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冬の婚約編
第四話 祝賀会の参加資格
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「それで、予定より早く王都に戻られたんですか?」
ソニアは驚いた素振りで口元に手を当て、くるりとした瞳をこちらに向けた。
その目にはこちらを心配する思いが浮かんでいたけれど、ほんのわずか、物語の先を期待するような好奇の色も見てとれる。
その気持ちはわからなくもない。
普段から相容れないサリバンとクラークの後継者同士が、パートナーとして祝賀会に列席するなんて。当事者以外にとっては、とても刺激的で興味を引かれることだろう。
ええ、当事者でさえなければね。
私はお気に入りのティーカップを持ち上げながら視線を落とした。
「そうなの。だからしばらくは忙しくなるわ。明日は母のドレスを仕立てに人が来るし」
「ええっ! 祝賀会まであと一ヶ月ですけど、間に合うんですか?」
「まあ、伝手があるから」
「ふわぁ、さすがサリバン様……」
ソニアは心底感心したように、大きく息を吐き出した。
彼女の驚きももっともだわ。本来なら、ドレスの仕立てには採寸から数えてどんなに早くとも二ヶ月はかかるもの。
まして、今回のような一大行事に着ていくドレスともなれば、どの女性も凝りに凝って時間をかけて作る。
私自身のドレスも、半年以上前からデザインを考え始め、もうすでに完成品が家に届けられていた。後は最後の仕上げにサイズの微調整をするだけの状態になっている。
それを、お母様はたった一ヶ月で終わらせるという。
『こういうときこそ、サリバンの権力を使わずしてどうするの?』
そう言って屈託なく笑う姿は、全くもって嫌味がない。同じ台詞を私が吐けば、それはそれは立派な悪役になるというのに。
カップの水面に目を落としたままの私に、ソニアは気遣うような声を出す。
「アメリアと仲良くなってから初めての夜会だから楽しみにしていたんですけど、それどころではなさそうですね」
「私もソニアとシェルト様にご挨拶できるのを心待ちにしていたの……でも、正直そこまでの気持ちの余裕はないかもしれないわ」
数回のティータイムといくらかの手紙のやりとりを重ねて、私たちはお互いを名前で呼び合う仲になった。そして今日はついに我が家にソニアを招き、客間で一緒にお茶を飲んでいる。
本来なら嬉しくて仕方がないはずなのに、頭を悩ます問題のせいで心から喜べない。
ソニアはお母様自慢のアップルパイを一口食べ、晴れない顔の私に向かって眉尻を下げた。
「当日はつつがなく済むよう、陰ながらお祈りしていますね」
「ありがとう。国王陛下へのご挨拶が済めばクラーク様とは別行動をとるつもりだけど、そこまでは気を抜けないわね」
「えっ、じゃあ早めに来て二人の姿を目に焼き付けなきゃ。アメリアとレオナルド様が並んだら、きっと絵画のように美しいんでしょうね」
「冗談でも、そんなことを言うのは止めてほしいわ」
夢見る瞳でほうっとため息をつく彼女を、恨めしい気持ちで睨む。ソニアは肩をすくめて謝り、話題を変えた。
「それにしても、何人くらいの方が出席するんでしょうか」
「祝賀会だけなら三千人ほどではないかしら? 式典となるとその倍はいるだろうけれど」
「わー、人に酔いそう……」
「それでもだいぶ抑えた方だとは思うわ」
国王陛下在位二十周年の記念式典および祝賀会は、国を挙げての大行事だ。私やソニアが生まれて以降の、一番規模が大きいイベントと言っても過言ではない。国内だけでなく、他国からも多くの王族・貴族が集まってくるのだから。
そしてあまりにも人数が多いために、祝賀会の参加者には制限が設けられることになった。国内の貴族に限り、参加資格のある者は一族の直系のみ。つまり、各家の当主とその長子、そしてそのパートナーだけに絞ったのだ。
ソニアはチェイサー家の第三子だけれど、婚約者のニコラス様がシェルト家の長男のため、そのパートナーとして出席することになっている。
(そう、ソニアは祝賀会に参加する。でも……)
次男である「あの人」は参加しない。
それだけが唯一の救いだわ。他の男のエスコートで歩く私を、彼には見られたくない。
どうせ当日王宮に行けば皆の目につき、いずれは彼の耳にも入ってしまうだろう。いいえ、ひょっとしたら、すでにクラークが私と出席することを伝えているかもしれない。それでも、会場で直接顔を合わせなくて済むと思えば、いくらか気が紛れる。
手元のミルクティーを一口飲んで、小さく息を吐く。
想いを秘めるというのは、予想以上に辛いものなのだと思い知る。ただ黙って心の中で慕っているだけならそれほどの苦もないだろうと思っていたのに。
私とクラークに婚約話が持ち上がってると知ったら、彼はどんな顔をするかしら。釣り合わないと言って反対する? それとも、お似合いだと言って喜ぶ?
どちらにしろ、私の気持ちを滅入らせるのには十分だわ。彼の反応を考えるだけで苦しくて、胸の中に広がる苦みを吐き出すように私は声を絞り出した。
「ソニア、お願いがあるの。他の方には、私がクラーク様と祝賀会に出席することは言わないでくれないかしら」
私の言葉に、彼女はきょとんとした顔でこちらを見た。
自分でも馬鹿馬鹿しい依頼だということはわかっている。口止めしたところで、結局は当日たくさんの人の目に触れて、噂は広がってしまうに違いない。それでも、彼の耳に入る可能性を少しでも減らしたかった。
ソニアは少し考え込んだのち、ゆっくりと口を開いた。
「まあ、私は特に知り合いもいないので、話そうにも話す相手がいませんけど……」
「誰にもよ。その、チェ……ア、アルバート様にも言わないでほしいの」
いまだに彼の名前を呼ぶのは慣れない。つっかえながらもなんとか口にすると、ソニアはじっと私の目を見つめた。
その瞳は私の真意を測りかねているかのように訝し気で、思わずカップを持つ手に力が入る。
「今、兄は領地に行っていますし、戻ってくる頃には私も忙しくておそらくほとんど顔を合わせないと思います。それにもし会ったとしても、アメリアが嫌だというのなら話したりしません」
ソニアが真摯な顔で誓ってくれるのを見て、肩の力がゆっくりと抜ける。
「でも、兄はーー」
「リア? 私もお邪魔していいかしら」
ソニアの声を遮ったのは、お母様の声だった。ドアをほんの少し開け、顔だけを室内にのぞかせている。
「お母様、いらっしゃるなら先触れをしてください」
さすがにソニアの前なので注意するが、お母様はどこ吹く風だ。
「ごめんなさいね、ソニア様。楽しそうな声が聞こえてきたから、つい来てしまったの」
「お気になさらないでください。改めまして、お招きいただいてありがとうございます、サリバン夫人」
ソニアはすっかり外向きの表情になり、綺麗なカーテシーを披露する。
「素敵なご令嬢ね。あなたのような方がリアのお友達になってくれて嬉しいわ。どうぞ楽になさって。お茶のお代わりを持ってこさせましょう」
* * *
結局ソニアが帰る時間までお母様は同席し、あげく見送りにまでついてきた。
「遅くまで引き止めてしまってごめんなさいね、ソニアさん。またぜひ遊びにいらしてね」
「こちらこそ長居してしまい申し訳ありません。サリバン夫人にお会いできてとても光栄でした。アメリアも、今日はありがとう」
「ええ、次は祝賀会でね」
馬車が遠のいていくのを見届け、私たちは館に戻る。
ソニアとお母様は終始楽しそうに話に花を咲かせていた。無邪気な者同士、気が合うのかもしれない。
二人が仲良くなるのが嬉しい反面、蚊帳の外になってしまったような気がして少し気に食わない。そんな私をお見通しとばかりに、お母様は私に抱きつき頬をつつく。
「リアったら拗ねないで。あなたのお友達に一度会いたかっただけなの。次からは邪魔したりしないわ」
「別に拗ねてなどいませんわ」
つつかれた頬を膨らませると、お母様はふふふと笑った。
「お菓子もたくさん食べたし、明日の採寸に備えて今日の夕飯は食べないことにするわ」
「私も夕飯は遠慮します。明日デザイナーが来たら、お部屋に伺いますね」
私の言葉ににこりと笑い、お母様は自分の部屋へと戻っていった。その後ろ姿を見送り部屋に戻ろうとすると、アンナが声を掛けてきた。
「アメリア様」
見れば、一通の手紙を抱えている。部屋に戻るのを待たずここでわざわざ呼び止めるということは、急ぎの用事だろう。
封筒を受け取り、目に入った差出人の名前に眉をひそめる。差し出されたペーパーナイフで封を切った。文面に目を通すと、アンナに視線を戻す。
「使いの者はまだいるの?」
「はい、お返事をお待ちです」
「そう。では、明日のご来訪承知しました、と伝えておいて」
「かしこまりました」
頭を下げるアンナを置いて自室に向かう。
「まったく、本当に忙しいったらないわ」
独り言は、暗い廊下に吸い込まれて消えていった。
ソニアは驚いた素振りで口元に手を当て、くるりとした瞳をこちらに向けた。
その目にはこちらを心配する思いが浮かんでいたけれど、ほんのわずか、物語の先を期待するような好奇の色も見てとれる。
その気持ちはわからなくもない。
普段から相容れないサリバンとクラークの後継者同士が、パートナーとして祝賀会に列席するなんて。当事者以外にとっては、とても刺激的で興味を引かれることだろう。
ええ、当事者でさえなければね。
私はお気に入りのティーカップを持ち上げながら視線を落とした。
「そうなの。だからしばらくは忙しくなるわ。明日は母のドレスを仕立てに人が来るし」
「ええっ! 祝賀会まであと一ヶ月ですけど、間に合うんですか?」
「まあ、伝手があるから」
「ふわぁ、さすがサリバン様……」
ソニアは心底感心したように、大きく息を吐き出した。
彼女の驚きももっともだわ。本来なら、ドレスの仕立てには採寸から数えてどんなに早くとも二ヶ月はかかるもの。
まして、今回のような一大行事に着ていくドレスともなれば、どの女性も凝りに凝って時間をかけて作る。
私自身のドレスも、半年以上前からデザインを考え始め、もうすでに完成品が家に届けられていた。後は最後の仕上げにサイズの微調整をするだけの状態になっている。
それを、お母様はたった一ヶ月で終わらせるという。
『こういうときこそ、サリバンの権力を使わずしてどうするの?』
そう言って屈託なく笑う姿は、全くもって嫌味がない。同じ台詞を私が吐けば、それはそれは立派な悪役になるというのに。
カップの水面に目を落としたままの私に、ソニアは気遣うような声を出す。
「アメリアと仲良くなってから初めての夜会だから楽しみにしていたんですけど、それどころではなさそうですね」
「私もソニアとシェルト様にご挨拶できるのを心待ちにしていたの……でも、正直そこまでの気持ちの余裕はないかもしれないわ」
数回のティータイムといくらかの手紙のやりとりを重ねて、私たちはお互いを名前で呼び合う仲になった。そして今日はついに我が家にソニアを招き、客間で一緒にお茶を飲んでいる。
本来なら嬉しくて仕方がないはずなのに、頭を悩ます問題のせいで心から喜べない。
ソニアはお母様自慢のアップルパイを一口食べ、晴れない顔の私に向かって眉尻を下げた。
「当日はつつがなく済むよう、陰ながらお祈りしていますね」
「ありがとう。国王陛下へのご挨拶が済めばクラーク様とは別行動をとるつもりだけど、そこまでは気を抜けないわね」
「えっ、じゃあ早めに来て二人の姿を目に焼き付けなきゃ。アメリアとレオナルド様が並んだら、きっと絵画のように美しいんでしょうね」
「冗談でも、そんなことを言うのは止めてほしいわ」
夢見る瞳でほうっとため息をつく彼女を、恨めしい気持ちで睨む。ソニアは肩をすくめて謝り、話題を変えた。
「それにしても、何人くらいの方が出席するんでしょうか」
「祝賀会だけなら三千人ほどではないかしら? 式典となるとその倍はいるだろうけれど」
「わー、人に酔いそう……」
「それでもだいぶ抑えた方だとは思うわ」
国王陛下在位二十周年の記念式典および祝賀会は、国を挙げての大行事だ。私やソニアが生まれて以降の、一番規模が大きいイベントと言っても過言ではない。国内だけでなく、他国からも多くの王族・貴族が集まってくるのだから。
そしてあまりにも人数が多いために、祝賀会の参加者には制限が設けられることになった。国内の貴族に限り、参加資格のある者は一族の直系のみ。つまり、各家の当主とその長子、そしてそのパートナーだけに絞ったのだ。
ソニアはチェイサー家の第三子だけれど、婚約者のニコラス様がシェルト家の長男のため、そのパートナーとして出席することになっている。
(そう、ソニアは祝賀会に参加する。でも……)
次男である「あの人」は参加しない。
それだけが唯一の救いだわ。他の男のエスコートで歩く私を、彼には見られたくない。
どうせ当日王宮に行けば皆の目につき、いずれは彼の耳にも入ってしまうだろう。いいえ、ひょっとしたら、すでにクラークが私と出席することを伝えているかもしれない。それでも、会場で直接顔を合わせなくて済むと思えば、いくらか気が紛れる。
手元のミルクティーを一口飲んで、小さく息を吐く。
想いを秘めるというのは、予想以上に辛いものなのだと思い知る。ただ黙って心の中で慕っているだけならそれほどの苦もないだろうと思っていたのに。
私とクラークに婚約話が持ち上がってると知ったら、彼はどんな顔をするかしら。釣り合わないと言って反対する? それとも、お似合いだと言って喜ぶ?
どちらにしろ、私の気持ちを滅入らせるのには十分だわ。彼の反応を考えるだけで苦しくて、胸の中に広がる苦みを吐き出すように私は声を絞り出した。
「ソニア、お願いがあるの。他の方には、私がクラーク様と祝賀会に出席することは言わないでくれないかしら」
私の言葉に、彼女はきょとんとした顔でこちらを見た。
自分でも馬鹿馬鹿しい依頼だということはわかっている。口止めしたところで、結局は当日たくさんの人の目に触れて、噂は広がってしまうに違いない。それでも、彼の耳に入る可能性を少しでも減らしたかった。
ソニアは少し考え込んだのち、ゆっくりと口を開いた。
「まあ、私は特に知り合いもいないので、話そうにも話す相手がいませんけど……」
「誰にもよ。その、チェ……ア、アルバート様にも言わないでほしいの」
いまだに彼の名前を呼ぶのは慣れない。つっかえながらもなんとか口にすると、ソニアはじっと私の目を見つめた。
その瞳は私の真意を測りかねているかのように訝し気で、思わずカップを持つ手に力が入る。
「今、兄は領地に行っていますし、戻ってくる頃には私も忙しくておそらくほとんど顔を合わせないと思います。それにもし会ったとしても、アメリアが嫌だというのなら話したりしません」
ソニアが真摯な顔で誓ってくれるのを見て、肩の力がゆっくりと抜ける。
「でも、兄はーー」
「リア? 私もお邪魔していいかしら」
ソニアの声を遮ったのは、お母様の声だった。ドアをほんの少し開け、顔だけを室内にのぞかせている。
「お母様、いらっしゃるなら先触れをしてください」
さすがにソニアの前なので注意するが、お母様はどこ吹く風だ。
「ごめんなさいね、ソニア様。楽しそうな声が聞こえてきたから、つい来てしまったの」
「お気になさらないでください。改めまして、お招きいただいてありがとうございます、サリバン夫人」
ソニアはすっかり外向きの表情になり、綺麗なカーテシーを披露する。
「素敵なご令嬢ね。あなたのような方がリアのお友達になってくれて嬉しいわ。どうぞ楽になさって。お茶のお代わりを持ってこさせましょう」
* * *
結局ソニアが帰る時間までお母様は同席し、あげく見送りにまでついてきた。
「遅くまで引き止めてしまってごめんなさいね、ソニアさん。またぜひ遊びにいらしてね」
「こちらこそ長居してしまい申し訳ありません。サリバン夫人にお会いできてとても光栄でした。アメリアも、今日はありがとう」
「ええ、次は祝賀会でね」
馬車が遠のいていくのを見届け、私たちは館に戻る。
ソニアとお母様は終始楽しそうに話に花を咲かせていた。無邪気な者同士、気が合うのかもしれない。
二人が仲良くなるのが嬉しい反面、蚊帳の外になってしまったような気がして少し気に食わない。そんな私をお見通しとばかりに、お母様は私に抱きつき頬をつつく。
「リアったら拗ねないで。あなたのお友達に一度会いたかっただけなの。次からは邪魔したりしないわ」
「別に拗ねてなどいませんわ」
つつかれた頬を膨らませると、お母様はふふふと笑った。
「お菓子もたくさん食べたし、明日の採寸に備えて今日の夕飯は食べないことにするわ」
「私も夕飯は遠慮します。明日デザイナーが来たら、お部屋に伺いますね」
私の言葉ににこりと笑い、お母様は自分の部屋へと戻っていった。その後ろ姿を見送り部屋に戻ろうとすると、アンナが声を掛けてきた。
「アメリア様」
見れば、一通の手紙を抱えている。部屋に戻るのを待たずここでわざわざ呼び止めるということは、急ぎの用事だろう。
封筒を受け取り、目に入った差出人の名前に眉をひそめる。差し出されたペーパーナイフで封を切った。文面に目を通すと、アンナに視線を戻す。
「使いの者はまだいるの?」
「はい、お返事をお待ちです」
「そう。では、明日のご来訪承知しました、と伝えておいて」
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