ここは籠の中

桐原まどか

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ここは籠の中

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ここは籠の中。

暖かい寝床にごはん。
清潔な環境。本だって読める。

だけど。

わたしは時折〈外〉に出たくなるの。
何にも考えずに、飛び出せたらいいな、と思うわ。


あの子はまた、外を見ている。
外に出たい。きっとそう思っているのだろう。
気持ちはわかるつもりだ。
ここは籠の中。

死という無慈悲が迫り来る彼等を、一時でも守る為の、ここは籠。
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