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1日目:当日素泊まりフレンド
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世の中は平等を尊ぶが、残念ながら実のところは選ばれる者と選ばれない者が歪なバランスでバラついている。
では自分は彼に選ばれなかったのかと言うと、ちょっと中途半端な状態だった。
「今日夜行っていい?」
彼はいつも当日予約の定型文でこちらをバタつかせる。
ここで断らないって分かってるのか、断られたら断られたで…なのか。どちらにせよこちらの負けなので、さっさと返事を送ってスマホを投げた。
「おす 来る時間わかったらよろ」
(何日ぶりだっけ?)
なんてソワソワしてしまうのは欲求不満の現れであって恋じゃない。
「お友達だもの」
冷蔵庫をチェックした。
ビールもつまみもあったから、人が来るとき用の部屋着に着替えた。
(このドキドキはアトラクションに並んでる時のやつだから、これ含めで楽しむやつだから)
インターホンが鳴った。黙ってエントランスのドアだけ開けたら、玄関に走った。彼が近づいてくるまでをスコープ越しに見守り、チャイムが鳴ってからゆっくりと出た。
傾向として、深夜のバラエティでも見ながら酒を飲んで、世間話などを少々したら大体行為が始まる。多分アルコールが大脳に届いたあたりで人はその気になるんだと思っている。
ところが、今日は玄関のドアを開けた瞬間に抱きつかれた。彼は既にアルコールが大脳にヒタヒタのようだった。
「うわ飲みすぎじゃない?」
「んー」
酔っ払いのくせに可愛いのはとてもずるい。自分はまた彼を甘やかしてダメにしてしまう。
彼のYシャツをはがしてTシャツをかぶせ、ベッドに転がした。
「ほら、寝るよ。酔っ払い」
もちろん寝るだけでもいいが、自分がしっかりと準備できていることは言うまでもないことだった。
温めた濡れタオルを目にあてて、疲れ目に血流を促した。
彼はそのタオルで顔からの頭を拭くムーブを経て、やや酔いが覚めた様子だった。
「さっぱりしたー。ありがとう」
「ううん、チンしただけだから」
使い終わったタオルを受け取ろうと伸ばした手を掴まれて、ベッドに引き倒された。
「羽場…あっ」
背中から抱き締められて、彼の熱を感じた。逞しい身体が触れただけで、いい歳して何度でもドキドキしてしまう。
こんな関係はいつ始まったのか、なぜこいつは女が好きなくせに自分に反応したのか。
奇跡にケチをつけるほど自分は野暮ではない。野暮ではない自分は電気を消すために彼の腕から逃れた。
「あっバカ、やだっ」
「消しちゃうの?」
「消すよ!恥ずかしい」
「おるは可愛いよ」
「くすぐった…んっ」
恋人同士みたいなじゃれあいは甘すぎて、自分のハマっている沼がまた深まるのを感じた。
(さっさと腰を振って終わらせるような奴ならここまでハマらなかったのに…)
こんな事になるなら、友達に欲情して悩んでた昔の自分に言ってやりたかった。治んないから悩んでも無駄だって。あと相手も自分で勃つみたいよって。
すぐに挿れれば良いのに、気遣いもできる羽場にゆっくり攻められて堪らなくなった。
「も…やだ、羽場、挿れて…」
「なんで?ここ気持ち良くないの?」
恥を忍んでお願いしているのに、羽場が耳元で囁いたと思ったら余計に指を広げて中を擦ってきた。
「ゃあ!あっ、ああっ、良い、からっ…中、もっと…羽場ので、突いて」
追い詰められて更に恥ずかしいことを言わされたところで、羽場に片手で腰を押さえられた。
その感触にゾクリとした直後、ゆっくりと自分の穴が拡げられるのを感じた。
「うっ…んんっ…!~~~っ…あ、あぁ…」
声を抑えようとしても、勝手に溢れるのはどうしようもなかった。女じゃない自分のせいで羽場の目が覚めないように、いつも焦っていた。
「もう、声我慢しないで」
「だっ…て、いああっ、あっ、ちょっ、しゃべれなっ、あっ」
(やっぱり、挿れられると安心する)
まだ自分に興奮してる、まだ自分で気持ちよくなってる。それを感じることで自分も興奮した。
ベッドに横たわってボンヤリしていたら、シャワーを浴びた羽場に頭を撫でられた。
事後も甘い、こいつはどこに出しても恥ずかしくない男だった。
いや、実際はそんなこともないか。
(どこに出しても恥ずかしくない既婚男性は普通、よそで出さないもんな)
結婚指輪を外すこともない、この行為は彼の中でスポーツだった。
だから自分にとってこれはアトラクションだった。
(いつまでこんなこと続けるんだろう?)
彼の寝顔を見下ろしながら、冷めた頭で思った。
では自分は彼に選ばれなかったのかと言うと、ちょっと中途半端な状態だった。
「今日夜行っていい?」
彼はいつも当日予約の定型文でこちらをバタつかせる。
ここで断らないって分かってるのか、断られたら断られたで…なのか。どちらにせよこちらの負けなので、さっさと返事を送ってスマホを投げた。
「おす 来る時間わかったらよろ」
(何日ぶりだっけ?)
なんてソワソワしてしまうのは欲求不満の現れであって恋じゃない。
「お友達だもの」
冷蔵庫をチェックした。
ビールもつまみもあったから、人が来るとき用の部屋着に着替えた。
(このドキドキはアトラクションに並んでる時のやつだから、これ含めで楽しむやつだから)
インターホンが鳴った。黙ってエントランスのドアだけ開けたら、玄関に走った。彼が近づいてくるまでをスコープ越しに見守り、チャイムが鳴ってからゆっくりと出た。
傾向として、深夜のバラエティでも見ながら酒を飲んで、世間話などを少々したら大体行為が始まる。多分アルコールが大脳に届いたあたりで人はその気になるんだと思っている。
ところが、今日は玄関のドアを開けた瞬間に抱きつかれた。彼は既にアルコールが大脳にヒタヒタのようだった。
「うわ飲みすぎじゃない?」
「んー」
酔っ払いのくせに可愛いのはとてもずるい。自分はまた彼を甘やかしてダメにしてしまう。
彼のYシャツをはがしてTシャツをかぶせ、ベッドに転がした。
「ほら、寝るよ。酔っ払い」
もちろん寝るだけでもいいが、自分がしっかりと準備できていることは言うまでもないことだった。
温めた濡れタオルを目にあてて、疲れ目に血流を促した。
彼はそのタオルで顔からの頭を拭くムーブを経て、やや酔いが覚めた様子だった。
「さっぱりしたー。ありがとう」
「ううん、チンしただけだから」
使い終わったタオルを受け取ろうと伸ばした手を掴まれて、ベッドに引き倒された。
「羽場…あっ」
背中から抱き締められて、彼の熱を感じた。逞しい身体が触れただけで、いい歳して何度でもドキドキしてしまう。
こんな関係はいつ始まったのか、なぜこいつは女が好きなくせに自分に反応したのか。
奇跡にケチをつけるほど自分は野暮ではない。野暮ではない自分は電気を消すために彼の腕から逃れた。
「あっバカ、やだっ」
「消しちゃうの?」
「消すよ!恥ずかしい」
「おるは可愛いよ」
「くすぐった…んっ」
恋人同士みたいなじゃれあいは甘すぎて、自分のハマっている沼がまた深まるのを感じた。
(さっさと腰を振って終わらせるような奴ならここまでハマらなかったのに…)
こんな事になるなら、友達に欲情して悩んでた昔の自分に言ってやりたかった。治んないから悩んでも無駄だって。あと相手も自分で勃つみたいよって。
すぐに挿れれば良いのに、気遣いもできる羽場にゆっくり攻められて堪らなくなった。
「も…やだ、羽場、挿れて…」
「なんで?ここ気持ち良くないの?」
恥を忍んでお願いしているのに、羽場が耳元で囁いたと思ったら余計に指を広げて中を擦ってきた。
「ゃあ!あっ、ああっ、良い、からっ…中、もっと…羽場ので、突いて」
追い詰められて更に恥ずかしいことを言わされたところで、羽場に片手で腰を押さえられた。
その感触にゾクリとした直後、ゆっくりと自分の穴が拡げられるのを感じた。
「うっ…んんっ…!~~~っ…あ、あぁ…」
声を抑えようとしても、勝手に溢れるのはどうしようもなかった。女じゃない自分のせいで羽場の目が覚めないように、いつも焦っていた。
「もう、声我慢しないで」
「だっ…て、いああっ、あっ、ちょっ、しゃべれなっ、あっ」
(やっぱり、挿れられると安心する)
まだ自分に興奮してる、まだ自分で気持ちよくなってる。それを感じることで自分も興奮した。
ベッドに横たわってボンヤリしていたら、シャワーを浴びた羽場に頭を撫でられた。
事後も甘い、こいつはどこに出しても恥ずかしくない男だった。
いや、実際はそんなこともないか。
(どこに出しても恥ずかしくない既婚男性は普通、よそで出さないもんな)
結婚指輪を外すこともない、この行為は彼の中でスポーツだった。
だから自分にとってこれはアトラクションだった。
(いつまでこんなこと続けるんだろう?)
彼の寝顔を見下ろしながら、冷めた頭で思った。
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