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代書屋のアザミ 1
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時計の針が刻む音と、書類をめくる音が室内に響く。
街の中心から外れたこの場所までは外の喧騒も届かない。
アザミは一人、机に向かっていた。窓から差し込む光を頼りにペンを走らせた。
ここはアザミが営む代書屋。個人商店が役所に提出する書類の代書を中心に請け負っている。
目印は万年筆と封筒をかたどった吊り看板で、道に面した住居の一室を事務所として使っている。窓際の書き物机に応接用のテーブルと向かい合わせに配置した一人掛けのソファ、壁際に書棚を置くので精一杯の小さな職場。
この空間に漂う紙とインクの匂いが、アザミはあまり好きではない。
でも、形式ばった書類を作ること、裏切らない数字と向き合うことは嫌いではなかった。
陽光を頼りに仕事を進めていると、静寂を裂くベルの音が鳴り響き、アザミの意識は引き戻された。
手を止めて顔を上げるよりも、狭い店内を駆けてくる相手の方が早い。首元に腕を回され思わずうめき声が漏れた。
「アザミさん! 告白上手くいったわ!」
街の中心から外れたこの場所までは外の喧騒も届かない。
アザミは一人、机に向かっていた。窓から差し込む光を頼りにペンを走らせた。
ここはアザミが営む代書屋。個人商店が役所に提出する書類の代書を中心に請け負っている。
目印は万年筆と封筒をかたどった吊り看板で、道に面した住居の一室を事務所として使っている。窓際の書き物机に応接用のテーブルと向かい合わせに配置した一人掛けのソファ、壁際に書棚を置くので精一杯の小さな職場。
この空間に漂う紙とインクの匂いが、アザミはあまり好きではない。
でも、形式ばった書類を作ること、裏切らない数字と向き合うことは嫌いではなかった。
陽光を頼りに仕事を進めていると、静寂を裂くベルの音が鳴り響き、アザミの意識は引き戻された。
手を止めて顔を上げるよりも、狭い店内を駆けてくる相手の方が早い。首元に腕を回され思わずうめき声が漏れた。
「アザミさん! 告白上手くいったわ!」
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