯」

 耳元に口を近づけ、囁く。

 「お嬢様、とでも呼びなさい」

 「お、嬢様」

 胸倉から手を離し、その手で頬を挟んで掴む。

 ぷにっとした柔らかい感覚が心地良く感じるが、すぐに骨の感触が指に伝わる。

 「お前の感じているのが何かを知る必要は無い。教える気も無い」

 「おんあ」

 「でも与えてやる事はできるわ」

 余った手で天野さんの大きな胸を鷲掴みにした。優しく握る事は無く押し込むように、潰すように力を込めている。

 「んんっ」

 「またソレが欲しいなら、溺れたいと言うなら言う事を聞きなさい。それが約束できないなら、全てを忘れる事ね」

 今の俺は俺としての心が半分近く無くなっているのだろう。

 普段ならしない、できない事でも平気でやっている。

 これがゼラとしての本質なのだろうか。

 悪魔のような、人に恐怖を与える笑みを貼り付けている。だと言うのに、心の奥底から快楽に溺れる玩具を欲している。

 「いいあう」

 「はっきり聞こえないわね」

 親指を口の中に入れて頬を引っ張る。

 「聞きまふ。なんへも聞きまふ」

 「ヒヒッ!」

 じわっ⋯⋯アースワームの上に広がる液体。それが俺の足にまで流れて来る。

 「だらしない身体。何も知らずに聖女として育った結果なのかしらね。⋯⋯でも関係ない、もうお前はゼラ様の玩具。わんちゃんだからね」

 口に指を入れたせいで唾液が着いた。それを、舌を出して舐め取った。

 「良い事、お前は神を信仰し、ゼラ様の犬。それを忘れちゃいけないわよ」

 「はひっ」

 「それじゃ。もっと凄いのが欲しければ、戦いなさい。ゼラ様に戦果を持って来なさい。それに応じて、ご褒美を上げるわ」

 最後に首を撫でて、耳を甘噛みして終えた。

 「もっと、凄い⋯⋯事」

 酷い事をされたにも関わらず、天野さんは唯華の助けに向かった。

 俺はそれを見送ってから、一度男の姿に戻った。

 「⋯⋯何やってんだ、俺。クズじゃん。はは」

 アースワームがとぐろを巻いて慰めてくれた。

 ゼラの時は感じなかった罪悪感と後悔が一気に押し寄せて来る。

 「静華に戻ろう。今は戦いを応援しないと」

 静華に戻り、数十分後にはクイーンドリアードは完全に倒れて枯れて行った。

 討伐完了⋯⋯色々とあったが一件落着と言った所か。

 天野さんの目が少し引っかかるが、唯華が入れば安全だろう。

 今も尚唯華は天野さんに対して睨みを⋯⋯利かせる事無く俺の方をガン見していた。

 「私には配信外でしてくれないのに」

 「違うんだよ。あれは、違うんですよ」

 「へー」

 あーダメだこりゃ。何を言ってもマイナスになるパターンだ。

 もう何も言いません。

 「今回はご助力の程深く感謝しております。貴女方がいなければ勝ち目はありませんでした」

 「当然の結果です」

 「はい。頼もしい限りです。⋯⋯おや?」

 天野さんは何かに気づいたようで、枯れたドリアードの根元まで歩いて行った。

 そして、黒い羽を持ち上げる。カラスのような羽⋯⋯。

 「今すぐそれを放せ!」

 「え?」

 当たり前だがカラスがこんな所を飛んでは無い。羽が落ちていたとしても、あんな所には残ってないはずだ。

 そしてドリアードの異常な強さ。

 直感的に感じた紫蘭と同様の異質な気配。唯華もそれは感じ取った。

 何よりも⋯⋯聖女である彼女が一切の警戒も躊躇いも無く手に取った事がその証拠。

 「それは禁具だ!」

 禁具は見た者を魅了する。魅惑的なオーラを持っているのだ。

 俺らには惹き付けられる様な感覚は一切無かった。

 それはつまり、あの禁具が彼女を選んだと言う事だ。

 次の所有者に。次の寄生先に。

 「輝夜様っ!」

 唯華が俺を抱き止める。同時に天野さんが黒い羽から出て来る漆黒の煙に包み込まれた。

 「天野さん⋯⋯」

 煙を薙ぎ払うように大きく広がった⋯⋯闇のような漆黒の翼。

 髪の色も白髪から黒に⋯⋯服の色も黒へと変わっている。

 その姿は黒く染め上げられた、天使だった。
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