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二章 能力専門学校
戦闘センス
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放たれた弾丸を先程飛んで来たフード付きコートが防いでくれる。
「ローブか?」
赤谷が疑問の呟きを聞きながら、ローブは弾丸を止め、弾は地面にカランと落ちる。
コートは俺の背後に回り、俺を包み込むように閉じる。
制服が黒い服に変わり、コートも装着する。髪の毛が一部白く、脱色する。
「傷も癒え、僕は立ち上がるってね」
「ん?」
「行きます」
赤い女が剣を構えて僕に向かって接近して来るが、コートの内側に付いている帯がその女に向かって伸びて行く。
剣で弾くが、それだけでは意味が無いと知って、回避行動にでる。
体操選手のような躱し方で、赤い女は赤谷の元に戻る。
僕はアイテムストレージからスペルカードの束が入ったケースを取り出す。所謂、デッキケースである。
昔に僕用に秋姉さんが用意してくれた特別で大切なデッキ構成である。
「はぁ。本気出したいけど、さっきの身体能力のまま、本気でやるか」
「何をブツブツと」
赤谷が呟きと共に、ビー玉を五個飛ばして来る。その隙間を縫うように弾丸と女が迫って来る。
「スペルカード発動、トルネード!」
ビー玉の回転と真逆の回転の風がビー玉のスピードを緩ませ、落とす。
ビー玉はそのまま赤谷の元に行き、銃弾は横に軽くステップして躱す。後ろの地面が少しばかり爆発して、土煙が起こる。
女の剣を腰に付けたデッキケースからスペルカードを取り出し、それで防ぐ。
「おらよ!」
左手のスペルカードで防いでいるので、右手を固めて女の顔面に振るう。
女は後ろに少し体を倒して避けるが、それはちょっとしたフェイントだ。
本命は、すぐに場所を移動し、右脇を通して左手に持っているスペルカードだ。
「ん?」
相手は後ろに下がり、スペルカードから伸びている黒い鞭を斬る。
相手を拘束する用のスペルだが、ゼロ距離で使えば、鞭が出るスピードがそのまま攻撃に加わる。
女はお腹を摩りながらも、問題ないと言うふうに剣を構えて来る。
鞭が出るよりも速く後ろにステップしたから、大したダメージは与えられていないようだ。
「と、お前も接近するんだな」
僕の背後に回った赤谷が回転蹴りを放って来るが、屈んで躱し、懐に入り剣を振るって来る女には、右手で剣を受け流し、左手で殴る。
「クッ」
赤い二人は互いに後ろに下がる。
「急に髪が黒と白に成ったと思ったら、良い動きをするね」
「そりゃあどうも」
僕は二枚のスペルカードを腰のデッキから抜き取り、各々に向かって投擲する。
地面と並行に成るように、空気を滑るスペルカードは二人に当たる事無くすれ違う。
「「?」」
赤い二人は互いに疑問を持っているようだ。
「発動」
さっき投げたスペルカードの魔法にはとある特徴がある。それは、僕に向かって戻って来る、と言うモノだ。
それにより、遠隔で発動したスペルカードは形を変え、槍のようになり僕に向かって飛んで来る。
そして、その中間にいる赤谷と女の横原を少し裂く。
槍はおよそ三秒で消滅する。
僕は赤谷に向かって接近して、すぐさま肉薄する。
「ちぃ」
「てめぇの銃弾なんて、ゼロ距離でも当たんねぇよ!」
銃の扱いが素人なんだよ。
こちとら俺が訓練でどんだけ精度の良い銃使いと戦っていると思ってんだ。
こんなど素人の銃弾を、体も普通に動くと言うのに避けれないなんて恥だ。
「おっと、お前の『回転系』攻撃は受ける訳にはいかねぇよ」
回し蹴りをしゃがみこんで躱し、相手の顎に向かってアッパーを放つ。
「くっ」
「良く歯を食いしばった。吹き飛べや!」
体を縮めて、ドロップキックを放つ。
「女は単調なんだよ!」
背後に回り込んで来た女を回転蹴りで飛ばす。
「ほんと、動きが変わった」
「まぁな。にしても、おめぇ、あんまり魔道具使ってないだろ? さっきからアビリティばっかだ」
「はて。なんのことやら」
「お前のアビリティは回転だろ? しかも、その回転には限界が存在しない。無限に高速に、ひたすら重複出来るアビリティ、なんとも厄介だね」
「アビリティ、か。半分正解、とでも言っておこう」
防御系の魔法は大きい技なら意味あるだろうけど、それだと目立つ。だから、防ぐのではなく止めているのだ。
「流石に今回は無理そうだな」
赤い女が赤谷の近くに寄る。
「本来なら、逃がすか! とでも言って僕がお前らを止めるのだが、もう時間切れだ」
「なに?」
近くの空間がバリン、と砕ける。
そこから純白の服を着て、二本の角を生やし、同じように純白の髪と瞳をした龍人が現れる。
「よう。無月」
「なんで貴様が居る!」
「別に良いだろ。あいつらを捕らえるからこの中でもアビリティ使えるように承認しろ」
「自分がやる!」
「お前だと消えるだろ!」
「⋯⋯、承認する!」
僕は拘束用のスペルカードを取り出す。
「転移、出来ない」
要約相手も気づけたようだ。
スペルカードを地面に設置して、発動する。
地面に大きな影が出来、そこから鞭が出て来て相手を拘束する。
が、相手の形が変わって行く。
「お前ら、モンスターだったのかよ」
もしかして、身体能力の高さも回転のアビリティも⋯⋯、はぁ色々と掌で踊らされた気分だよ。
「まあ、良いや。あんたら情報を」
近づくと、相手は赤く発行する。
ドゴーン、大爆発が起こり、僕達は包み込まれた。
「生きる爆弾かよ!」
元々体がそう言う仕組みだっようで、無月の異能無効も意味が無いようだ。
「ちぃ、無事だったか」
「ははは。僕が無事じゃなかったら俺も無事じゃないよ」
「さっさと戻れよ!」
「え~嫌だ」
「き、貴様!」
「冗談冗談。この形態は一日十分しか出来ないよ。だからあと二分はこのまま」
「クソが。でも、これで情報が得られなくなったな」
「お前のせいな気もするがな。ま、学校に来るなら会えるだろ」
「は、死んだだろ?」
「お前と一緒だよ。心臓⋯⋯魔石が違う場所にあんだよ」
あ、アビリティが使えなく成った。
それから2分後、僕の意識は途切れた。
「ん、ん~」
「マスター様!」
「無月、か? どうだ、試験の方は?」
「順調だよ。あ、カオス様から第二の試験を預かってますよ」
手紙を受け取り、内容を確認する。
俺はそれを破いた。
「無理ゲー」
内容は『アビリティを異能に進化させよう』だった。
俺のアビリティ、スペルカードを作る時にウィンドウ画面のような半透明の板が出現する。
この点がアビリティ由来に成っており、異能に進化した場合、どのようにスペルカードを作るのかなど、色々と難しくなる点もある。
第一、アビリティから異能に進化させる方法を俺は知らない。正確には、俺のような系統の進化だが。
ま、後々の課題でいいや。
◇
無月は神界に戻り、俺もダンジョンに帰った。
そこには、秋が意外過ぎる格好で居た。
「まじかよ」
俺が、数年間ずっと一緒に居た秋に対して初めて見る姿に寄って、思わず呟きが出てしまう程に驚いた。
まさか、秋が、あの秋が、寝ている。
「ローブか?」
赤谷が疑問の呟きを聞きながら、ローブは弾丸を止め、弾は地面にカランと落ちる。
コートは俺の背後に回り、俺を包み込むように閉じる。
制服が黒い服に変わり、コートも装着する。髪の毛が一部白く、脱色する。
「傷も癒え、僕は立ち上がるってね」
「ん?」
「行きます」
赤い女が剣を構えて僕に向かって接近して来るが、コートの内側に付いている帯がその女に向かって伸びて行く。
剣で弾くが、それだけでは意味が無いと知って、回避行動にでる。
体操選手のような躱し方で、赤い女は赤谷の元に戻る。
僕はアイテムストレージからスペルカードの束が入ったケースを取り出す。所謂、デッキケースである。
昔に僕用に秋姉さんが用意してくれた特別で大切なデッキ構成である。
「はぁ。本気出したいけど、さっきの身体能力のまま、本気でやるか」
「何をブツブツと」
赤谷が呟きと共に、ビー玉を五個飛ばして来る。その隙間を縫うように弾丸と女が迫って来る。
「スペルカード発動、トルネード!」
ビー玉の回転と真逆の回転の風がビー玉のスピードを緩ませ、落とす。
ビー玉はそのまま赤谷の元に行き、銃弾は横に軽くステップして躱す。後ろの地面が少しばかり爆発して、土煙が起こる。
女の剣を腰に付けたデッキケースからスペルカードを取り出し、それで防ぐ。
「おらよ!」
左手のスペルカードで防いでいるので、右手を固めて女の顔面に振るう。
女は後ろに少し体を倒して避けるが、それはちょっとしたフェイントだ。
本命は、すぐに場所を移動し、右脇を通して左手に持っているスペルカードだ。
「ん?」
相手は後ろに下がり、スペルカードから伸びている黒い鞭を斬る。
相手を拘束する用のスペルだが、ゼロ距離で使えば、鞭が出るスピードがそのまま攻撃に加わる。
女はお腹を摩りながらも、問題ないと言うふうに剣を構えて来る。
鞭が出るよりも速く後ろにステップしたから、大したダメージは与えられていないようだ。
「と、お前も接近するんだな」
僕の背後に回った赤谷が回転蹴りを放って来るが、屈んで躱し、懐に入り剣を振るって来る女には、右手で剣を受け流し、左手で殴る。
「クッ」
赤い二人は互いに後ろに下がる。
「急に髪が黒と白に成ったと思ったら、良い動きをするね」
「そりゃあどうも」
僕は二枚のスペルカードを腰のデッキから抜き取り、各々に向かって投擲する。
地面と並行に成るように、空気を滑るスペルカードは二人に当たる事無くすれ違う。
「「?」」
赤い二人は互いに疑問を持っているようだ。
「発動」
さっき投げたスペルカードの魔法にはとある特徴がある。それは、僕に向かって戻って来る、と言うモノだ。
それにより、遠隔で発動したスペルカードは形を変え、槍のようになり僕に向かって飛んで来る。
そして、その中間にいる赤谷と女の横原を少し裂く。
槍はおよそ三秒で消滅する。
僕は赤谷に向かって接近して、すぐさま肉薄する。
「ちぃ」
「てめぇの銃弾なんて、ゼロ距離でも当たんねぇよ!」
銃の扱いが素人なんだよ。
こちとら俺が訓練でどんだけ精度の良い銃使いと戦っていると思ってんだ。
こんなど素人の銃弾を、体も普通に動くと言うのに避けれないなんて恥だ。
「おっと、お前の『回転系』攻撃は受ける訳にはいかねぇよ」
回し蹴りをしゃがみこんで躱し、相手の顎に向かってアッパーを放つ。
「くっ」
「良く歯を食いしばった。吹き飛べや!」
体を縮めて、ドロップキックを放つ。
「女は単調なんだよ!」
背後に回り込んで来た女を回転蹴りで飛ばす。
「ほんと、動きが変わった」
「まぁな。にしても、おめぇ、あんまり魔道具使ってないだろ? さっきからアビリティばっかだ」
「はて。なんのことやら」
「お前のアビリティは回転だろ? しかも、その回転には限界が存在しない。無限に高速に、ひたすら重複出来るアビリティ、なんとも厄介だね」
「アビリティ、か。半分正解、とでも言っておこう」
防御系の魔法は大きい技なら意味あるだろうけど、それだと目立つ。だから、防ぐのではなく止めているのだ。
「流石に今回は無理そうだな」
赤い女が赤谷の近くに寄る。
「本来なら、逃がすか! とでも言って僕がお前らを止めるのだが、もう時間切れだ」
「なに?」
近くの空間がバリン、と砕ける。
そこから純白の服を着て、二本の角を生やし、同じように純白の髪と瞳をした龍人が現れる。
「よう。無月」
「なんで貴様が居る!」
「別に良いだろ。あいつらを捕らえるからこの中でもアビリティ使えるように承認しろ」
「自分がやる!」
「お前だと消えるだろ!」
「⋯⋯、承認する!」
僕は拘束用のスペルカードを取り出す。
「転移、出来ない」
要約相手も気づけたようだ。
スペルカードを地面に設置して、発動する。
地面に大きな影が出来、そこから鞭が出て来て相手を拘束する。
が、相手の形が変わって行く。
「お前ら、モンスターだったのかよ」
もしかして、身体能力の高さも回転のアビリティも⋯⋯、はぁ色々と掌で踊らされた気分だよ。
「まあ、良いや。あんたら情報を」
近づくと、相手は赤く発行する。
ドゴーン、大爆発が起こり、僕達は包み込まれた。
「生きる爆弾かよ!」
元々体がそう言う仕組みだっようで、無月の異能無効も意味が無いようだ。
「ちぃ、無事だったか」
「ははは。僕が無事じゃなかったら俺も無事じゃないよ」
「さっさと戻れよ!」
「え~嫌だ」
「き、貴様!」
「冗談冗談。この形態は一日十分しか出来ないよ。だからあと二分はこのまま」
「クソが。でも、これで情報が得られなくなったな」
「お前のせいな気もするがな。ま、学校に来るなら会えるだろ」
「は、死んだだろ?」
「お前と一緒だよ。心臓⋯⋯魔石が違う場所にあんだよ」
あ、アビリティが使えなく成った。
それから2分後、僕の意識は途切れた。
「ん、ん~」
「マスター様!」
「無月、か? どうだ、試験の方は?」
「順調だよ。あ、カオス様から第二の試験を預かってますよ」
手紙を受け取り、内容を確認する。
俺はそれを破いた。
「無理ゲー」
内容は『アビリティを異能に進化させよう』だった。
俺のアビリティ、スペルカードを作る時にウィンドウ画面のような半透明の板が出現する。
この点がアビリティ由来に成っており、異能に進化した場合、どのようにスペルカードを作るのかなど、色々と難しくなる点もある。
第一、アビリティから異能に進化させる方法を俺は知らない。正確には、俺のような系統の進化だが。
ま、後々の課題でいいや。
◇
無月は神界に戻り、俺もダンジョンに帰った。
そこには、秋が意外過ぎる格好で居た。
「まじかよ」
俺が、数年間ずっと一緒に居た秋に対して初めて見る姿に寄って、思わず呟きが出てしまう程に驚いた。
まさか、秋が、あの秋が、寝ている。
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