最愛の番になる話

屑籠

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9 啓生

「まさか、学校に行きたいって言いだすとは思わなかったな」
「そうですね。学校にそこまで興味は無いかと思っていましたが」

 調査では、自分で望んだ高校から転校させられて、そのまま家出しようとしていた。
 なので、二人とも学校にそこまでの興味は無いだろうと思っていた。
 けれど、本当に望んだところの学校に行きたかったのだろうか?
 咲也の心まではわからない。
 
「さて、風都を付けられる学校か……どこかにあったっけ? できれば近くがいいんだけど」

 今のマンションから通えて、護衛の付けられる場所。
 それが絶対条件だ。番と離れて暮らすなんて、一週間も持たない。
 全寮制であれば、なおさら今度は咲也が持たないだろう。
 オメガとはそういう生き物だから。それを、咲也が理解しているかどうかは別として。
 
「えぇ、探してみます。それに、多少融通の利く学園であればあったはずです」
「そう? じゃあ、お願いしようかな」
 
 お任せくださいという、宗治郎は本当に頼りになる。
 本来なら、風都が僕に着くはずだったんだけど最終的な審査の結果、宗治郎になったとか。
 詳しくは聞いてないけど、性格的な問題もあったみたい。
 風都は優秀なんだけど、やる気が無い。本当に、四方に生まれていてもおかしくないぐらいに四方の血を多く引いているのだろう。

「風都はまだ、運命にあってないんだっけ? でも四方の血を引くなら、ちゃんと運命に出会えるよね」
「四方の方々は、必ずご自身の運命を探し出せますので、きっと」

 宗治郎も、僕と血筋的には近い。
 ということは、宗治郎も同じく運命を求めているということ。
 宗治郎なら、僕より早く見つけていそうだけどね。

「そう言えば、掃除はいつからだっけ?」
「来月あたりになりますね。お祖父様も張り切っていましたので、それはきれいになることでしょう」
「そっか。久しぶりに雪藤のおじいさんにも会いたいな。あ、咲ちゃんの紹介もしないとね」
「ぜひ。喜ぶことでしょう」

 うんうん、と頷く宗治郎。
 雪藤のおじいさんも、親類にはなる。
 だから、小さな頃は祖父に会いに行くとよく一緒に居て遊んでもらっていた。
 
「それで、新しい屋敷は? 父上はまだ迷っているの?」
「えぇ、そのようです。前回のお屋敷、今回のお屋敷は候補ではありませんが、残り2つの中、どちらにするか迷っているようです。奥方さまの好きな藤代の館か、それとも景色の良い比嘉の館か」

 四方の檻と呼ばれている裏屋敷は全部で4つある。
 今使われているのは清白の館。その前が、刀使の館。
 その4つを、当主が代替わりするときに一緒に移動する。
 そして、掃除という雪藤の使用人を選別する儀式がある。
 
「比嘉と藤代か。僕は、藤代の方が良いな。咲ちゃんもお花が好きだからね。藤代ならお庭も楽しめるだろうし」
「比嘉も花の種類こそ変われど、余り変わりはないように思えますが」
「そう? でも、きっと咲ちゃんは比嘉よりも藤代の方が好きだよ」
「そうですか」

 早く決まらないかな、と僕が呟けばまた、宗治郎がそうですね、と相づちを打った。

「お掃除が終わるまでは咲ちゃんと一緒に暮らせるのか、楽しみだな」
「私と風都が共に暮らすことをお忘れなくお願いいたしますね」
「わかってるよ。でも、仕方がないじゃない? 番だよ?」
「えぇ、そうですね。自重してください」

 宗治郎は本当に頭が硬い。
 でも、僕が軽い性格だって父にも祖父にも言われるので、宗治郎が僕の補佐でちょうどよかったかもしれない。
 咲也の護衛が風都というのも、考えてみれば合っているのかも。
 だって、咲也は我慢しちゃうしいつも物大人しいし。その点、僕が居ないときでも風都が雰囲気を和ませてくれるだろう。
 あぁ、でもやっぱり気に入らないな自分以外のアルファがそばにいるの。
 僕が、常に居られればよかったのにね。
 四方なんて面倒この上ない。

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